2008年10月28日火曜日

子どもは明るく正直に

こんにちは
 
昔、すぐごまかしたり嘘をついたりする部下がいました。
でもすぐばれる。
だって、嘘をついたことを忘れちゃってるんですから。
まるで子どもみたい。
その意味で、かわいげのある人でもありましたね。
 
その部下にぼくは「嘘は一つだけにしておきなさい」なんて言ったこともあります。
嘘もちゃんと覚えておかないと、ちょっとしたところでほころびが出ちゃいます。
一つくらいならちゃんと覚えておけるからね。
大人にもなれば「嘘も方便」ってこともありますけど。
 
最新の脳科学で、人間の脳はメモリーベイスドアーキテクチャ(記憶を基にした構造)であることが分かってきました。
記憶したことを複数組み合わせたり、操作したりして思考している。
組み合わせたり操作したりする場所は、脳の前頭前野にあるワーキングメモリ。
ワーキングメモリに記憶したことを呼び出して、考えているんです。
 
ところがこのワーキングメモリはとても容量が少ない。
大人でも7つくらいしかないことが、研究の結果分かっています。
この7つのメモリを使い切ってしまうと、何も考えられなくなってしまうのです。
ワーキングメモリに空きがあるほど、クリアな思考ができるのです。
 
で、嘘やごまかしをばれないようにするためには、常にそのことを意識しておかなくてはなりません。
常に意識に乗せておく場所が、このワーキングメモリなのです。
嘘やごまかしをすると、ワーキングメモリを消費してしまいます。
しかも最大7つまでしか記憶できない。
しかもしかも、ワーキングメモリが満杯になると、思考が停滞しますから、より嘘ごまかしはばれやすくなる。
なので、大人でも嘘はせいぜい一つまでというのが、理にかなっているわけなんです。
 
悩みや悲しみもこのワーキングメモリに常駐しがちです。
だから悩みが多いとまともに考えられなくなるのです。
悩みがたくさんあるときは、以前紹介したようにそれらを紙に書き出すなどして「脳出し」することによって、ワーキングメモリに空きをつくるといい。
一つずつでも悩みを解決していくことによって、脳はクリアになっていき、悩みから解放されるわけです。
 
さて、これも最新の脳科学で子どもの脳についても研究が進んでいます。
子どもの脳にも当然ながらワーキングメモリがありますが、その数は大人より少ないことが分かりました。
幼児など、2つ、3つしかないのです。
ワーキングメモリの数が少ないから、子どもは複雑な思考ができないのです。
 
複雑な思考ができないだけではありません。
子どもの嘘はすぐばれますが、これもワーキングメモリがすくないためです。
嘘をメモリに常に保持していることができないのです。
常に保持させると、残りのメモリがなくなって何も考えられなくなってしまうからです。
だから、子どもは嘘をついてはいけないのです。
子どもに嘘をつかせるような状況を大人が作ると、子どもの思考は停止してしまうのです。
だから、子どもの嘘は脳へのダメージが大きいのです。
 
悩みも同じです。
子どもが悩むと、それがすぐワーキングメモリを満杯にしてしまいます。
メモリに空きがなければ考えることができません。
考えない、すなわち脳を使わなくなるので、脳の発達を阻害します。
脳は使わなければ萎縮してしまいます。
だから子どもの悩みは、回復不能なほど脳にダメージを与えてしまうのです。
子どもの頃の激しいいじめがよくないのは、このことでも分かります。
 
昔から、子どもは明るく正直に育てよ、と言われてきました。
これにはちゃんと意味があるんです。
明るく正直に育てば、脳はスクスクと発達するのです。
子どもが明るく正直に育つよう、大人は環境を整えていかなくちゃいけないんですね。

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