2010年1月12日火曜日

抜き書きの楽しみ


こんにちは

ぼくはこうしてほぼ毎朝のようにこんなコラムを書いています。
その時々思ったこと、考えたことにからめて、本から引用します。
引用することが好きなんですよ。

引用するために、本を読んで面白かったこと、心にのこったことの書いてあるページの角を折ったり線を引いたりします。
読み終わると、その部分を抜き書きします。
昔はノートに手書きで書いていましたが、今はパソコンに打ち込んでしまいます。
抜き書きはだいたい職場で昼休みにしたり、出張中ホテルでの暇つぶしとしてしています。
なかなか有意義に時間を使っていると自分では思っています。
で、抜き書きが終わった本は同僚や現場スタッフにプレゼントしてしまいます。

抜き書きの習慣は、ぼくの尊敬する小学校教師だった岸本裕史さんの本に書いてあったことから身に着きました。
岸本さんの授業には、視写(本などを見ながら書き写すこと)や聴写(誰かが読む声を聴いて書き写すこと)が重要なものとなっています。
ぼくも教員時代によく授業しました。
国語の授業ではもちろん、理科や社会科でもよくやりましたね。
単純な作業ながら子どもの集中力を育てるにはよい方法だと思っています。

岸本さん自身、若い頃新聞の抜き書きをたくさんやったそうです。
そのおかげで、達意の文章を書けるようになったし、社会を見る目ができたとおっしゃっていました。
お寺では写経ということをやったりしますよね。お経を書き写すという修業。
写経も同じ原理なのかなと思います。
書き写すことによって、仏教思想の真髄に近づくことができるのではないでしょうか。

福田和也『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』PHP文庫\514-を読みました。
ここにも抜き書きの効用が書いてありました。

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抜き書きは、書き手の考えを理解する上で、とても役に立ちます。
もちろん、ただ写すのではなく、書き手になったつもりで、大袈裟に云えば憑依をして、書いていかなければなりません。
楽器を習ったことがある方はお分かりになると思いますが、ギターなどを練習する上で、好きなミュージッシャンののフレージングなり、手癖なりを真似た、つまりはコピーした体験があると思います。
そういう形でギターを真似ると、ただその曲を弾けるようになるだけではなく、元の演奏者の和音に対する解釈とか、分解の仕方が納得できるような気持ちになったことがあると思います。
文章もまったく同じです。(64-65p)
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書き手の考えを理解するために書き写すと。
ギターのコピーの喩えはぼくの心にストンと落ちましたね。
なんたってぼくは元ロックンローラーですから。
確かに、コピーするとそのミュージシャンの心に近づけたような気になります。
コピーは技術だけのコピーじゃないんだって思いました。
思想まで自分の中に取り込むんだって。
抜き書きは楽しいですよ!


写真はXFEL実験棟内部。
ぼくの仕事は、結局の所和光研究本館のコピーなんです!

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