2010年1月31日日曜日

電気は安い

こんにちは

電力会社さんに仕事で行ったら、電気自動車に試乗させてもらえました。
三菱自動車のミーブという車です。
音も静かで加速にも問題なく、とても乗り心地いい。
大容量のリチウムイオン電池が開発されて、大電力モーターも駆動できるようになってきた。
モーター自体もネオジム磁石を使ったPMモーターという小型で低消費電力、大出力のものが開発されてきたということもあります。
ただし今のところ車体価格は400万円超だそうで、庶民には手が届きませんね。
車体価格が200万円以下になれば、買う人も多くなりそうです。

初期費用はそうとして、燃費はどうなんでしょうか。
燃費と言っても電気自動車ですから電気代ですね。
電力会社の担当の方に聞いたら「ガソリンよりずいぶん安くすみますよ」とのこと。
ミーブはフル充電して160kmくらい走るそうです。
充電時間は家庭用100Vコンセントからだと14時間かかる。
家庭用100Vコンセントは15Aですから、供給可能電力は1.5kW。
14時間使うと、使用電力量は1.5kW×14h=21kWhになります。
家庭用の電気代は25円/kWhですから、25円×21kWh=525円となります。
1km走行するのに、525円÷160km=3.3円しかかからないのです。

同クラスの普通のガソリン自動車の燃費は、25km/Lくらいでしょうか。
ガソリン1Lは120円くらい。
すると、1km走行するのに、120円÷25km=4.8円となり、電気自動車の1.5倍近くにもなります。
この価格差は、ガソリンにかけられている揮発油税によるものかもしれませんが。

というところで気づきましたが、ガソリンには揮発油税という税金がかけられています。
揮発油税は道路建設費などに充てられています。
道路を使う=ガソリンを使う、と見てガソリンに課税しているわけです。
でも、ガソリン自動車だろうと電気自動車だろうと、道路は使います。
電気自動車には揮発油税は課税できないでしょうが、どうするんですかね。
既に普及が進んでいるハイブリッドカーはどうしているんでしょうか?

さて、工業的に出力の単位として、馬力[HP(ホース・パワー)]が使われています。
その名の通り、馬の力を単位にしています。
今でも、自動車のエンジンの出力や、モーターの出力の単位として、馬力を使うことも多いです。

国際単位(SI単位)では、出力の単位は[W(ワット)]です。
W=J(ジュール)÷s(秒)ですから、出力とは「単位時間あたりのエネルギー量」ということになります。
馬力とWとの換算は1[HP]=760[W]です。

1馬力を電気代に換算してみます。
1馬力で1時間運転した場合の電気代は、

 760[W]×1[h]=760[Wh]=0.76[kWh]、
  0.76[kWh]×\25/kWh=19円

となります。たったの19円なんです。
馬一頭を1日8時間走らせるのと同じことを電気モーターでやると、\19×8h=\152-でできちゃうのです。

ところで人間は何Wくらいの出力を出せるのでしょうか。
人は一日に2000カロリーくらいの食事を採ります。
一日に2000カロリーということは、100W程度と換算されます。
ただし、人間は恒温動物であるためその大部分が体温維持に使われてしまいます。
新陳代謝にも使われますから、摂取したエネルギーをすべて筋肉運動に使うことはできないのです。
運動として連続して取り出せるのは、せいぜいその1/4くらいの25Wでしょう。
1馬力が760Wですから、25Wは0.03馬力。馬の1/300くらいですね。

さてさて、人間一人が25W出力の肉体労働を8時間こなしたとして、それを電気代に換算すると、

 25[W]×8[h]=200[Wh]=0.2[kWh]、
  0.2[kWh]×\25/kWh=\5-。

1日8時間汗水たらして肉体労働しても、電気代たったの5円分にしかならないのです。
工場などで肉体労働は機械に置き換えられていった歴史がありますが、結局の所その方が安いからということなんですね。

我が家の1日の使用電力量は10[kWh]です。
ケチケチ生活を心がけているので、一般家庭としては少ない方の使用量だと思います。
それでも人間の肉体労働に換算すると、10kWh÷0.2Wh=50人分です。
それは電気のない時代に戻って今と同じ生活をしようと思ったら、50人の奴隷労働を必要とするってことです。
昔の貴族並みの生活を、現代の人々はしていると言ってもいいかもしれません。

電気は確かに便利なものです。しかも安い。
でも便利で安いからってザクザクと使っているのではないでしょうか。
太平洋戦争時3年間で使用したエネルギーを、現代の日本ではたった三日で消費しているそうです。
電気を人力に換算してみることによって、ムダにエネルギーを使わないようチェックする心がけを忘れないようにしたいですね。

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