2009年6月22日月曜日

残業は損 その1

こんにちは

労働組合の執行委員長になったので、雇用者側といろいろな協定を結びます。
こんな協定を労使で結んでたのか!って思うこともしばしば。
楽しい、楽しい。

たとえば「さぶろく協定」。
これは超過勤務=残業に関する協定です。
毎年毎年年度初めには、どこの会社でも労働者代表と会社はこの協定を結んでいます。
知ってましたか?

「さぶろく」とは、労働基準法36条のことです。
協定書にハンコを押す前に、労働基準法をちゃんと調べてみます。
例年通りだからって、そのまま通してはいけません。
責任者なんだから、根拠をちゃんと知ってからハンコは押さなくちゃね。
で、労働基準法第36条を読んでみると、こう書いてあります。

(時間外及び休日の労働)
第三十六条  使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。

これを読むと、労働者に残業をさせる時は、予め労使で合意して協定を結び、官庁=労働基準監督署に届けないといけないわけですね。
この協定を結ばない限り、会社は残業させちゃいけないんです。
だから会社は毎年度はじめに、早くこの協定を結びたいわけです。

ところで、基本となる労働時間も労働基準法で規定されているのです。
それは、第23条。

第三十二条  使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2  使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

つまり、基本的には(さぶろく協定を結ばない限り)週40時間、1日8時間を超えて労働させちゃいけないことに法律上なっているんです。
知ってた?

これは、1日の労働時間は8時間以内にしとくのが基本なんだってことです。
労働基準法はそもそも労働災害を防ぎ、労働者の生存権を守るための法律です。
労働者が健康に安全に働くためには、その労働時間は1日8時間以内にしておくのが妥当だ、という社会的認識があったからこのような法律になっているわけです。
あまりに長時間の労働で労働者が搾取されてきたという、歴史的事実があるわけなんですね。
長時間労働の果てに労働災害で死亡したり、病気になって、使い捨てのように解雇されてきた歴史があった。

ただし、常に8時間労働だけでは産業は立ちゆきません。
生産には波があり、生産品の需要に供給が追いつかないときもある。
そういうときは増産しないと、せっかくのチャンスを会社は逃してしまいます。
本来なら増産のために、新たな設備投資と人員の雇用をすべきですが、それが間に合わない。
そのために残業があるんです。
増産することによって会社が儲かれば、労働者の給与待遇だって上がるはずです。
労働者にとってもメリットがある。
そういう場合は、労使互いにメリットが出る範囲で残業は認めましょう、というわけです。
労働災害に至らない範囲で、時には労働者もがんばって働きましょう。
それが自らのためにもなるから。
そういう趣旨での法令が労働基準法36条であり、その協定がさぶろく協定なのです。

だから、さぶろく協定は「限定的」なものだと分かります。
のべつ幕無しに残業してよい、というものではないのです。
協定の範囲内だからって、毎日毎日、毎月毎月、残業するのは法の趣旨に反している。

ずっと残業させなければならないということは、ずっと需要が供給を上回っているということです。
そういうときは、会社は新規設備投資をし、新規雇用をする。
そして、今いる労働者の常態となっている残業を解消させる必要があるのです。

(つづく)

0 件のコメント: