2009年9月1日火曜日

情熱


こんにちは

先週はすごくヘビーな出張をしちゃいました。
電気設備学会参加のため富山へ行き、自分の講演が終わったら即神戸へ向かい、スパコンの打ち合わせが終わってから播磨に向かい、XFELの打ち合わせ。
そして帰宅は夜中の12時過ぎ。
さすがに疲れましたよー。
どれもぼくのやりたい仕事です。
手なんか抜けませんぜー。

電気設備学会論文集をながめていたら、きんでんさんの広告が載っていました。
きんでんさんは、XFEL、スパコン、筑波特高変電所工事でお世話になっている施工会社さんです。
その広告の文面が気に入っちゃいました。

 チーム、きんでん。
  (施工力+技術力+現場力)×情熱

おーー、素晴らしい!
情熱がかけ算としてあるのがいいですね!

前々からぼくは、基礎と情熱があればなんだってできる、と言ってきました。
言うだけじゃなく実践してきました。
基礎と情熱の関係は、かけ算なんです。
基礎×情熱。
つまり、一方が0なら結果は0なんです。
基礎のない人は、たとえ情熱を持っていてもそれが空回りする。
情熱がない人は、たとえ基礎力があってもいい仕事はできないんです。
若い人は情熱があっても基礎力が足りない。
だから若い人は意図的に基礎力を身につけていく必要があるから、勉強しない若者はろくな人物になれません。
ベテランはそれなりに経験を積んで基礎力は身に付いているんですが、往々にして情熱に欠ける。
情熱の欠けたベテランは、やっぱりいい仕事はできないんです。

きんでんさんは、電設会社の基礎力を分解して(施工力+技術力+現場力)と示しているんですね。
そしてその後にかけ算で情熱を持ってきている。
ベテランの人だけじゃなく、大会社の人もしばしば情熱に欠けるところがありますから、大会社であるきんでんさんとしてはそれを戒める目的もあるのかもしれません。
熱の入ったアツイ仕事は見ただけでその熱が伝わってきます。
だからいい仕事は、基礎×情熱で造られるんです。

安藤忠雄『建築家安藤忠雄』新潮社¥1900-にこう書いてありました。

###
打設後のコンクリートの離れをよくするための型枠の仕様など、試行錯誤の中で、一歩一歩、技術を蓄えていったが、経験を積むうちにはっきりしたのは、結局、一番大切なのは、現場で働く人間の”気持ち”だということだった。
型枠に流し込まれるドロドロとした砂と砂利とセメントの混合物。
それがびっしりと編み込まれた鉄筋の間をすりぬけて、型枠の隅々まで行き渡るまで、監督も職人も、木槌と竹棒をもって走り回る。
そこでの彼らの目的意識の高さ、つまり”いいコンクリートを打ちたい”という思いが、そのまま仕上がりに表れるのだ。(156p)
###

安藤さんの設計のひとつの特徴は、コンクリート打ちっ放しの仕上げです。
普通の建物はコンクリートを打設した後に、タイルを貼ったり、モルタルで上塗りしたりして、仕上げ、化粧を施します。
安藤さんの設計では、そういう化粧はしないんです。
だから、いいコンクリートを打たなくちゃいけない。
ところでコンクリートは建物の構造にもなっている重要なもの。
後で化粧すればいいやと思ってしまうと、いいコンクリートは打てません。
それは建物の基本性能である構造をもダメにしてしまうのです。
安藤さんは、いろいろ技術と経験も積み上げてきた。
つまり、基礎ですね。
でもそれだけではいいコンクリートを打てないことが分かった。
現場で働く人間の気持ちが一番大事だと分かったんです。
つまり、情熱ですね。

さてさて、無謀な出張もぼくの情熱の顕れです。
もちろんぼく自身がやりたいからやっているわけですが、この情熱を一緒に仕事をしている仲間にも伝えたいとも思っているのです。
情熱は伝染するんです。
発注者であるぼくが情熱もなくだらりんと仕事をしていたんじゃ、スタッフだってだらりんとしてしまう。
それじゃいい仕事になりませんから。

0 件のコメント: