2010年6月30日水曜日

天ぷらの高級店が美味いわけ

こんにちは

今日はボーナス支給日です。
家族でちょっと高級は天ぷら屋さんに行こうかなー。
やっぱり違いますからね、高級店は。
美味さが違います!

で、美味さのひみつは何なのか。
ネタも新鮮でいいものですが、結局は<油のよさ>です。
やっぱり揚げ油が新鮮でいいのだと。
一流のお店は、1日で揚げ油を交換してしまうのだそうです。
贅沢です。

でも毎日揚げ油を交換するというのは大変です。
お金もかかるでしょうし、廃棄するのも大変そうです。
我が家が行くお店は高級店ではありますが、値段はビックリするほど高くもありません。
毎日揚げ油を交換して廃棄しているとしたら、とてもこの値段ではできないように思います。
どうやっているのでしょうか。

実は、揚げ油には下取り市場が存在します。
高級店で使い終わった揚げ油は、二流の天ぷら屋さんに引き取られて行きます。
さらにそこで使った揚げ油は、トンカツ屋さんへと。
さらにさらにトンカツ屋さんから洋食屋さんへと。
こうした中古市場があるから、高級な天ぷら屋では値段をそれほど高くしなくても、毎日新鮮な揚げ油を使うことができるというわけです。
逆に安い天ぷら屋といえば「てんや」というチェーン店があります。
天丼が500円くらいで食べられ、まあまあ美味い。
美味いということは、揚げ油もまあまあのものを使っているということです。
はたして儲かっているんでしょうか。

てんやのHPにあるIR情報を見ると、それほど利益は出していない、赤字気味のようです。
それでも倒産しないのはなぜか。
同じくIR情報で株主を調べてみたら、天やの大株主は製油会社と商社でした。
きっと株主が揚げ油を直接供給してくれたり、揚げ油のリサイクルルートを常時確保してあったり、揚げ油の需給調整に天やを利用したりして、全体としての採算を取っているのではないでしょうか。
牛丼チェーンはたくさんありますが、天丼チェーンは天やだけ。
儲からなければ当然参入しないでしょうし、システムとしての揚げ油の供給ができないから他社が天丼業界に参入できないのでしょうね。

天ぷら以外の分野でも、中古市場があるかどうかは購買意欲に影響を与えますね。
ベンツなどの外国車は、中古になってもそんなに値段が下がりません。
だからちょっと高くても、ローンを組んででも買ってしまえる。
いざとなったら売ればいいや、という気になるからでしょう。
同じくブランド品のバッグやアクセサリーも同じです。
中古でも高額で引き取ってくれる「コメ兵」のようなお店がある。
だから高級なブランド品も気楽に買ってしまえるのでしょうね。
ちょっと身の程知らずで、外車に乗ったり、ブランド品を身に着けたりしている人もいます。
それは中古市場があるという、経済合理性もあるからなんですね。


揚げ油の下取り市場については、藤巻健史/成毛眞/松本大『トーキョー金融道』日経BP\1400-の89pに書いてありました。
ニューヨークには揚げ油の下取り市場がないので、美味しい天ぷらを食べることができないんだそうです。

2010年6月29日火曜日

骨は複合材料


こんにちは

マンションなど大きな建物は「鉄筋コンクリート」で造られています。
鉄筋コンクリートは、鉄筋で骨組みを組んで、そこにコンクリートを流し込んで固めたものです。
コンクリートは硬くてどっしりしているので、建物の大きな重さを支えることができます。
つまり「圧縮力」に対して強い材料なのです。
ところがコンクリートは、引っ張られたり曲げられたりすることに非常に弱く、すぐひびが入ったり崩れたりしてしまいます。

そこで、内部に骨組みとして鉄筋を入れます。
鉄筋は金属ですから、引っ張って伸ばそうとしたり曲げようとしても、バネのように弾力があるため元に戻ろうとする性質があります。
鉄筋は「引っ張り力」に強い材料なのです。
その代わり鉄筋は圧縮するとグニャリと曲がってしまいます。

鉄筋コンクリートは、コンクリートが圧縮力に耐え、鉄筋が引っ張り力に耐えるようになっています。
材料お互いのよい性質を発揮し、弱点を補っているのです。
このような、性質の異なる材料を組み合わせてより良い材料としたものを<複合材料>といいます。
いくら太い柱でもコンクリートだけでもだめで、中にちゃんと鉄筋を適切な本数入れないと所定の機能を発揮することができません。
ですから、鉄筋をごまかして少なくしてしまうと、地震の時に揺らされて引っ張られたり曲げられたりしたとき、それに耐えられなくて瓦解してしまうので、大変危険なものになってしまいます。

私たちの体を支えている骨は、どんな材料から作られているか知っていますか?
カルシュウムから出来ていることを知っている人は多いと思いますが、それだけではありません。
実は、骨もまた複合材料なのです。
カルシュウム(硫酸カルシュウム)だけでなく、タンパク質の一種であるコラーゲンが網の目のようにカルシュウムを取り巻いています。

カルシュウムは硬くて丈夫なのですが、反面脆くて折れやすい。
骨がカルシュウムだけなら、しょっちゅう骨折しちゃいます。
その点、コラーゲンはぷるんぷるんしていて弾力に富んでいます。
骨に加わった多少の衝撃は、コラーゲンが吸収してしまいます。
つまり、カルシュウムはコンクリートのように、コラーゲンは鉄筋のように働きます。
そのため、骨はちょっとやそっとのことでは折れずに、私たちの体を支えてくれるのです。

フライドチキンを食べたときにでも、次の実験をしてみましょう。
(危ない薬品を使うので、学校の理科の先生と一緒にやること)。
鶏の足の骨を両手で持って、力を入れて折ろうとしてみてください。
簡単には折れませんよね。

その骨を水酸化ナトリウム溶液に漬けてみます。
タンパク質はアルカリに溶けやすい性質があります。
すると、カルシウムだけが残ります。
骨を両手で持って、力を入れて折ってみてください。
今度はポキンと簡単に折ることが出来るでしょう。
今度は骨を塩酸の中に漬けてみます。
カルシュウムは酸に溶けやすい性質があります。
骨を、塩酸の中に漬けておくとカルシュウムだけが溶けます。
すると、コラーゲンの網だけになった骨を取り出すことが出来ます。
ぷるぷるした弾力を確かめてみましょう。
コンクリートと鉄筋を組み合わせて圧縮にも引っぱりにも強いものを造った鉄筋コンクリートもすごい発明ですが、骨も素晴らしい発明ですね!

最後の骨の実験は『やさしくて本質的な理科実験』評論社に載っていたと記憶しています。


写真は和光研に建設中の脳センター新棟です。
今は構造躯体を立ち上げているところです。
鉄筋を組み上げているところを見るもの、楽しい!

