2008年9月10日水曜日

発信するから受信もできる

こんにちは

技術系の勉強会に参加したら、必ず面白かったことを一つ二つレポートにまとめ、技術者仲間に送るようにしています。
勉強会に参加するだけだとすぐ忘れちゃうことでも、自分の言葉で書いてまとめてみると確実に記憶に残ります。
それどころか、自分の血肉になっていざというときに活用できるようになるんです。
活用できない技術なんか、ちっとも意味のないものだと思うのです。
先日もこんなレポートを書いて、技術者仲間にメールしました。

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昨日、三菱電機さんの技術講習会ってのに行ってきました。
一つのお題は「配電用変圧器の保守」。
そこで学んだこと(勝手に考えたこと)を記します。

電機品に限らず、すべてのものの寿命は、

 ・熱劣化
 ・機械的劣化

の二つで決まります。
このどちらか劣化が早いほうで機器寿命は決まる。
トランスなど静止機は、熱劣化の方が早いのは当然。

で、どの部分の熱劣化が重要かといえば、絶縁物です。
油入トランスなら絶縁油の温度、モールドトランスなら樹脂材の温度です。
絶縁油の最高使用温度は90℃だったかな。
樹脂材はF種なら140℃でしょうか。

油入トランスだったら定格負荷での温度上昇を50℃、モールドは100℃としていると思います。
だから最高使用温度-温度上昇が、最高室温となるわけです。
最高室内温度は40℃ってのが普通。

で、それ以上の温度になったら寿命はどのくらい縮むのか。
講師の方が以下の概数を教えてくれました。

 油入 6deg上昇で寿命は半分
 モールド 10deg上昇で寿命は半分

これを聞いて、さっそく式を立ててみました。
寿命なんだから、対数関数に決まっている、と予想。
寿命を計算する式を

 寿命=1-a*log(使用絶縁物温度÷定格使用絶縁物温度)
             
             注;温度は絶対温度

と置き、上の寿命が半分になる温度上昇から係数aを求めます。
定格使用温度を切りのいいところで室温27℃(=300K)とし、6deg上昇(=306K)、10deg上昇(=310K)を代入します。
ホントは絶縁物温度とするのが正しいのですが、室温と絶縁物温度はほぼ比例していると仮定しても、大きく間違えないでしょう。
すると、

 油入 
  寿命=1-58.1*(使用温度÷300K)

 モールド
  寿命=1-35.1*(使用温度÷300k)

となります。

実際に数字を代入してみましょう。
使用温度が定格使用温度より1deg高くなる(=301K)と、

 油入の寿命=0.92
 モールドの寿命=0.95

になります。
3deg高くなる(=303k)と、

 油入の寿命=0.75
 モールドの寿命=0.85

にもなります。
結構寿命が短くなりますね。
だから、温度管理は大切なんですね。

トランスの温度管理は、
 ・最高室温(最高温度、日最高温度)
 ・年平均室温
 ・巻き線温度
の三つを管理できるようにしておくのがよいそうです。
この三つの総合で、トランスの寿命も決まってくるそうです。

逆に1deg低くなる(=299K)と、

 油入の寿命=1.08
 モールドの寿命=1.05

になります。
3deg低くなる(=297k)と、

 油入の寿命=1.25
 モールドの寿命=1.15

にもなります。
ですから、放熱をよくしてやることが大事だと分かります。

トランスを丸ごとキュービクルに入れるのではなく、危険な導電部や駆動部だけキャビネットに入れ、トランス本体はむき出しにした「パッドマウント方式」というのもあるそうです。
モールドの場合、絶縁物も帯電していることがありますから、フェンスや金網で保護する必要はありますけどね。
でも、なるべく放熱をよくする方法は検討すべきだと思っています。
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これを読んだ仲間からコメントか帰ってきました。
「関口君、対数関数じゃないよ、指数関数でしょ」
あ、そうですそうです。
熱劣化のように、温度が上がれば上がるほど劣化が早まるんですから、指数関数の方が実態を表しやすいはず。
生命体の寿命のように「慣れ」が存在するものは、対数関数の方がよく合うんでしたね。
まあ、大雑把には原点近くのリニアな部分での議論でいいので、どっちだっていい。
なんて、苦しい言い訳。
リニアな部分の議論でいいなら、一次関数で近似してもいいんだしね。
参考となる資料を送ってくれた仲間もいました。
ありがたい、ありがたい。
この資料によるとANSI(American National Standards Institute)では、確かに指数関数ですね。

これもぼくが発信したから、情報を受け取れたってことだと思っています。
情報は待っているだけじゃダメなんです。
こうしてまた一つ、ぼくの腕は上がったってわけです。
わはははは。

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