2009年5月20日水曜日

へりくだらず、堂々と、しかし威張らずに

こんにちは

昔話につき合ってください。
ぼくが教員になって1年目のこと、観劇教室という行事がありました。
売れない劇団が地方の学校を巡回して廻っているんですね。
観劇代として、子どもひとり500円ずつ集めることになっていました。
「学校便り」で各家庭にお知らせされ、ある期日に子どもがお金を袋に入れて学校に持ってくる。
会計役は教頭先生がやることになっていました。

ぼくは素直な性格ですので、教室に子どもが持ってきたお金の袋を集め、クラス全員が持ってきていることを確認しました。
会計役は教頭なのだから、中身は開放せずそのまま教頭に渡しました。
お金は子どもの名前を記した封筒に入っていましたから、誰が持ってきたかそれで分かるはずです。

その日の放課後、ぼくが教室から職員室へ戻ると教頭に呼ばれました。

 教頭「あー、関口君、君のクラスのお金が¥500足りないんだけどね」
 ぼく「そうですか。誰の分が足らないのですか」
 教頭「いや、誰だかわからないけど足りないんだ」

分からないもへったくれもありません。
会計役なんだから、封筒とその中に入っているお金を確認すればいいはずです。
挙げ句の果てに教頭はこんなことを言う。

 教頭「足りないお金、君のポケットに入ってるんじゃないの」

なんてこと言うんだ、このオヤジ!!
封筒とお金を分離してしまったので、本当に足らなかったのか、足らなかったなら誰の封筒に入っていなかったのか、その時点ではもはや確認できませんでした。
ぼくはまだ世間に慣れていなかったので深く傷つき、その場で自分の財布から¥500を出して教頭に渡しました。
もしかするとぼくは半泣きしていたかもしれません(若いね、こりゃ)。

あとで他の先生に聞いたら、集めたお金は先ず担任が開封、確認して教頭の所へ持っていくのだそうです。
それならそうと最初に言ってくれればいいのに!
「会計役は私がやります」なんて言うから、お任せしちゃったぼくが悪いんですかね。

今考えると、これは単に<意地悪>の類だったんだと思います。
最近は誰かからイヤなことをされても、「これは意地悪なんだな」と思ってやり過ごすことができるようになりました。
そして、自分は意地悪なオヤジにはならないように注意しようと思うようにしています。
意地悪なオヤジって、下品でかっこ悪いもんね。

黒川伊保子『LOVE brain』PHP研究所\1350-にこうありました。

###
男が公明正大であるためにも、女が上品であるためにも、まずは他人を下卑た欺きに陥れないことだ。
自分がしたことは、他人もすると考えるのがヒトの脳である。
自分の欺瞞と高慢の数だけ、私たちは後の人生で萎縮する。(47p)
###

確かに、意地悪したり他人を欺いたりする人はどこにでもいますね。
そういう人は、自分がそうだから他人もそうだと思っている。
だから他人を信頼できないんです。
他人を信頼できなければ、自分も誰かから信頼されることもありません。
なので、威張ってみたり、どうでもいいことで怒ってみたり、自分の方が立場が上だというような態度に出るんでしょう。
あるいは、自分より明らかに上の立場の人に対しては、妙にへりくだってしまう。
下品です。

上品なふるまいとは、「へりくだらず、堂々と、しかし威張らずに」なんだそうです。
自分に実力があり、多くの人から信頼されていれば、堂々としていられます。
もちろん、へりくだる必要もない。
自分から威張らなくたって、みんなから健全な尊敬を得ることができます。
萎縮せず、伸び伸びとした人生を楽しむことができるんです。

0 件のコメント: