2009年9月9日水曜日

クレームは愛情

こんにちは

ぼくの仕事のメインは工事の施工監督です。
しょっちゅうガミガミ怒っています。
はっきり言って疲れます。もうトシだしね。
なぜ怒るかと言えば、スタッフにいい仕事をしてもらいたいからです。
いい結果を残してもらいたいからです。
完成後に怒られなくていいようにしたいからです。
完成して何年も経って、自分の子どもをそこに連れて行き「これはオレが造ったんだぜ」なんて自慢できるように。
そうあるように、日々情熱を燃やして怒っています。

先週はある資材の工場立ち会い検査に行きましたが、そこでも怒りました。
いったい誰のために造っている製品なんだー!!って。
その資材も「合理的」には造られていましたが、エンドユーザーにとっては不合理なものだったのです。
ぼくは「自分の不都合を他人に転嫁する」ようなことが大嫌い。卑怯なことだと思います。
たまたまその会社の会長さんは、以前からつながりのある技術者君のお父さんだったので、こんなメールを送りました。

 先日は工場立ち会い検査におじゃまさせていただき、ありがとうございました。
 少々苦言を申し上げねばなりません。
 顧客のことを考えて製品を作っていらっしゃるのかどうか、疑問に思いました。

 キュービクル側面点検扉を開いてびっくり。
 目の前に前面側と背面側を結ぶバスバーが取り付けられていました。
 これでは停電中でも内部に入っての作業ができません。
 仕方なくそうなっているのなら理解もできますが、少し工夫すればバーは迂回し
 て設置できるものでした。
 同様に盤内部に入れない、入りにくいところが何カ所もありました。

 キュービクルは定期的に点検することが、電気保安上大切です。
 点検でもっとも大切なのは、目視と清掃です。
 キュービクル内部に入って、端子部や内部配線を間近に見て劣化状況を確認する。
 バーなどに付着した埃を十分清掃することによって、トラッキングによる短絡事
 故を防ぐ。
 建設工事中であっても、ケーブル入線、端子部ボルト締め付けなど、キュービク
 ル内部での作業は必要だと思います。
 これらのためには、キュービクル内部に容易に入れる構造であることが必須であ
 り、キュービクルの製造上もっとも基本的で大切なことだと思います。

 また、停復電自動制御において、自動手動切り替えスイッチが手動側になってい
 ると、保護継電器が動作しないようになっていました。
 自動制御のシーケンスも、スイッチがどの位置にあろうと安全のための動作は確
 実になされなければならないものと思います。

 何か、自分たちが作りやすいように作っている、工夫しなくていいように作って
 いる、顧客のことは考えてない、ような印象を受けてしまいました。
 顧客が喜ぶような製品を作ろう、という意志を感じられなかった。

 事前に製作仕様書をお出しいただいて、施工者さん、発注者も確認はしています。
 ですから、施工者さんや発注者の確認不足だったとも言えるかもしれません。
 が、盤内部へ入れるかどうか、安全なシーケンスになっているかどうかは、当然
 盤メーカーさんが十分考慮して製作されているのが前提だと思います。
 その上で、施工者さんは施工上問題はないのかどうか、負荷設備と整合している
 のかどうかをチェックする。
 ぼくら発注者は、研究内容と整合しているかどうか、引き取った後のメンテナン
 ス上配慮しておくことはないかどうかをチェックする。
 それぞれの役割があり、それを果たすことがいい仕事になっていくのだと思います。

 他の人の役割を補っていくことは大切ですが、まるっきり頼るような仕事の仕方
 は全体としてパフォーマンスを落とします。

 以上、先日の工場検査で感じたことをお伝えしました。
 今回の製品もたくさん指摘させていただいたので、最終的にはよいものをお納め
 いただけると思っています。
 たまたま今回はそうであっただけ、と思っています。
 残り、研究棟用キュービクル、空調用キュービクルをお願いしています。
 もう一度、御社工場での立ち会い検査もすることになると思います。
 ぜひ、よろしくお願いします。

こういうクレームを伝えるのはリスクもあります。
ずいぶん昔、別のメーカーさんに苦情を言ったことがあります。
もちろんあまりにひどい製品だったからです。
二度とそのメーカーの製品は使いたくなかったので、次の仕事からそのメーカーさんに声をかけることを止めました。
そうしたらそのメーカーさんはバッジ付きのおじさんを伴って、我が社の役員のところへ怒鳴り込んできたんです。
あの生意気な担当者をクビにしろ!って。
あー、びっくりした。
ぼくは間違ったことをしているわけではないと信じていましたから、平気でしたけどね。
その後そのメーカーさんは倒産してしまったので、ますますぼくの判断は間違っていないと確信できましたよ。
わはははは。

川端裕『メンタルヘルスに手を出すな!!』同友館\1800-から引用します。

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クレームは日本では苦情と訳されることが一般的ですが、本来のクレームの意味は「要求」です。
そこには否定的な意味は込められていません。(略)
そもそもクレームを言ってきてくれたということは、そのお客様はあなたの会社のことが気に入っているのです。
悪質な、いわゆるクレーマーも存在しないわけではありませんが、その割合は極めて少数です。
恐らく1%に満たないでしょう。
クレームを投げかけた残りの99%のお客様は、善意から苦言を呈してくれているのです。
このことは自分に置き換えてみれば簡単にわかると思います。
企業にクレームを言うのは手間も時間もかかります。
嫌な客だとぞんざいに扱われるかもしれないことを考えると、何よりも気が滅入ります。
要するに、本当はしたくないことなのです。
だから、多くのお客様は無言のまま他社に乗り換えます。
そして二度と戻ってきてはくれません。それどころか、場合によっては、あなたの会社の悪口、悪評をあなたの知らないところで撒き散らします。
それが普通なのです。
にもかかわらず、そうしたさまざまなデメリットをおしてまで「業務改善提案」をしてくださるお客様が、あなたの会社のファンでなくてなんだと言うのでしょう。(103-104p)
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さて、すぐ会長さんから誠実な返事をもらいました。
最終的にはきっといい製品が現場に納められることになるでしょう。
終わりよければすべてよしです。
とはいえ、ぼくも最後まできっちりと監督していかなくちゃ、と思っています。

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