2008年8月30日土曜日

心を広くせよ、空を見よ

こんにちは

ある研究室の設計をやっているときのことです。
研究室の面積は50m2程度、そこに実験用の電源盤を設置する。
ぼくと一緒に設計を担当している奴が、実験盤の原案を持ってきました。
研究者に十分ヒアリングして設計したとのこと。
ぼくはチョビットえらくなっちゃったので、十分な打ち合わせをする時間が取れない。
なので、できあがった設計を評価する役目になってます。

で、その実験盤の設計を見ると大本の200Vブレーカーが400Aになってました。
プッて吹き出しちゃいましたよ。
失礼、失礼。

だって、200V400Aって80kWもの電力を供給できる容量です。
たった50m2の部屋に80kwを供給したら、いったい部屋の温度は何度になっちゃうんでしょうかねー。
彼に聞いたら、研究者の要望する実験機器の電源容量を足していったらこうなった、って。
そりゃそうでしょ。
でも、それらの実験機器はどう使われるか、聞いていないのです。
どれとどれを同時に使うのか、どのくらいの頻度で、どのくらいの時間使うのか。

細々とした使い方は、研究者だって分からない場合もあります。
普段、無意識に実験していたりするからね。
でも、別のデータから類推する方法もあるんです。

電力として投入したエネルギーは、必ず発熱します。
その発熱を冷却してあげなくちゃ、部屋の温度はどんどんと上がってしまいます。
だから、投入したエネルギー=除去する熱量のはずなんです。

この研究室の発熱量は、空調の設計担当の奴がヒアリングしてありました。
それによると、部屋全体の空調容量はたったの10kWだったのです。
電気の80kWと空調の10kW、こんなに違うわけがありません。
まあ、空調の熱量はある程度の時間を平均したエネルギーであり、電気の場合はピークエネルギーで設計するので、完全にイコールにするわけにはいきません。
でも、せいぜい電気は空調の1.5倍~2倍の容量があれば十分なんです。
だからぼくは、彼の設計した電源盤の大本のブレーカー容量を400Aから60Aに修正しました。

電気の設計をするときは、その電気エネルギーが使われて、最後にどれだけの熱エネルギーとして捨てられるのか、全体を見る必要がある。
全体を見ると、過不足のない適切な設計ができます。

仕事に限らず人生、目の前のことだけ見ていると間違えます。
もっと視野を広げておくことが大事だと思っています。
視野を広げるためにはどうしたらいいか。
伊藤真『続ける力』幻冬舎新書\720-にこう書いてありました。

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スランプに陥ったときには、狭くなった視野を広げるのが大事ということです。
気持ちの上で広げるだけでなく、海を眺めたり夜空を見上げたりして、物理的に広い視野を持つのも、気分転換に役立ちます。(62p)
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ぼくは空を眺めるのが好きです。
何かに集中して視野が狭くなったと思ったら、空を見上げる。
広くてきれいな空を見ると、心も広くなっていくような気がします。
人間の脳って、インプットされるものに大きく影響されるんです。
広くて大きなものを見ると、脳も広く大きくなっていくんだと思っています。

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