2009年12月30日水曜日

行動を起こせ、改善せよ!


こんにちは

先週、神戸スパコン施設の特別高圧電力の受電に立ち会ってきました。
ぼくらの次世代スパコンはCPUなどとても省エネルギーに造ってはいますが、超並列計算機ですので積み上げると数万キロワットもの電力を消費します。
よって77000Vという高い電圧で受電するのです。
電圧が高いと受電前の試験も念入りにやる必要があります。
受電作業もまるまる一日かかってしまうのです。

その日は幸いなことに天気には恵まれましたが、強力な寒波が日本列島を覆っており、めちゃ寒い日でした。
受電立ち会い試験の場所は、まだ生乾きのコンクリート建屋の中。
受電していませんから、当然ながら空調なんてありません。
屋外よりも寒い場所でした。
みんなぶるぶる震えながらの立ち会いです。

ぼくは発注者監督員ですので、寒かったら適当に歩き回ったり、事務所に戻って暖を取ったりもできます。
が、電気設備を総括する電気主任技術者の方はずーーーっとその場に居続けなくてはいけません。
お願いしている電気主任技術者の方は超ベテラン、すなわちじいさんです。
この寒い中での一日中の立ち会いは酷ですよ。
不快な状況で試験するとイライラもしますから、試験に集中できず好ましくないのです。
環境は大事なんですよ。

受電はしていませんが、見るとその部屋には試験のための仮設電源が引かれていました。
かなり太い電線で引かれていましたし、コンセントにも空きがあった。
これを利用すればいい、と思いつきました。
ぼくはメインの施工スタッフに言いました。

 おいおい、このまま寒い中で立ち会いさせるつもりなのかい?
 ほら、仮設電源にも余裕がありそうじゃないか。
 電気ストーブくらい用意しろよ。

スタッフはようやく動き出しました。
そのスタッフ自身、寒さでぶるぶる震えていたんです。
ぼくが指示して10分後には現場事務所にあった小型電気ストーブが用意されました。
そして1時間後にはしっかりとした電気ストーブも用意されたんです。
車で15分ほどの場所にある、施工会社の支社から取ってきた。
これで寒さは和らぎ、安心して受電立ち会いを継続できたんです。
結果、無事受電完了することができました。

要は「気が利かない」ってことです。
気が利くとは、

 ・現状の不満足な部分に気がつく
 ・それを改善するために行動する

ことです。
現状の不満足な部分に気がつかないのは、アホとしか言いようがありません。
でもそんなアホはめったにいませんよ。
たいていの不満足は、気がついているのにそれを我慢してしまうことに原因があります。
つまり、改善のための行動を起こさないのです。
行動を起こしさえすれば、改善は容易に成し遂げられるものです。
電気ストーブを用意するなんて、あっという間にできること。
なぜ行動を起こさないのかなーって、ぼくは思ってしまいます。

NHKテキスト『知る楽・仕事学のすすめ』¥657-藤原和博「スピード突破力」から引用します。

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いいものは実施する。
多少の不備な点は、やりながら修正していけばいい。
実施もせずにうだうだ悩んだり考えているくらいなら、やってみてからドンドン修正する。
100回修正すれば、たいていの不備は改善されるでしょう。(118p)
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世の中には「改革派」も多いですね。
改革派は、一度に全部を良くしようと考えています。
そして改革派は、改革できないなら何もしない人なんです。
何もしなければ、現状は変わるわけがありません。
変わらないので不満のまま生きているんです。

ぼくは「改善派」なんです。
改善とは、少しでいいから、一部でもいいから、良くしようと考え、実行することです。
とにかく何かできることはないかと探してみる。
そして何か思いついたら実行に移してみる。
もちろん時に大それた「改革」も思いついたりしますが、実行不可能ですよねー。
すぐに実行できるような小技をたくさん思いつくように、常に訓練しているのです。
で、やりながら考える。更に改善できることはないか探す。
そうやって、結果として世の中を改革できたらなーって思っているのです。


受電立ち会いの合間に、15年前にSPring8を建設したときの建設業務室メンバーだった大先輩たちをスパコン工事現場に案内しました。
昔ぼくもこの方たちにずいぶんと技術のことや仕事のやり方などを教えてもらいましたので、ご恩返しです。
それにしてもまあ元気なじいさんたちだこと!

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