2008年10月11日土曜日

日本人の研究力はすごい!

こんにちは
 
今年のノーベル賞は日本人受賞者が4人も出ましたねー。
日本人の研究力が世界的に認められて嬉しいです。
これでまた日本の科学技術界も自信を持てましたね。
政府の科学技術予算、民間の研究開発費も増えるかもしれませんね。
またぼくの職場でも新たなプロジェクトが立ち上がるかも。
ぼくは今取り組んでいるスパコンとXFELプロジェクトが大成功したら、理研を辞めて教育業界に戻るつもりですが、面白い仕事があったら辞められなくなっちゃいますよー。
あはははは。
 
『たのしい理科授業』'03.9に書いた原稿をお読み下さい。
ノーベル賞が増えることをちゃんと予想してますよー。
なんちゃって!

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ノーベル賞・日本人受賞者はもっと増える!

昨年のノーベル賞は、小柴先生の物理学賞、田中先生の化学賞のダブル受賞で、日本は沸き立ちました。
特に化学賞は3年連続の受賞で、日本の研究レベルの高さを世界に知らしめました。

日本の研究環境は、既に世界のトップレベルとなっています。
平成14年版『科学技術白書』から数字を拾ってみましょう。

はじめに研究者数をアメリカ、EUと比べてみましょう。
科学者全体の数ではアメリカが111.4万人、EUが93.2万人、日本が72.8万人ですが、人口1万人あたりで比べるとアメリカ41.6人、EU24.7人、日本57.2人となっています。
人口あたりの研究者数では、日本は世界一となっているのです。

次に研究費を見てみましょう。
アメリカ28.6兆円、EU20.6兆円、日本16.3兆円となっています。
これを研究者数で割ると、研究者ひとりあたりの研究費では、ほぼ互角です。

それでは研究成果である特許数はどうでしょうか。
出願数では、アメリカ221万件、EU203万件、日本79万件ですが、特許として認められた登録数は、アメリカ19万件、EU23万件、日本21万件とこれも互角です。
特許数は応用研究の充実度を示しています。
 
では、基礎研究の分野ではどうでしょうか。
マスコミなどでも、日本は基礎研究が弱い、外国から基礎研究を輸入して応用することだけが上手い、などと言われています。
これは事実なのでしょうか。

実は、基礎中の基礎である理論科学の分野でもトップを走っているのです。
これは、日本のコンピューター環境の充実が大きく効いています。
近年の理論研究においては、コンピューターによるシミュレーションや数値計算は欠かせません。

日本の大型コンピューターは世界最高水準の性能を持っています。
これが日本の大学、研究所のそれぞれに配備され、研究者の共同利用が可能になっています。
基礎研究を学ぶ大学院生でさえも、かなり自由に使えるようになっています。

アメリカにも大型コンピューターはたくさんありますが、軍事、産業目的の使用が優先され、基礎科学の研究者はあまり自由に使えないのです。
その上、アメリカはコンピューターに関して大変厳しい貿易障壁を設けているため、日本製の安くて性能の良いコンピューターを輸入することができないのです。

だから、アメリカに留学している日本の研究者は、インターネットで日本のコンピューターにつないで計算をしていたりするのです。
アメリカの研究者も、日本のコンピューターを使いたいがために日本人研究者との共同研究をもちかけてきたりもしているそうです。
おかげで、素粒子論や宇宙物理学のような基礎科学の分野でも日本はトップを走っているのです。

それではなぜ今まで、日本人研究者のノーベル賞受賞は少なかったのでしょうか。
ひとつにはノーベル賞の受賞対象分野が限られているということがあります。
日本人研究者は、工学分野、農学分野を専攻する研究者が多いのですが、ノーベル賞に工学賞、農学賞はありません。

もうひとつは、ノーベル賞は基本的に個人の業績に対して贈られる賞であるということ。
ところが日本人の研究は、グループで行われる場合が非常に多いのです。
日本の伝統的な研究スタイルと言っていいかもしれません。
強いリーダーシップを取れる教授の元に優秀な若手研究者が集まり、切磋琢磨をしながら協同で研究を進めていく。
まさに、小柴先生のグループの研究スタイルです。
日本の集団による研究スタイルと、個人に与えられるものというノーベル賞のコンセプトが、今まではあまりなじまなかったのです。

しかし、ノーベル賞の選考基準も個人の業績に限らないようになってきました。
それが小柴先生の受賞につながったのでしょう。
今後、日本人受賞者は絶対増えます!
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