2010年6月28日月曜日

ハッピーはクリエイトするもの


こんにちは

「関口さんっていつもゴキゲンですよねー。私も毎日ひとつはハッピーなネタを見つけようと思っているんですが、なかなか上手くいきません」
ある人からそう言われました。
「あのね、ハッピーは見つけるもんじゃないの。クリエイトするもんなの!」
ぼくはそう答えました。

ぼくは自称「ハッピーマニア」です。
いつもハッピーでゴキゲンでいたいと思っています。
でもね、ハッピーでゴキゲンでいるためにはそれなりの努力も必要ですよ。

櫻井よしこさんの自伝『何があっても大丈夫』新潮社\1500-を読みました。
桜井さんはハワイ大学を終えて帰国し、アメリカの『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙東京支局長エリザベス・ボンドさんの助手になりました。
最初に与えられた仕事は<毎朝、日本の主要新聞7紙全部に目を通して、その中から重要ニュースを取り出し、要約して英訳して10時までにボンドさんに報告する>こと。
毎朝、新聞7紙全部に目を通すのは大変なことです。
その中から重要ニュースを取り出すのも難しい。
さらにそれを10時までに英訳するのも、いくらハワイ大学卒だって大変なことです。
それを、櫻井さんはどう乗り越えたのか。

学生時代に身につけたいろいろな方法を試みてみたのですが、小手先の策ではとてもダメ。
出勤時刻8時から始めて、10時までの時間ではとてもこなせませんでした。
1週間過ぎても、ボンドさんの期待に応えられません。
それでも「出来ません」という言い訳を、ボンドさんは許さなかったそうです。
焦っていたとき、通勤時間を使って新聞を読めばいい、ことを思いつきました。
櫻井さんの家は幕張でしたから、通勤に1時間半かかる。
この1時間半を、今までは毎日ボンヤリ電車に乗っていただけでした。
出勤時刻が早いため、電車は空いていたので新聞を読むのに支障はありませんでした。

櫻井さんは早速自宅でも全紙をとってもらい、ズタ袋に入れて朝6時過ぎに家を出るようにしました。
空いた電車の座席で新聞を広げて読み、重要な記事にマジックで印を入れます。
慣れていくと、要領もよくなってきます。
乗換駅で歩いているときなどに、読んだ記事のポイントが頭の中でひとりでにまとまったりする。
そうして、職場に着くまでに新聞を読み終わるようになりました。
要点が頭の中でまとまっているので、職場に着くとすぐタイプの前に座れる。
こうやって櫻井さんはボンドさんの要求を十分クリアできるようになったのです。
ボンドさんはこわい上司ではあったけど、やり遂げたときはストレートに褒めてくれた。
めったに褒めないけど、いい仕事に対してはきちんと評価する。
それが櫻井さんをその気にさせ、新たな課題にもっと挑戦していく勇気を与えてくれた。

###
仕事であれ夢であれ、実現できると信ずるところから可能性は生まれてくる。
信じて工夫することで、物事は可能になる。
自分には出来ないと思った瞬間に、本当に出来なくなってしまうけれど、きっと出来ると楽観し続ける勇気がある限り、出来るのだ。
###

楽観し続ける勇気、これなんですよね。
これさえあれば工夫もし、必要な努力もできる。
惜しまずに身銭だって切れるんです。

楽観的って脳天気なことだと誤解されています。
何も考えずにお気楽なことが楽観的だと思われている。
だからみんな、むつかしい顔をして悲観的に考え、否定的なことを言うんです。
でも逆なんですよね。
悲観的な方がラクなんです。
人間は放っておくと悲観的、否定的になってしまうものなんです、その方が楽だから。
そして不安、不平、不満、嫉妬に陥る、あるいは傲慢、慢心に染まってしまうものなのです。
悲観的、否定的にしていれば、行動に移す確率が減ります。
新たなことを行動に移すにはリスクも背負います。
何もしなければ、失敗もないですからね。
そして何もせず、文句だけを言う人生に陥ります。

楽観的であり続けるには勇気がいります。
フランスの哲学者アラン「楽観主義は意思の所産である」と言ったそうです。
強い意志があって、工夫し努力することができるから、楽観的になれるんです。
だから、楽観的であり続けるのはとても大変なこと。勇気がいるんです。

楽観的になれば、新たなことに挑戦することができます。
もちろん失敗もするかもしれません。
でも成功もするわけです。
それにそこには、不安、不平、不満、嫉妬はありません。
傲慢、慢心とも無縁でいられます。
人間的成長もそこにはあるんだとも思います。
そうしてハッピーでゴキゲンになれるってわけです。
さて、今週もハッピーをクリエイトするため、楽しくがんばるぞー。


写真はXFEL実験棟の実験ホール。放射線遮蔽の実験ハッチの設置中です。
先週末のSPring8出張でも、ぼくは他の同僚が帰ったあとも残って、1時間ほど現地の施設管理スタッフと打ち合わせ。
ちょいとクレームがあったんですね。
たいていのクレームは、その設備がよく分からないから発生するもんなのです。
設備の設計思想を説明し、納得してもらいました。
ちょっと余分に働き、それによってゴキゲンな気分で帰宅できました。

2010年6月27日日曜日

お金に困らない人生


こんにちは

ぼくは今、職場の労働組合の執行委員長を任されています。
先週までは夏のボーナス交渉を続けてきました。
民間はリーマンショック以後少し持ち直して、昨年比数%upだそうです。
が、新政権になってから我が社のような独立行政法人は旗色が悪い。
我が社は、本業である研究では多くの価値ある成果を出してきていますが、残念ながらボーナスは政治的に決まってしまう。
それでもできるだけ一般職のみんなのモチベーションを下げないように、交渉にあたりました。
やっぱりお金は大切ですからね。
お金が減れば、気分も沈み、やる気もなくなってしまうのは自然なことです。
なんとか支給額としては昨年同等、特に若年から中堅の減額は避けられました。
ぼくはもう既に中堅層を超えてしまっていますので、若干減額かな。。。
なにはともあれ、今週ボーナスが支給されます。
やっぱり嬉しいですね。

こういった交渉を通して実感したのは、やっぱり国語力の重要性です。
交渉は基本的には言葉をやりとりして行うものです。
行動、暴力ではない。
このとき国語力がないと、いい交渉はできません。
相手の立場もふまえつつ、得るものは得、捨てるものは捨てる。
この判断だって言葉で考え、言葉でやりとりするわけです。
自説にこだわりすぎず、かといって完全には妥協しない。
双方、win-winになれる状況へ持っていくわけです。
正当にお金を得るためにも、国語力は欠かせません。

