2008年8月30日土曜日

つべこべ言わずに本を読め

こんにちは

勉強のできない子の原因として、

1.勉強時間が絶対的に足らない
2.勉強方法が間違っている
3.師匠の言うとおりにやらない

があります。
何が一番大切かと言えば、3の師匠の言うとおりにやることです。
もちろんこの人の言うことなら間違いないといういい師匠を見つけることが一番です。
見つからなくても、先生、上司、先輩の言うことをハナからバカにしないで、言うとおりにやってみることが大切です。

第3種電気主任技術者試験(電験3種)を受験したい、という若い技術者君がいました。
どのテキストがいいか相談されたので、いい本を何冊か紹介したんです。
ぼくも電験3種を受験したとき何冊か購入して、その中でいいと思ったテキストです。
そして、すぐテキストを買って勉強を始めるようアドバイスしました。

しばらくして、テキストを購入してきたかどうか彼にたずねました。
すると、
「近所の本屋になかったんですよ。理研の本屋に頼めば1割引だからそうしようと思って」
とのこと。
ダメだなこりゃ、と思いました。まるで真剣味が足りません。

電験のテキストとはいえ、専門書です。
そこいらの本屋では売っているわけがありません。
専門書がたくさん置いてある八重洲ブックセンターか神田三省堂、池袋ジュンク堂くらいには行かなくちゃね。
テキストをすぐ手に入れるためにはそのくらいの手間がかかるのは当然と思ってくれなくちゃ。

確かに職場には紀伊国屋書店が出店していて、1割引で売ってくれます。
でも注文してから届くまで数週間はかかってしまいます。
テキストは全部買っても2万円です。その1割引きは2千円。
2千円の節約のために、数週間勉強が遅れてしまうのです。

このことをお金に換算してみましょう。
たとえば1週間勉強開始が遅れるのは、お金に換算するといくらくらいになるのでしょうか。
彼の時給を1500円として、一週間毎日2時間勉強するとすれば、\1500-×2時間×7日間=2万1千円です。
たった2千円の節約のために、2万円以上も損してしまった計算になります。
2週間遅れれば4万円、3週間遅れれば6万円・・・。
もったいないことです。

なぜ師匠の言うとおりにやるべきなのでしょうか。
師匠も、上手くいったり失敗したり、たくさんの経験をしてきているわけです。
自分自身の経験だけでなく、師匠もまた誰かに教えられたり、誰かの真似をしてみたりして、技を磨いてきたのです。
つまり、師匠の教えの中にはたくさんの先人の知恵が詰まっているのです。
それをないがしろにしてしまうと、いつまでも我流の域から出ることができません。

ぼくの座右の銘は「人生はより良く生きるものではない。より多く生きるものだ」です。
より多く生きるとは、先人に学ぶことだと思います。
松村劭『勝つための状況判断学』PHP新書\700-から引用します。

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(略)人間は「より多くの経験--失敗も成功も--」を積み重ねることが必要であると同時に、違った環境の経験もできるだけ広く積まなければならない。
「そんな暇も金も場所もないよ!」
という人には、1870~71年の普仏戦争に勝利したプロセインの鉄血宰相ビスマルクの言葉を提供しよう。

  愚者は自分の経験に基づいて判断する
   賢者は人の経験を最大限に利用する

と。
すなわち、教育、勉強が必要であることを強調している。
しかも彼が強調しているのは、他人の経験を自分の経験のように「追体験」する勉強の仕方である。
よい教育者というのは、このような追体験の感覚を被教育者に与えることができる人である。
単なる知識の切り売りをする人は教師の資格がない。
昔の日本では--世界でも同じだが--炉辺で老兵が若者を集めて炉辺兵談を聞かせた。
若者たちは、老兵の巧みな戦場描写の話に、いかにも戦っているような気持ちで戦いのコツを学んだものである。
漆塗りの職人芸、焼き物の職人芸など多くのプロ職人の技術を学ぶのは、単なる技術論だけではなく、師匠の経験を追体験して学ぶのである。(65p)
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先人の経験を自分の中に生かすこと、すなわち勉強することなんだと思いました。
そして本は先人の知恵が詰まった缶詰なんです。
本は最も信頼すべき師匠なんです。
だから本を読まないとダメ。
どんな本を読んだらいいかは、先生、上司、先輩などから教えてもらう。
そうすれば無駄のない勉強ができます。

逆に言えば、どんな本を読んだらいいかアドバイスできない先生、上司、先輩は、師匠として失格です。
なぜアドバイスできないかというと、その人自身が本を読んでいないからです。
本を読んでいない人は、先人の知恵や経験を身につけていないと判断していいです。
もちろん、本も読まない人は、その人の先生、上司、先輩からも学んでこなかった人だと思います。
その仕事の仕方は自らの経験に基づく自己流でしかなく、学ぶべきことはほとんどないのです。

本を読み、それを自分の経験と照らし合わせて考える。
すると本に書いてあることが自分の経験として蓄積するし、自分の経験ももっと広がりを持つようになるのです。
そうしてきた人は、自らの経験を後輩達に普遍性を持った形でリアルに語れます。

ここでも、実力=知識×経験^2なんですよね。
本を読み、勉強して身に着けた知識は、それだけでは役に立ちません。
自分だけで経験したことも普遍性を持ちません。
両者がそろってこそ、自分の実力になっていくんだと思っています。

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