2008年9月27日土曜日

知識化する

こんにちは

来週、SPring8に建設中のX線自由電子レーザー( http://www.riken.jp/XFEL/jpn/index.html )専用の特別高圧変圧器の安全管理審査があります。
近畿経済局の技官の方が現地に来て、検査するのです。
高い電圧で使用する施設なので、設置者だけではなく国としてもきちんとチェックするということです。
電気の場合電線で発電所や他の需要施設とつながっていますから、事故が起こると自分の施設だけではなく、他の施設にまで波及する恐れがあります。
特に電圧が高い、つまり大電力を供給できる施設での事故は、他の施設へ波及する確率がとても高いのです。
だからしっかり検査するわけです。

既に準備万端、きっと合格すると思います。
なぜなら、検査のポイントが分かっているから。
ポイントを外さないようにすれば、間違いありません。

そのポイントはどこで学んだか。
数年前にも和光研でRIビームファクトリー( http://www.rarf.riken.go.jp/ )専用特別高圧設備を建設しました。
ぼくは当時和光研の電気主任技術者でしたから、フロントにたって審査を受検したんです。
その時に経験したことを、受検後メモにまとめておいたんです。
メモすることによって自分の血肉にするわけです。
こうして「知識化する」するんです。
自分の血肉になり、知識として頭に入ったことは、いつでも活用できるようになるんです。

経験はただ流されるだけでは蓄積されません。
経験は「意図的に積み上げる」必要があると思っています。
意図的に積み上げるためには、きちんと自分の言葉で書いておく。
それが有効なんです。

そういう積み上げがあったから、ポイントがどこにあるか分かり、事前チェックも素早くでき、安心して検査の日を迎えられるというわけです。

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電気担当のみなさま

第2特高、CGSと2回の安全管理審査を経験して、ポイントとなることが分かってき
ましたのでメモしておきます。

安全管理審査は、おおよそ以下のチェックをするものでした。

1.工事計画書通りに設置されているか
2.自主検査体制は万全か
3.自主検査に使用した機器は適切か


<1.工事計画書通りに設置されているか>ということは、工事計画書というものは
電気設備基準などの法令に従って計画されており、国への届出が受理されているので
すから、イコール「法令通りに設置されている」ということになります。
つまり、安全管理審査において工事計画書の記載事項の確認をすれば、法令通り設置
されていることを確認できるわけです。

ですから、自主検査要領・自主検査記録は工事計画書の内容を過不足なく含んでいれ
ばいい。
なおかつ、工事計画書の項目順通りにに自主検査要領・自主検査記録の項目も順番に
記載してあるべきです。
そうすれば、検査漏れも防げますし、審査もスムースに進められます。
もちろん、適否の判定がすぐ分かるように、検査要領・検査記録には判定基準を明確
に記載し、かつ、検査値とすぐ見比べられる場所に記載しておくのがいいです。

諸検査は法令に従って行うのが原則ですが、法令外であっても主任技術者が審査員に
適切であることを説明できるならば、それでも可でした。
今回のCGSの審査で、技術基準上「総合インターロック試験は軽負荷運転時に行
う」と記載がありますが、実際は無負荷で試験しました。
その説明をするのに、ひやひやしました。
めんどうを避けるなら、法令に準拠した試験をした方がいいと思います。

また、工事計画書、自主検査要領・自主検査記録には、法令で必要であると定められ
た項目だけを記載しておいた方がいいですね。
法令外のオプション機能もあるでしょうが、安全管理審査の場では必要ないものだと
思います。

設置した機器が計画書通りのものであることを示すために、検査記録書に機器名板の
コピーを添付しておくのがいいです。
工事計画書と名板の読み合わせをする審査員もいました。


<2.自主検査体制は万全か>は、自主検査を行う上でどんな能力の人に何をさせる
かです。
主任技術者は検査責任者となるわけですから、すべての自主検査に立ち会っているこ
とが前提です。
ですから、検査内容や検査方法について理解しているかどうかが問われます。
もちろん、主任技術者免許の確認をする審査員もいます。

また、主任技術者の指揮に従って配置する検査員の能力も問われますから、各人の資
格、経歴を記載した検査員名簿は用意しておくべきです。

主任技術者と各検査員の連携がとれているか、その検査に必要な人数が配置されてい
るかも問われます。


<3.自主検査に使用した機器は適切か>は、自主検査をしてもあてにならない計器
を使用していたのでは、正しい検査とはなりません。
各検査に使用した検査機器の機器表と、それらの校正記録は用意しておきましょう。


上記3点を、たとえば以下のように審査員から質問されます。

・工事計画書に記載のある<過電流リレー>についての検査記録を見せてください。
・・・すぐそのページを開くためには、工事計画書の順番に検査記録も並んでいた方
がいいですね。

・この試験の試験員は誰でしたか。それはどのように確認しましたか。
・・・主任技術者は現場にいて名簿と本人を照合し、資格者証も確認したかどうかを
問われているのです。

・過電流リレーを試験する方法を説明してください。
・・・試験方法について理解していないとしどろもどろになっちゃいますね。
   実機では試験できないので、模擬入力によると説明します。

・模擬入力に使用した機器は何ですか。
・・・使用した試験器一覧表と、それらの校正記録をさっと出せればok。


上記のように、1~3項目の審査がなされていくわけです。

以上、参考になれば幸いです。


お願い;ぼくへの連絡は、なるべく電子メールorFAXでお願いします。
    電話じゃ捕まりません(^^)/。
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理化学研究所 施設企画課  情報基盤研究部情報環境室(兼)
          和光本所電気主任技術者 

       関口芳弘(Sekiguchi Yoshihiro)

       〒351-0198 埼玉県和光市広沢2-1 
         tel.048-462-1111(内線2586)
         fax.048-462-4612
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