柳澤賢仁『オカネとウソの論理学』サンクチュアリ出版¥1400-にこうありました。

###
お金で買えない価値は確かにたくさんあるけれども、お金がないから手に入れられる価値というものは存在しないはずだということ。(97p)
###

たしかに愛情などお金で買えないものはたくさんあります。
だからといって、お金が不要なわけではありません。
お金がなくても幸せになれる、というのは嘘っぱちだと思います。
そりゃーたくさんは要りませんよ。
お金がありすぎて人生を破綻させる人だっていないわけじゃありません。
でも身の丈にあった程度はあった方がいいんです。
お金で買えるものはたくさんあるんですから。

時々子どもたちと本屋さんに行って、好きな本を買ってあげます。
その時、子どもが「この本がいい」と言ったときに、「それは高いからダメ」なんて言って買ってあげなかったら、本が嫌いになっちゃいますよね。
「いい本見つけたね。よし、買ってあげよう!」とぼくは言いたい。たとえちょっと高い本でもね。
このように、お金に余裕があると、心にも余裕が生まれるわけです。
心の余裕が、お金では買えない愛情なども生み出していけるのだと思います。

我が子たちには、お金に困らない人生(by森信三)を造ってほしいと思います。
ギャンブルなど偶然に支配された稼ぎ方ではなく、着実、堅実にお金を稼げるようになってもらいたい。
そのためには勉強ですね。
しっかり勉強して、社会から必要とされる人間になる。
誰からか必要とされる人間になる。
そうすればお金に困ることはないんだと思います。

本好きな子どもに育てたい


こんにちは

我が子たちを本好きな子どもに育てたいと思っています。
大人になっても本を読み続けるような人物になってもらいたい。
なぜなら、素晴らしい人はすべからず読書家だからです。
優秀な人はいっぱい仕事を抱えていて、忙しい。
それなのにスキマ時間を見つけたり、意図的に読書時間を確保して、本を読んでいる。
対して、本を読まない人はたいてい暇。
暇でも本を読まない。
この差はどんどん開いていきます。

本を読むと、当然ながら読解力が身に付きます。
文書を読んで、その意味を即把握できる。
その上、文字には直接書き表されていない意図も想像することができる。
意図とはコンセプトです。
書かれていることを正確に把握し、そのコンセプトまで分かって仕事に着手する。
いい仕事ができるのは当然ですよね。

本とは他人が書いた文章です。
その読解力があるということは、他人の考えを自分の中に受け入れる(by斉藤孝)、ということです。
もちろん、自説と違うことも書いてあるでしょう。
その場合も、批判的に受け入れるわけです。
自説と比べてどちらが正しいのか、考える習慣ができます。
自分より本に書いてある方が正しいと思えば、素直に自説を捨てることができる。
本を読んでそういう訓練を積んでおけば、実社会で他人の意見をよく理解し、受け入れる素地ができます。
いいと思えば素直に従いますし、ダメだと思ったら反論したり、あるいはテキトーに受け流すこともできる。
らくちんに世の中を渡っていけるんです。

本を読まない人は、年を取ると偏屈になります。
自説と違う他人の意見を受け入れなくなります。
言っていることを正確に理解できないし、比較するために考えられない。
そういう訓練を積んでいないからです。
自説をきちんと説明するより、感情的に反対してしまう。
当然、だんだん世の中から排除されていくんだと思いますよ。
ハッピーな人生じゃないですよね。
読書はよりよい人生を造っていく素地にもなるんだと、ぼくは信じています。

水島醉『国語力のある子どもに育てる3つのルールと3つの方法』ディスカバー¥1000-にこうありました。

###
本当に読書が好きな子どもであれば、小学生であっても高校入試や大学入試の問題で、高得点をとります。
実際、私は、何人かの小学生の生徒に、センター試験の問題を解かせたことがあります。
本当に読書が好きな子どもは、現代文の読解に限ってのことですが、だいたい七割ぐらい得点します。
読書ができるということは、それぐらい素晴らしい国語力を持っているということと等しいのです。(151p)
###

残念なことに、読解力は読書でしか培われないものなのです。
それも大量の読書でしか。
学校で国語の授業を受けているだけでは、身に付かないのです。
そして国語力こそ、すべての教科の基礎になるもの。
国語力がないと、算数だってできるようにならないんです。
だって算数もひとつの言語。
考えるためには言葉が必要。
言葉を豊富に知っていて、それを操作する力が、思考力だからね。

我が家では、毎日必ず本の読み聞かせをしています。
週に一度は本屋さんに行って、子どもの欲しがる本を買ってあげます。
今はゴセイジャーとかウルトラマンとかの本ばっかりですがねー。
それもいいと思っています。
どんな本でも読む。好きな本は買う。
そういう習慣を身に着けている時期なんだと思っています。

もちろん、親も本好きで、いつも読書をしている姿を子どもに見せる。
時々は夫婦で同じ本を読んで、意見を交わしたりね。
本を読むのは楽しい、という雰囲気作りは大切だと思います。

2010年6月23日水曜日

頭をよくする訓練

こんにちは

このごみメールと同じ文章を、あるインターネット上の教育関係の掲示板にも投稿していました。
それが別の匿名悪口掲示板(2ちゃんねる)に無断転載されて、ぼくのことを「自己啓発書ばっかり読んでるバカ」と評してありました。
確かにごみメールに書くことは自己啓発書からの引用が多いですよ。
でもそればっかり読んでいるわけじゃないんだぜ。

ぼくは仕事柄、度々出張に行きます。
1泊二日の出張の場合、たいてい4冊本を持っていきます。
1冊は仕事に直接関係する技術系の専門書や雑誌、1冊はサイエンスに関する一般書(ブルーバックスなど)、もう2冊が自己啓発書やビジネス書、小説などです。
往復の新幹線と宿とでだいたい4冊読み切ってしまいます。

意外かもしれませんが、このうち一番読み終わるのが速いのが、技術系の専門書。
まったく未知の分野ではないので、7~8割方は既に知っていることが書いてあります。
知っていることが書いてある部分は読む必要ありません。
自分が未だ知らない部分だけ選択して読むのです。
しかも理解するだけの基礎がありますから、ある程度速く読めるというわけです。

もちろん、まったく知らない分野を勉強し始めるときは、じっくりと1ヶ月くらいかけて基本書を読み込みます。
新たな資格にチャレンジするときなどは、それなりに時間がかかるのです。
サイエンスの本も、既に知っている基礎概念を説明している部分は飛ばしてもいいので、結構速く読み終わります。

で、最初から最後まで読むのが、自己啓発書やビジネス書、小説です。
小説など飛ばし読みは絶対にできませんよ。
だから読むのに時間もかかります。
楽しい読書でもあります。

この手の本は、自分の中に未だないことが書かれているので、新鮮な印象を受けます。
勉強にもなります。
自分の経験と照らし合わせて、納得できたりする。
よって、引用したくなってしまう、というわけなのです。

印象に残った部分は、暇を見つけて書き写します。
モバイルパソコン(工人社のヤツ)を常に持ち歩いているので、一寸したすき間時間でもパソコン入力ができるようになりました。
読書も飽きるときがあるので、そういうときは気分転換も兼ねて、書き写す作業をするわけです。

