2008年11月9日日曜日

子どもの脳を壊すな

こんにちは
 
最新の脳科学で子どもの脳についても研究が進んでいます。
人間の脳はメモリーベイスドアーキテクチャ(記憶を基にした構造)であることが分かってきました。
記憶したことを複数組み合わせたり、操作したりして思考している。
組み合わせたり操作したりする場所は、脳の前頭前野にあるワーキングメモリ。
ワーキングメモリに記憶したことを呼び出して、考えているんです。

ところがこのワーキングメモリはとても容量が少ない。
大人でも7つくらいしかないことが、研究の結果分かっています。
この7つのメモリを使い切ってしまうと、何も考えられなくなってしまうのです。

子どもの脳にも当然ながらワーキングメモリがありますが、その数は大人より少ないことが研究の結果分かりました。
幼児など、2つ、3つしかないのです。
ワーキングメモリの数が少ないから、子どもは複雑な思考ができないのです。

複雑な思考ができないだけではありません。
子どもの嘘はすぐばれますが、これもワーキングメモリが少ないためです。
嘘をメモリに常に保持していることができないのです。
常に保持させると、残りのメモリがなくなって何も考えられなくなってしまうからです。
だから、子どもは嘘をついてはいけないのです。
子どもに嘘をつかせるような状況を大人が作ると、子どもの思考は停止してしまうのです。
だから、子どもの嘘は脳へのダメージが大きいのです。

悩みも同じです。
子どもが悩むと、それがすぐワーキングメモリを満杯にしてしまいます。
メモリに空きがなければ考えることができません。
考えない、すなわち脳を使わなくなるので、脳の発達を阻害します。
脳は使わなければ萎縮してしまいます。
だから子どもの悩みは、回復不能なほど脳にダメージを与えてしまうのです。
子どもの頃の激しいいじめがよくないのは、このことでも分かります。

昔から、子どもは明るく正直に育てよ、と言われてきました。
これにはちゃんと意味があるんです。
明るく正直に育てば、脳はスクスクと発達するのです。
ワーキングメモリの空きが確保されれば、好奇心も発揮され、子どもらしい知性を磨くことができるのです。
子どもが明るく正直に育つよう、大人は環境を整えていかなくちゃいけないんです。

習い事やお稽古ごとをあれこれたくさんやらせるのも、子どもの脳の発達を阻害します。
同時期に多くのことをやらせることは、ワーキングメモリを使い切ってしまう恐れが大きいのです。
それも子どもが好きでもないことを、今日はピアノ、明日はスイミング、その次はくもん、なんてやらせると、すぐに脳のワーキングメモリは満杯になり、子どもの脳は破壊されてしまうのです。
こういう子どもは、暗い顔になり、嫌なことから逃れようと嘘をつくようにもなってしまいます。
親は子どもによかれと思ってあれこれやらせるのだとは思いますが、お金を使ってわざわざ子どもの脳をダメにしているなんて、損ですよね。
 
やらせるなら、子どもが本当に好きな一つのことだけにするべきです。
好きなこと、一つだけなら、ワーキングメモリに常駐しても害はありませんし、むしろ常駐させるべきでしょう。
好きなことをいつも考え続けるのは、幸せなことだからです。
 
もちろん子どもは何が本当に好きなのか自分では分からないこともあります。
お金を出したんだから指導は先生にお任せというのではなく、習っている時の子どもの様子を親も見て、子どもが喜んでいるのか、適性はありそうなのか見極める。
行けそうならそれに集中する。ダメそうならスッパリ止める。
 
そしてコレと決めたなら、容易にあきらめないことです。
この間ピアニストの中村紘子さんの講演を聴きましたが、幼少の頃から厳しい練習を積んできたそうです。
お母さんも紘子さんが嫌がったときでも、毎日一定時間ピアノの練習をさせた。
泣いても許してはくれなかった。
それが今の自分を作ってくれたんだ、とおっしゃっていました。
 
やるなら一つだけ。
コレが原則なんです。

0 件のコメント: