2009年3月9日月曜日

日本人は飢えない

こんにちは

日本の食糧自給率は40%だと言われています。
つまり、日本人の食べるもののうち、40%が国内産で60%が外国からの輸入。
それは統計的事実です。

そう聞いちゃうと、国内で作っている食べ物はとても少ないんだな、国際紛争などが起こって食料の輸入がストップしたら大変だな、と誰もが思うのは当然です。
なので、もっと自給率を上げなければいけない、という主張に賛成してしまいます。
もっと国内の農業を大切にして、畑や田んぼを増やして行きましょうという政治家もいます。

一方で、田んぼを減反したりして国内の生産量を下げているようです。
つまり米は余っているということです。
これまでの減反政策で3割もの田んぼが減っているそうです。
この田んぼを復活させれば、お米は現在の1.4倍(=1÷0.7)も増産可能という計算です。
でもお米は余っているので、増産はしていないのです。

それなのに、大量のお米が輸入されていて、事故米事件なんてのも起こりました。
政府が輸入したお米は、凶作などに備えて数年間備蓄されたあと、入札によって商社に安い値段で売られます。
このお米は商社から転売されて、コンビニ弁当や低価格の外食産業のご飯として、私たちの口に入ります。
事故米は、カビが生えたり、規定量以上の農薬が検知された輸入備蓄米です。
食用以外の目的で使うことを条件に、政府は安く入札にかけます。
事件になったメタミドホスという農薬が規定濃度以上検知されたお米は、輸入時点では許容濃度だったようです。
備蓄している期間に、規制が強化されたために規定濃度を超える事故米になってしまった。
なので、十分食用にもできるお米だったわけです。
そこで食品ブローカーは、食用米として転売し、大もうけしてしまったのです。
この事故米での健康被害がまったく出ていないのは、こういう理由だったのです。

さて、話を戻します。
日本は食料が足らないのでしょうか、余っているのでしょうか。
わけが分からなくなってしまいます。

食糧自給率40%というのは、どうやって計算したのかちょっと調べてみました。
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/index.html
すると、この40%という数字は「カロリー」から計算された数字だと分かりました。
つまり、国内で生産された食料のカロリー÷日本人が消費した総カロリー、で計算した結果なのです。
一人の人が1日に2000カロリー消費するとすると、その40%である800カロリーが国内産、残りの1200カロリーが輸入されたものということです。
輸入備蓄米もこの1200カロリーに含まれているってことですね。

ところで、日本人が消費した総カロリーってどうやって推計しているんでしょうか。
出された食事を全部食べる人もいれば、残す人もいます。
そんなのまで正確に計測するのは不可能です。
推計の元になる数量は、取引数量なのだそうです。
たとえば、お米が1t売却されたらそれが全部食べられたものとして、1tにお米の1gあたりのカロリーをかけ算しているのです。
これなら、全部食べても食べなくても統計上同じ数字にできます。

実は、輸入した食料のうち40%は実際に食べられずに捨てられているor家畜などの飼料となっている、という統計もあります。
たしかに、コンビニ弁当などはお店に大量に置いてあり、その全部が売れるわけではありません。
一定時間が経過したら、品質保持や衛生上、廃棄されてしまいます。
お客さんに買われた弁当でさえ、食べ残しはあるはずです。
レストランなどの残飯量も、お客さんに出された量の20%以上にもなるそうです。
レストランでは料理を美味しく美しくするため、食材の利用率も低い。
野菜の面取りをたくさんしたり、お肉の脂や筋の部分は捨てたりしています。
本来なら食べられるところも、かなり捨てられているのです。

そう考えると、食糧自給率40%というのはいったいどんな意味がある数字なのか分からなくなってしまいます。
養老孟司/竹村光太郎『本質を見抜く力』PHP新書\760-によると、国内生産の食料だけで国民一人あたりのカロリーを満たすに十分なのだそうです。
昭和20年代に日本人が食べていたカロリーと同等に食べられるとのこと。
昭和20年代だと、腹一杯は食べられなかったかも知れません。
今ほど美味しい料理を食べられず、脂身やすじ肉も食べる必要があるかもしれません。
でも無駄に捨てたり、食べ残したりすることも少なかったと思います。

ところでカロリーベースでの自給率は40%なのですが、金額ベースでの統計も農林水産省のホームページに載っていて、これは68%もある。
これは、高カロリーのものほど安物の輸入に頼っていて、低カロリーだけど高価なものは国産であることが分かります。

高カロリーだけど安物って何でしょうか。
日本の自給率はどうやれば上がるのでしょうか。
もうちょっと詳しく調べてみましょう。

日本人が食べるものは大きく分けて、「ご飯など主食といわれるエネルギーを得るためのもの」「野菜や果物などビタミンを取るためのもの」「肉や魚などタンパク質を取るためのもの」の三つがあります。
統計によると、日本人一人あたり1日に約1600カロリー食べており、その内訳は主食で930カロリー、野菜や果物で140カロリー、肉や魚介類で530カロリーとなっています。

それぞれのカロリーベースでの自給率を調べてみます。
まず、「ご飯など主食といわれるエネルギーを得るためのもの」の自給率は66%もあります。やはりといえばやはりですが。
主食は、米とパンを作るための小麦がほとんどと言っていいです。
このうち米は余るくらいですから、自給率100%。
小麦はほとんどが輸入です。
つまり主食で自給率を上げるには、米食、ごはんを食べるようにすればいいことが分かります。
これは誰でも気付くことかもしれません。

次に、「野菜や果物などビタミンを取るためのもの」の自給率を調べてみます。
これも61%もあります。
新鮮野菜は、やっぱり国産でしか食べられないものだからでしょう。
というわけで、主食や野菜などは60%以上もの自給率があることが分かりました。

なのに全体の自給率は40%なのですから、残る「肉や魚などタンパク質を取るためのもの」が自給率を下げている元凶であることは明白です。
肉や魚介類の自給率は、なんと26%しかありません。
いかに日本人は、肉や魚を輸入に頼っているかが分かります。
だから、食糧自給率を上げるには田んぼや畑を増やしたってダメなんです。
肉や魚介類を国内で生産する必要がある。

でもこれは可能なのでしょうか。
たとえば畜産には広い土地が必要です。
安い肉を消費者に提供するには、タダみたいに安くて広い土地がないとダメです。
日本にはそんな土地はありません。
だから畜産農家は狭い土地でも付加価値の高い、黒毛和牛を育てているわけです。

また、畜産には多くの飼料が必要です。
ほ乳類など温血動物の産肉効率はたった3%しかありません。
子牛をを育てて3kgの肉を得るには100kgの餌が必要なのです。
この飼料も国内で安く手間をかけずに生産するためには、途方もなく広大な土地が必要になります。

つまり、高カロリーで安い食料とは、肉類のことだったのです。
安い肉を供給できるのは、アメリカやオーストラリアのような広大な土地を持つ国しか可能ではないのです。
ですから日本で肉類の自給率を上げるのは原理的に無理なのです。

では日本の自給率を上げるにはどうすればよいでしょうか。
日本人が1日に食べる1600カロリーのうち、肉類から530カロリーも取っています。
人間の栄養としてタンパク源は必ず必要ですが、こんなには要らないのです。
530カロリーというのは、タンパク源と言うよりエネルギー源として肉を食べてしまっているということです。

エネルギーを取るためなら主食で取る方が合理的です。
特に国内での生産に余力のある米を食べるのがいい。
結局、一人ひとりが食生活のパターンを見直すことしかないのです。
そうすれば、日本人は飢えることなどないはずなんです。

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