書き写すと、本を読んで得たことがしっかりと頭の中に入ります。
あー面白かった、で終わらない、オトクな読書になります。
脳っていうのは「メモリーベイスドアーキテクチャ(記憶を基礎とした思考装置)」ですから、記憶のストックが多いほど思考力、判断力もupするのです。
覚えることはとても大切なことなんです。

そしてまた、書き写す作業は記憶力も鍛えることにもなるんです。
茂木健一郎『脳を活かす勉強法』PHP\1100-に、脳の記憶回路を使って記憶する方法が書いてありました。

###
英文を覚える時を例にとりましょう。
まず英文を見ます。
次に、それを書き写すわけですが、英文を見ながら書き写しては意味がありません。
一度英文を見たら、そこから目を離して、写すのです。
これを何度も何度も繰り返します。
ここでポイントになるのは、原文から目を離すということ---つまり一時的に頭の中に記憶し、それを書き写す作業にするべきなのです。
原文を見ながら書き写すプロセスの中には、「記憶する」という作業が抜けています。
だから記憶が定着しないのです。(87-88p)
###

さすが博覧強記の茂木さんです。
茂木さんは高校生だった頃、定期試験前に教科書を全文丸暗記していたそうです。

世間ではよく「暗記なんか役に立たない」「暗記と思考力は関係ない」「暗記はむしろ思考力に害がある」という言説があったりしますが、脳がメモリーベイスドアーキテクチャであることが分かっていないんだと思います。
そういう人はたいてい、思考力もなかったりします。
騙されてはいけません。
事実、茂木さんの思考力はすごいですよー。

ぼくの尊敬する国語教師である野口芳宏さんも

 頭の良さとは記憶力である。
  なぜなら覚えていなければ、仕事は積み上がっていかないから

と言っています。
確かにぼくの周りの人たちを見ても、段取りの悪い人ほど過去の同様な仕事を真似することなく、毎度毎度我流でやっています。
自分自身がやった仕事でさえ、過去に同様な仕事があったことを覚えていないからです。
覚えていないから無駄な作業も増え、残業も多くなってしまうのです。

茂木さんのやり方、英文だけじゃなく日本文にも通用しますね。
書き写すこと、それもいったん目を離して、文章を頭に入れて書き写すと、記憶力がupするんです。
記憶力を身に着ける確実な訓練になっているんです。
ぼくも実践していますよ。

2010年6月15日火曜日

戦略を持て!

こんにちは

昨日は夏のボーナス交渉でした。
ぼくはまだ労組委員長を勤めさせてもらっていて(なかなか辞められない^^;)、またもフロントに立っての交渉です。
昨今の独立行政法人仕分け作業などで、今年も予算削減です。
世間の目も厳しい。
我が社は、本業である研究成果は国内トップレベルで出し続けています。
でもその研究自体で収益を得ているわけではないので、成果が報酬に直結せず、政治的に決まってしまうのが辛いところ。
そこが営利企業と違って、難しいところ。
ボーナスも昨年度比でマイナスは必然です。
なんとか去年並の回答を引き出すことを目標に、交渉しました。
役員だってぼくらと同じく運営費から報酬を得ている身。
無理なものは無理だし、譲れるところは譲るというスタンスでした。
なのでぼくの考えていた「落としどころ」と役員の考えていた「落としどころ」は、ほぼ一致していたんでしょう、あっさりと妥結することができました。
若干は昨年比マイナスとなりましたが、ほぼ昨年並みで決着。
これなら労組組合員のみなさんにも、納得してもらえるでしょう。
その他、年次有給休暇を取りやすくする仕組みを年度内に作っていくことも合意できました。
交渉時間も予定していた時間の半分以下で終えることができました。
おかげでその後の自分の仕事も早めに始められ、余裕を持って定時までに終わらせることができました。

今年度のぼくの目標は、年次有給休暇20日間消化、です。
例年10日くらいしか取れていませんので、それを増やしたい。
ここ数年で、ほぼ残業ゼロで業務をこなすことができるようになりました。
さらに年休取得を増やし、実働時間を減らすことに挑戦してみようと思うのです。

なぜなら、仕事時間はあると思えば無限にあるものだから。
労働時間が成果に直結する工場の生産ラインの仕事ならともかく、ぼくの仕事のように労働時間がアウトプットと比例しない、いわゆる知的労働は無自覚でいるといくらでも仕事時間は増え続けます。
必要なら残業するべきですが、こうなると必要でもない仕事のために、必要以上の品質を担保するために、念のためにやっておこうという程度のことに、長時間身を捧げることになってしまいます。

知的労働者の長時間労働は大きな弊害を生みます。
それは、実力が上がらない、ということ。
何か課題があったばあい、よく考えもせずその仕事を始め、時間でこなそうとしてしまうからです。
戦略を練り、戦術を立て、合理的に取り組む姿勢、習慣が身に付かなくなる。

なので、労働時間は限度を設定した方がいいのです。
有限であると思えば、その時間を有効に使うようになるからです。
無自覚にダラダラとやらなくなる。
締め切りに合わせて段取りを組み、どの程度の品質でやればいいか成果物の具体的イメージを持ってから、仕事に取り組む。
そうした方が腕も上がるし、自分の時間も生み出せ、心と身体に余裕が生まれると思うのです。

年間20日年休消化するためには、ほぼ毎月二日程度見込んでおかなくちゃ達成できません。
仕事の余裕ができたら年休届けを出そうなんて思っていると、とても取得できません。
予め月間予定を立て、それぞれの仕事の締め切り日と作業日を手帳に書き、年休を取る日を決めてしまう。
上司にも月初めに届け出てしまう。
そうやっていこうと思っています。

『時間とムダの科学』プレジデント社¥952-に宋分洲(ソフトブレーン会長)のインタビューが載っていました。

###
中国では、「戦いを略す」ことを戦略という。
日本では、「戦いを略す」発想はなく、マネジャーが、人を管理しようとして、ムダな業務を殖やす。(61p)
###

なるほど!
戦略をしっかり練ると、戦いを略すことができるってことですね。
不要で不毛な戦いをしなくてすむようになる。
ぼくの心にストンと落ちましたよ。
戦略を練ってコトを始めれば、無駄な戦いをしなくてすむわけです。
時間もかからないし、労力もいらない。
交渉も早くしかもお互い納得できる結果に到達できる。
仕事も無駄なく長時間残業せずに終えられる。
まったくもって戦略は大切なんです。

戦略を練るためには、十分考えなくちゃいけません。
ぼくは「仕事は24時間、作業は8時間」だと思っています。
戦略は勤務時間以外でも、頭を10%か20%か常に稼働させておくんです。
休日に子どもと遊びながらも、頭の片隅で戦略を練っておく。
勤務時間は戦闘時間です。
既に戦略を持っているので、即戦闘開始です。
こういう状況だと、相手が戦意を持つ前に決着させることだってできちゃいます。
まさに、戦いを略すことができる。

エジソンもこう言っています。

 多くの人々が目標を達成せずにあきらめる。
 なぜか?
 それは十分考えないからだ。
   (ヘンリー幸田『天才エジソンの秘密』講談社¥1500-、118p)

エジソンの言う「考える」とは、戦略を練るってことだと思います。
戦略、大切ですよー。

2010年6月14日月曜日

プロは燃え尽きない


こんにちは

世界のスーパーコンピュータの性能をランキングした「top500」の新しいリストが発表されました。
http://www.top500.org/list/2010/06/100
世界一は前回と変わらずアメリカのジャガー、1.75ペタフロップスの性能です。
10位までのランキングで見ると、中国の躍進が目覚ましいですね。
2位と7位に入っています。
日本のマシンはというと、原研に去年入ったばかりの富士通マシンが22位で、190テラフロップスす。
依然として世界一のマシンと10倍近い性能差があります。
10倍の性能差は大きくて、同じ計算なら10倍の時間がかかる。
あるいは同じ時間に相手は10種類の計算にトライできるのに、こっちはひとつだけ。
やっぱり世界トップクラスのマシンが日本にも必要なんです。

神戸スパコン棟が完成しました。
世界最速のスーパーコンピューターを下部から(Infra)支える(Structure)建物に仕上がったと自負しています。
ある人からこう言われました。
「関口さん、これだけ大きい仕事をして燃え尽きてないの」って。
ぜーんぜん、です。
だってこれで終わったわけじゃないですから。
マシンが入って世界最速を達成し、ここからいい研究成果が次々と生み出されるところまで見届けなくちゃ。
それにXFEL他いろんな仕事にも関わっていますから、とても燃え尽きてなんかいられませんよー。

ぼくは、プロが情熱をもって仕事をするといい仕事になる、と思っています。
いい仕事をするためには、やはり燃えないとダメだと思うんです。
でも燃えすぎないのもプロの条件ですね。
プロは1割、2割燃えるといい仕事をします。
逆に言うと、プロは1割、2割しか燃えないように自分をコントロールしているんです。
だって、燃え尽きちゃったら困りますから。

ぼくは教師時代に、悲惨な戦争が行われるようになったのは国民国家になったからだ、という仮説を提唱したことがあります。
世界史の教科書を読むと、昔の戦争は「30年戦争」とか「100年戦争」とか、とても長期間戦争していたことがあるって書いてあります。
何でそんなに長い期間戦争し続けられたのか。
それはその頃の兵士はみんなプロの兵士だったからに違いありません。

プロの条件は「継続性」です。
もちろん戦いに勝つのが目的ですが、自分の仕事が継続することも目標なんです。
何年も戦争が続き、国王から報酬が支払われ続け、自国に残る家族を養い続ける。
そのためには死んでしまってはいけませんよね。
死なない程度に戦果を上げ、完全に勝利しないよう、細々と戦う。
これがプロの兵士の戦い方なんです。
これなら30年だろうが100年だろうが戦争は続けられます。

ところが近代になって国民国家になる。
徴兵制になって素人たちが兵士として戦うのです。
素人の兵士たちはどういうメンタリティーで戦うか。
早く決着を付けて、一刻でも早く戦争を終わらせたい、と思うはずです。
これが無謀な戦術を生み出すのです。
短期間で雌雄を決しようとして、むちゃくちゃな戦いをする。
戦死者が多くなるのも必然です。
特攻隊など、自分の人生を燃え尽きさせてしまうわけですから。

要するに、プロは燃え尽きないんです。
無謀なことはしないんです。
それが継続性をつくる。
現在に生きるビジネスマンという戦士も同じなんじゃないかなって、ぼくは思っています。

最相葉月『ビヨンド・エジソン』ポプラ社¥1500-にこうありました。

###
寺田寅彦が大学を卒業して遠方の学校に赴任する教え子たちによくいった、「線香の火を消さないように」という言葉が紹介されている。
研究費も設備もない場所に行っても、その気さえあれば研究はできる。
「一番いけないのは、研究を中絶することなんだ。なんでもいいからとにかく手を着けて、研究を続けることが大切です」。
寺田のこの言葉があればこそ、中谷は実験器具も何もない北大で雪の研究に着手することができたのだと知った。(114p)
###

プロだっていつも調子がいいわけじゃないでしょう。
戦果の挙がらないときだってある。
その時も、たとえ細々とでも闘い続けなくちゃならない。
へこたれて戦列離脱してはいけないんですよ、プロは。
逆の意味でも燃え尽きてはいけないんです。
寺田の言うとおり「線香の火は消してはいけない」んです。

さーて、今週もほどほどにがんばりますかー。



写真はXFELの実験盤。
自分が作った実験盤にケーブルがつながると、なんだか嬉しいんです!



2010年6月10日木曜日

仕事の原理


こんにちは

フリーターやニートが増えたためか、子どもや若者にしっかりとした職業観を持ってもらうための本がたくさん出版されるようになりました。
たとえば村上龍『13歳のハローワーク』がベストセラーになりましたよね。
この本にはいろんな職業が紹介されています。
風俗関係の仕事まで紹介されていて、なかなか面白い。
もちろん子どもに風俗の仕事をオススメしているわけじゃないけど、きちんとリスクや倫理も説明されていて、ハナから道徳的に全否定していないところがいいです。
説教臭くないのでベストセラーにもなったんでしょうね。
本だけじゃなく、仕事に関するアミューズメントパーク「キッザニア」なんてのもあります。
最近、中学校では近隣の企業にお願いして、お仕事体験をカリキュラムとしていたり。
これらも子どもたちに職業観を持ってもらうための方策ですね。

でもぼくは、今あるいろんな職業について紹介したり説明したりすることも大事だけど、もっと仕事の本質的なことも子どもや若者に伝えたいなーと思うのです。
仕事の原理ですね。
どんな仕事に就こうとも、この原理は成り立つ。
この原理を知り、身に着けていれば、どんな仕事に就こうともそこそこ上手くやっていけるというもの。

だって、いろんな職業を知って自分のなりたい仕事を子どものうちに見つけたとしても、その仕事に就けるかどうか分かりませんからね。
だいたい子どもの憧れる職業って、プロ野球選手とかサッカー選手とかアイドル歌手とか、並みの才能と努力じゃなれないものばかり。
よほどの運もなくちゃなれませんよ。
たいていはごくごく普通のありきたりの仕事に就いちゃうわけです。
ぼくだって子どもの頃は電気技術者になるとは思っていませんでしたよ。
行き当たりばったり、成り行きですね、たいていの大人はみんな。
そして、そういうごく普通のありきたりの仕事のことなんか、子どもは知りもしなかったりします。
運良く、自分のなりたい仕事に就けたとしても、その仕事をやり続けることができるかどうか。
せっかく希望通りの仕事に就けたのに、そこで上手くやることが出来ずに辞めてしまう人も多いんです。

それに今の子どもたちが大人になる頃、今ある仕事がまだあるとは限りません。
今花形の仕事でも、10年後、20年後は斜陽だったりしてね。
倒産、転職なんか当たり前の人生が待っているんです。
その中で、よりよい人生を自力で造り上げていく力が必要なんだと思います。

岩谷誠治『国語算数理科しごと』日本経済新聞\1500-にもこんなことが書いてありました。

###
考えてごらんよ。
美咲(子ども)が、仕事に就くのは10年以上先になるよね。
だから、美咲が学ぶべき仕事というのは今の仕事ではなくて、10年後にある仕事でなければ役に立たないわけだ。
そのころには今は存在しない、当然、今は名前も付いてない仕事がたくさん出てくるはずだよね。(21p)
###

たとえ成り行きで就いた仕事だとしても、そこで成功することは大切です。
成功とまで言えなくても、上手くやっていくにこしたことはありません。
仕事とは何かよくわからないために、現実と折り合えず、ふらふらと転職を繰り返したり、ニートになってしまうのは、人生の浪費です。
だからそのために必要な「原理」は身に着けておいた方がいい。
仕事とは何か、その本質を理解しておいた方がいい。

では、仕事の本質とは何か。
岩谷さんはこう言います。

  仕事とは「約束を守ること」だと思っているんだ。(23p)

シンプルですねー。
同じようなことをジャーナリストの日垣隆さんは、「依頼と納品」と言っています。
依頼とは、何をいつまでにやってほしいか合意しておくこと、そしてその見返りは何かを合意しておくこと、です。
見返りは金銭に限りません。ボランティアだって、心の満足みたいな見返りはあるわけです。
依頼とは約束を「決めること」に他なりません。

そして納品です。
決めた約束を守ることです。
納品は物を納めることだけではありません。約束を果たすことすべてです。
決めた期日に、決めた品質で納品し、ちゃんとその対価を支払う。
依頼と納品が確実に履行されるから、信頼が生まれ、社会は安定するのだと思います。
約束を守ること、依頼と納品を常に意識することが、仕事の本質であり、原理なんだと思います。
これさえ理解し、身に着けておけば、どんな仕事でもそこそこやっていけます。
ごくごく当たり前のことなんですが、身に付いている人少ないですよ。
だからこの原理、基本が身に付いているだけでアドバンテージが出る。
子どもにはぜひ身につけさせたい基礎基本です。

もちろん、ぼく自身も実践していますよ。
依頼の時は、期日と品質と対価をよーく合意しておく。
後で、言った言わない、約束が違う、ということがないように。
そして約束の通りに納品です。

仕事だけじゃありません。
全ての人間関係の基本にもなっていると思います。
夫婦でも家族でも、多少緩やかでいいし、緩やかな方がいいでしょうが、約束を守ることは信頼を築くために必要なことでしょう。
よくお父さんは子どもとの約束を「仕事の都合で」なんていってドタキャンしますよね。

あれ、子どもの教育にとって悪いですよ。
もちろんたまにならそういうこともあるでしょうが、頻繁に子どもとの約束を反故にすると、子どもにこの「依頼と納品」という仕事の原理が身に付かなくなります。
とても損なことです。

そう考えると、学校でやることは意外とこの仕事の原理の練習になっているんですよね。
たとえば宿題。
先生は何をいつまでにやればいいのか明確にする。
それを生徒は履行して、納品(提出)する。
そしてきちんと履行した生徒は、褒められ、いい成績をもらう。
たとえば定期試験。
先生は試験日までにこの範囲をしっかり勉強するよう指示する。
生徒は合格点、すなわち納品目指して努力する。
きちんと合格点を採れれば、いい成績をもらい、褒めてもらえる。

最近、学校であまり宿題を出さなくなっちゃったそうです。
宿題出されてもやらない生徒も多いらしい。
生徒が宿題を提出しなくても、厳しく指導する先生もいなくなっちゃった。
ちょっともったいないなーってぼくは思います。
仕事の本質を理解し、その優れた練習機会を放棄しちゃっているんですから。
宿題の意義を語れる先生がいないのかもしれませんね。
あ、電気設備学会全国大会の論文締め切りは明日だった!
がんばって書いて提出しよっと。


写真は神戸CDBで建設が始まったiPS細胞を研究するための研究棟。
この建物で行われる研究内容がだんだん決まってきて、それがまためちゃ面白いんです。
それに対応するために設計変更もめちゃ多くなるんですがねー。
それも楽しい!

2010年6月9日水曜日

男の子が元気がないひとつの理由

こんにちは

ぼくは地方の小都市に出張に行く機会がよくあります。
そういうときは「ついで主義」で、時間と体力の許す限り街中を歩いて見て回ります。
しかし何ですなー、地方の方がへんてこな格好をしている若者がいますなー。
東京にもへんてこなのはいるんでしょうが、人の数が多いので目立たないだけかも。

先日もある小都市に出張して、バスが来るのをベンチで待っているとき、キョーレツなミニスカートの女の子が歩いてきました。
もうパンツまで数mmというくらいのミニ。
思わずじ~っと見ちゃいましたよ。

するとそれに気づいたお姉ちゃんがぼくに向かって言いました。

 「何見てんだよ!このエロオヤジ!!見るんじゃねえ!!!」

ええ~?!
確かにぼくはエロオヤジだよ。
でも見せてるのは君の方じゃん!
って思ったけど、口には出さずうつむくだけの気弱なぼく。。。

最近、「草食系」と呼ばれる男の子が増えているそうです。
草食動物のようにおとなしく、欲望をむき出しにすることがない男子。
女の子に積極的にアプローチしない、できない男子。
それどころか、何事にも消極的で受動的な男子。
なぜこういう男の子が増えてしまったのでしょうか。
キョーレツミニスカ女子に「エロオヤジ」呼ばわりされたとき、その理由が分かりました。

思春期の男子が性欲も昂進するのは自然なこと。
男の子にとって本来、女子の太ももとかパンツとかは欲望の対象です。
もう見たくて見たくてたまらないものです。
あわよくば触らせてほしいもの。
そういうものをミニスカ女子は目の前でオープンにしている。
当然男子はそれをじっくり見たいわけです。

ところが女子はこう言うわけですよ。
「見るんじゃない。スケベ」ってね。
これは男子にとって残酷なことですよ。
欲望の対象が目の前にあるのに、それに欲望を持ってはいけないと禁止されるわけです。
それでも男子は女子に嫌われたくないですから、女子の指示?に従うわけです。
視線を落とし、うつむいて生きるしかないじゃないですか。

