2010年3月29日月曜日

成長の原理


こんにちは

前便で「仕事はプロに頼め」と書きました。
ぼく自身もプロフェッショナルでありたいので、誰かから「あ、この仕事、関口に頼もう」と思ってもらえるように精進しています。
プロの仕事とは、期日に遅れず、一定の品質で納品する、ということです。
簡単にいってしまえば「約束を守る」ってことですね。
期日を守らないのも、一定の品質を担保できないのも、約束違反ですからプロの仕事ではありません。

もう一つ付け加えるなら、プロの仕事は「美しい」のです。
芸術的な美しさではなく、機能美というものがプロの仕事からは感じられる。
ですから、プロの仕事かどうかは美しさによっても判定できるわけです。
ぼくはぼくと一緒に仕事をする人たちにもプロの仕事を要求します。
要求するだけじゃなく、ディレクションする。
こうやればプロらしい仕事に仕上げられるよ、ということを積極的に伝えるようにしています。

先週はSPring8キャンパスに建設していたXFEL電子ビーム輸送トンネルの完成検査がありました。
その1週間前に係員検査があり、ぼくが検査にあたりました。
機能的にはよい出来に仕上がっていましたが、ちょいと見栄えが汚らしい部分がありました。
ぼくは施工者にこう伝えました。
「最後は美しさだよ。汚いってだけで、雑な工事だと評価されちゃう。それは損だよね」
注意すべきポイントを具体的に指示して係員検査を終えました。

完成検査当日、朝早く現場に行き施工者さんたちと現場を巡回しました。
おー、ビューティフル!
これなら大丈夫。
そう太鼓判を押しました。
あとは、検査中にこやかに堂々としていなさい、って伝えました。
にこやかに堂々としているためには、自信がないとできません。
事前にぼくが太鼓判を押してあげることによって、少しは自信にもなるわけです。

検査本番。
担当理事、研究系トップの副本部長などに見てもらいます。
これらの人からよい評価をもらえれば、各施工会社の面目も立ち、実際に担当した施工者さんの自社での評価も上がります。
そうディレクションするのも、ぼくら監督員の大切な仕事だと思っています。

話を戻して、検査本番です。
工事概要の説明のあと、いよいよ現場確認です。
ところが、あっという間に終わってしまいました。
予定の時間の半分くらいで、ササッと見て回った。
それはすなわち、立ち止まって確認すべきところがなかった、ということです。
スバラシイ!

現場確認後に担当理事、副本部長の講評がありました。
理事の講評ではジョークも飛び出すほどのゴキゲンぶり。
気むずかしいことで有名な副本部長からも大変高評価をいただきました。
よかった~。
ぼくもホッとしましたよ。

三浦雄一郎『敗けない男の子にする本』主婦と生活社¥650-にこうありました。

###
学者にしろサラリーマンにしろ、その他どのような職業にしろ、男の一生とは「努力」して、その時点での一つ一つの仕事を「完結」させて、それを一本の太い縄につないで行くことの道程だ。
一つ一つの仕事を「完結」しえない人間が人に抜きんでられるはずはない。
「男なら今やっている仕事を完成させろ」と、子供には繰り返しいうべきで、子供はそうすることによって、強い意志と同時に内面的な成長もとげていくはずだ。(130p)
###

ぼくもこの仕事を完結させた充実感を味わいました。
また少し積み上がり、腕も上がったと思います。
もちろんまだ建物が完成しただけで、マシンがきちんと動いた時点で本当の完成です。
マシンの設置、試運転調整とともに、建屋設備のチューニングも必要になるでしょう。
それも施工スタッフの人たちと協力しながら、ひとつひとつ完結していきたいと思っています。
そして我が子たちにもぼくのそういう姿を見せていきたいと思います。


写真は神戸次世代スパコン棟エントランスです。
照明もなかなかに上手くいっています。
これから2ヶ月でしっかりと仕上げて行きたいと思います。

0 件のコメント: