2008年9月6日土曜日

毒の排泄法

こんにちは

高校の生物で、腎臓の仕組みを習いました。
腎臓というところは、おしっこを作るところ。
おしっこは体の中の老廃物ですから、腎臓は老廃物をこし取る役目をしています。
そこまでは誰でも知ってますね。

まず血液は腎臓の糸球体(しきゅうたい)というところでこし取られます。
こし取られたものが、次に腎盂(じんう)というところに行きます。
すると、腎盂でまた再吸収されるんです。
しかも糸球体でこし取られたほとんどの量が、腎盂で血液中にまた吸収されちゃうんです。
再吸収されたわずかな残りが、おしっこになります。

これを習ったとき、「なんでこんな二度手間をかけるんだ?」と不思議でなりませんでした。
なんで一度にこし取っちゃわないのか。
糸球体でちゃんと老廃物だけこし取っちゃえば、一度で済むのに。
二度手間かける意義はあるのかって、不思議でした。

でも、人体はすばらしく合理的にできています。
なぜ糸球体と腎盂の二つが必要なのかは、次のような理由なのでした。

こし取るとは、いろんな大きさのものをふるいにかけて、小さいものと大きなものに分けることです。
老廃物が大きな分子だけだったら、あるいは小さな分子だけだったら、ふるいにかけるのは一度で済みます。
でも、老廃物が大きくもなく小さくもなく、中くらいの大きさだったらどうでしょうか。

まず、目の粗いふるいで大きなものだけ残します。
中くらいのものと小さなものは、ふるいを通過します。
これが糸球体の役目です。
大きなものとは、血液中の赤血球や白血球、血小板のようなもの。
あるいはタンパク質のような、まだ機能している物質。
これらまでこし取ってしまったら、意味がありません。

糸球体でこし取られた、中くらいのものと小さなものは腎盂に送られます。
今度はそれを、目の細かいふるいにかけます。
すると、中くらいのものが残って、小さなものが通過します。
小さなものは、ビタミンやミネラルなど、まだ体から捨てられないものです。
腎盂は、目の細かいふるいとして機能しているのです。

こうして、小さなものと大きなものは血液中に一緒に残し、中くらいのものだけをおしっことして捨てることができるのです。

腎臓もこういう仕組みだったんですね。
老廃物、尿素などは、血液中では中くらいの大きさの分子なんです。
それより大きなタンパク質のような必要なものは捨てたくない。
同じく、それより小さなミネラルのようなものも捨てたくない。
よって、2回ふるいにかけないとならないわけです。
糸球体と腎盂の2段階方式としているのは、こういうわけだったのです。

実際、毒物は肝臓で解毒されますが、肝臓は中くらいの大きさの分子に毒物を変換しているのです。
体内に入った毒は、大きな分子です。
また、毒物は脂溶性の分子が多く、水に溶けにくい。
それを、分子量300くらいの大きさに分解します。
それに水酸基(-OH)やカルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NH2)などをくっつけて、水に溶けやすくする。
こうやって毒物を中くらいの大きさ、水に溶ける状態にして、血液中に放流するのです。
それが腎臓にやってきて、上手くこし取られておしっことして排泄されるってわけです。

体って上手くできていますねー。

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