最近の女子は普段着だけじゃなくて、中学校、高校の制服のスカートまでミニスカにしちゃってます。
でもそれはじーっと見てはいけないものなんです。
教室の中でもうつむいているしかない男子。
生徒は長時間学校で過ごすわけですから、長時間うつむき続けていなくちゃならない。

強い欲望を抑制すると、あらゆる欲望をも自主規制するようになってしまいます。
何事も欲望することはいけないことなんだ、と思い込むようになる。
それが消極的で受動的な「草食系男子」の作り方なんだと思うのです。

林望『新個人主義のすすめ』集英社新書\700-にこんなことが書いてありました。

###
過剰な肉体のディスプレイは、大いに品格を損なうばかりでなく、セクハラなどを誘発し、そうでなくても男たちに無用の心理的負担をかけますから、明らかに迷惑なのです。
個人主義は、他人に迷惑をかけないことが原則なのですから、変に太ももやおしりや胸の谷間なんぞをひけらかすような格好をするのは、迷惑行為、つまり個人主義の理想から大いに逸脱するのだということ、これはどうしても言っておかなくてはなりません。(174p)
###

うむむむ、なるほどー。
リンボウ先生もなかなかのエロオヤジですなー。
あはははは。

2010年6月7日月曜日

東京タワーに登った!


こんにちは

昨日のボーイスカウトの活動は、東京タワーを階段でのぼる、というもの。
150mの高さにある第一展望台まで、600段の階段をのぼる。
昨日はビーバー隊の隊長が、お子さんの幼稚園のお遊戯会なので引率できなかった。
なので引率者の一人としてぼくも参加することにしたんです。

はつき君は体力あるからきっと登り切れるでしょう。
でも中年オトコのぼくはちょっと心配。
若い頃はサンシャイン60ビルの駆け上がり大会に出たことはあります。
でも600段、子どもに追いついていけるかなーって心配でした。

が、やってみたら意外といけました。
子どもたちの最後尾から登っていきましたが、遅れることなく着いていけましたよ。
えへん!

もちろんはつき君はひょいひょいっと登り切りました。
まーるで疲れていないようです。
さすがー。

ぼくのモットーは「ラクして損するな」です。
今も駅ではエスカレーターを使わず、階段で上り下りするように習慣づけています。
毎日数kmは徒歩で歩く習慣もあります。
エスカレーターに乗ればらくちんですが、それで失うものも大きいのです。
何たって人生の基礎は体力。
体力があるから気力もみなぎる。
気力があれば、困難にもチャレンジしていけるんです。

とは言え、今朝はちょっと腰が痛うございます。。。
あはははは。

我が子たちにもしっかりした体力を身に着けてもらいたいですね。
楽しみながら。

トロはとろける

こんにちは

夕べは子どもと妻にせがまれて、ちょっと奮発してお寿司を食べに行きました。
お寿司屋さんに行くと、中トロは必ず注文しますね。お値段が高いので、せいぜい2貫だけですが。
あの口に入れた瞬間の「とろり」とした食感はたまりません。

とろりとした食感を味わうには、温度も大事ですね。
時々、冷凍庫から出してきたばかりの冷たいネタを握ってくる三流寿司屋がいて、高い値段取ってこれかよ!って頭に来ます。
あんまり冷たいと、とろりとした食感が味わえません。
やはり室温20℃くらいのネタが美味いですね。
なぜなんでしょうか。

ところで脂(あぶら)と油(あぶら)の違いを知っていますか。
常温(20℃くらい)で固体状になるものを脂、液体状のものを油と区別しています。
一般的に動物性の脂肪は脂、植物性の脂肪は油です。
ラードは豚の脂ですが、常温では白いかたまりになっています。

動物性の脂が常温で固体状だからといって、生きている体の中でも固体状というわけではありません。
生きている体の中では液体状になっているのです。
それは、代謝をするためには液体状の方が便利だからです。
エネルギーが必要なときはすぐ血液中に溶かし込めます。
つまり、生きているときの体温では脂肪は溶けて液体状になっているのです。

マグロのトロには脂肪がたくさんのっています。
マグロの体温は、冷血動物だと言っても常に回遊していますから、筋肉が発熱して27℃にもなっています。
冬の寒い時期にマグロを釣り上げると、湯気が出るくらいです。
ですからマグロの脂肪は、27℃くらいでは液体状になっているのです。

お寿司屋さんで切り身で出されるとき、切り身の温度は20℃くらいです。
マグロの体温より低いですから、固体状になっています。
これを口に入れる。
口の中は人間の体温37℃です。
トロは口の中で温められます。
液体状になる27℃まで、すぐ温まることでしょう。
すなわち、口の中でマグロの脂肪は溶けることになります。
これが、とろりとした食感の原因です。

寿司ネタが冷たすぎると、口の中で温まるまでに時間がかかります。
すると、口に入れてすぐのとろり感が味わえず、美味しく感じないというわけです。

駅弁などに牛の焼き肉が入っていることがあります。
食べても何となくざらざらした食感がありませんか。
牛の体温は人よりちょっと高くて39℃くらいあります。
それは、牛の脂肪は39℃にならないと溶けないということを意味します。
冷めた牛肉を口に入れても、脂肪は口の中で溶けずに固体状のまま残ります。
これがあのざらざら感なのです。

牛肉に比べて豚肉は冷めても美味しいです。
冷しゃぶと言えば豚肉を使うのが当然です。
これも体温と関係があります。
豚の体温は37℃であり、人間とほぼ同じです。
そのために豚の脂肪も口の中で溶けるのです。
ただし、すぐには溶けずに噛んでいるうちにだんだん温度が上がって溶けてくる。
これが豚肉の美味しさでもあるのです。


脂肪が溶ける温度についてサイボクハムのメールマガジンで知りました。
サイボクの豚肉やハムは美味いですよ~。
http://www.rakuten.co.jp/saiboku/

2010年6月6日日曜日

情熱


こんにちは

次世代スパコン棟とXFEL棟を無事完成させてホッとしたところですが、次の面白い仕事がやってきましたー。
SPring8に大阪大学とのコラボで「LEPS2」という施設を造ることになったんです。
LEPとは、レーザー電子光という意味です。
SPring8は8GeVという高エネルギー電子を蓄積する施設ですが、この電子にレーザー光を当てるんです。
電子と光が正面衝突して、跳ね返るときに光が電子のエネルギーをもらって、高エネルギーの光が得られるんです。
コンプトン散乱の応用ですね。
この高エネルギー光子をを使って実験する施設なのです。

今、SPring8にLEPSビームラインが稼働しており、ここで「ペンタクオーク」というクオーク5個からなる重粒子が発見されたりしています。
が、このペンタクオークは今のところ他の研究機関では追試が出来ておらず、その存在について懐疑的な論文も提出されている状況。
なので、もっと光子のエネルギーを上げられる施設を造ろう、ということになったわけです。

ぼくは学生時代ハドロン物理学の初歩をやっていたので、以前からペンタクオーク生成について興味を持ってきました。
なのでこの仕事に関われることになってとても嬉しいです。
この仕事も情熱的に取り組んでいきたいと思っています。

エジソンはこう言ったそうです(ヘンリー幸田『天才エジソンの秘密』講談社¥1500-)。

###
親が子供の心に情熱を残してあげることができたら、それは最高の形見になるだろう。
子供は素晴らしいエネルギーをもって人生に取り組むことができるから。(63p)
###

子どもの心に情熱を残してあげるためには、親が情熱的に何かに取り組んでいる姿を見せていく必要があると思います。
父親なら自分の仕事を通してそれをするのがいい。
幸いぼくの仕事は建設という形に残る仕事、目に見える仕事です。
楽しくがんばっている姿を見せること、そしてそれが形になったものを見せる。
すごくハッピーですねー!

2010年6月2日水曜日

ご褒美は楽しい仕事!


こんにちは

先ずはテレビ放映のお知らせです。

>  テレビ東京の『空から日本を見てみよう』という番組でRIBF が取材を受けま
> した。6月3日(木)の放映で理研加速器が紹介されます。
> http://www.tv-tokyo.co.jp/sorakara/index.html
> 取材対応は櫻井主任が担当されました。番組は19:58からです。お楽しみに。

この日の『空から日本を見てみよう』は東武東上線沿線の紹介だそうです。
和光市駅近くで上空から見ると、何やらハンバーグのようなものが見える。
そこは理研和光、ハンバーグはリングサイクロトロンだったってわけ。
ぜひご覧ください!

理研和光のRIBF施設(http://www.rarf.riken.jp/)もぼくにとって思い出深い施設です。
超伝導リングサイクロトロンSRCなど新たな加速器装置を収納する建屋の電気設備を担当しました。
加速器は膨大な電力を使いますから、新たに第2特高変電所を建設しましたし、コジェネ発電設備も建設しました。
当時ぼくは和光研の電気主任技術者でもあったので、一生懸命この仕事に取り組みました。
ぼくの所属する部署は建物の建設が主務であり、加速器などマシンの建設は研究室で行うのが通例です。
でも一生懸命ぶりを認めてもらえたんでしょうか、加速器用交流電源の建設に誘ってもらえたんです。
こちらも楽しみながら一生懸命やりました。
RIBF施設が完成してからほぼ5年経過しましたが、電源系に関してヒューマンエラーを除き無事故です。
ぼくにとって大きな自信になっています。

この経験が活きましたよ。
その後のXFELプロジェクトでも、プロトタイプ機の建設時から主任研究員から誘われて、交流電源を担当しました。
プロトタイプ機が上手くいったので、8GeV実機建設ではマシン冷却水設備まで手を広げました。
8GeV実機は10月頃から試運転開始、来年3月までにファーストビームの予定です。
ぼくが担当して造った施設がきちんと作動するかどうか、とても楽しみです。

そして次世代スパコンプロジェクトも計画段階から誘ってもらい、立地選定に関わらせてもらったり、マシン概念設計にもインフラ設備担当として参加させてもらいました。
もちろんスパコンを収容する建屋の設計から工事までずーっと総括的な立場で担当させてもらい、先月建物の完成までこぎ着けることができました。
またまたXFELでの経験を活かして、CPU水冷システムを造り上げることができました。
スパコンプロジェクトに参加してからまる4年です。
こちらもこれからマシンのインストールが始まります。
全部のマシンが据え付け完了するまで、さらに1年間です。
再来年の春には性能試験(ベンチマークテスト)を行い、世界へ挑戦です。

次世代スパコンは、電源系、空調冷却系とマシン系を一体的に運転しないと、安定で効率的に稼働させることが出来ません。
そのための組織が立ち上がりました。
その組織のグループディレクターは「これは世界初のスパコンプラントである」という壮大な概念を提示しています。
ぼくもグループの末席に加えてもらう内示が出ました。
ワクワクしますねー。

こんな風に次々と面白い仕事を経験させてもらっています。
ありがたいことだと感謝しています。

時々、関口は楽しい仕事ばっかりやっている、と言われちゃうこともあります。
ぼくだってそれなりに、つまらない仕事もしてるんですがねー。
確かに、楽しい仕事をやらせてもらってハッピーですよ。
でもそれは、ぼくを必要としてくれる人がいるからこそだと思っています。

仕事とは「依頼と納品」です。
先ずは依頼ありき、なのです。
依頼があって初めて、仕事はスタートするんです。
クライアントがいるってことですね。
依頼もないのに勝手に仕事をしても、誰も喜んではくれませんよ。
好き勝手に自分のやりたい仕事をしても、迷惑なだけです。
だから、誰かに依頼してもらわなくちゃ、仕事は始まらないのです。
そこを間違えている人って、けっこういますよ。

もちろん、依頼がなくても自ら提案していくってこともアリ。
建築家の安藤忠雄さんなど、誰にも頼まれていないのに都市計画や建物のプレゼンをしたりする。
でもそれにしたって、それを見て「やってみよう」と言う人がいなくちゃダメなんです。
なにそれ?と言われてしまったら、そこでお終いで、次に進めないのです。
結局のところ、依頼者の存在抜きに仕事は成立しないのです。

依頼してもらうためには、あいつが必要だ、あいつに頼むと上手くいきそうだ、あいつなら出来そうだ、あいつと一緒だと面白い、と思ってもらう必要があります。
そう思ってもらえるだけのモノを持っているかどうかです。
RIBFの交流電源建設に誘ってもらえたのは、ぼくが電線の選定やら端子接続の確認やらをねちねちとマメにやっていることを認めてもらったからだと思います。
XFELプロジェクトに誘ってもらえたのは、主任研究員と話をしているときにぼくが電気関連の法令について詳しく説明したからだと思います。
スパコンプロジェクトに誘ってもらえたのも、和光研にあるスパコンの電力需要率についてきちんと調べて報告したことがあったからだと思っています。

佐々木常夫『そうか、君は課長になったのか。』WAVE出版¥1400-にこうありました。

###
人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされることの4つです。
働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのです。(28p)
###

ぼくはいつもハッピーでいたいと思っています。
ゴキゲンに生きていきたい。
そのためにはこの4つが必要ですね。
仕事を通じて、人の役に立つことをし、ほめてもらい、さらに必要としてもらうこと。
そのことが自信になり、家でもゴキゲンでいられる。
それが家族を愛し、家族から愛される源になる。
家族からの愛があれば、仕事ももっと頑張れる。
しかも楽しく愉快にね。


写真は播磨研一般公開の様子。
今年はライデン瓶の工作教室と、科学のお話教室をやりました。
子どもはもちろん、お父さんたちが楽しんでくれたのが嬉しいですねー。
こういうイベントに誘ってもらえるのも自慢ですー。