2010年7月24日土曜日

ロングレールのひみつ

こんにちは

暑いですねー。熱いといってもいいくらいの陽気。
この暑さで東北新幹線が一時止まったそうです。
レールの温度が65℃を超えたためとか。

レールは鉄ですから、温度が上がれば伸びます。
在来線のレールは継ぎ目にスキマを空けて温度による伸びを吸収していますが、新幹線のレールは「ロングレール」、継ぎ目無しなんです。

電車に乗ると、ガタンゴトンという音がしますよね。
これは、レールのつなぎ目にすき間があって、そこを通過するときの音です。
レールは25mの長さなので、一定の速さで電車が動けば、ガタンゴトンとい
う音もリズミカルに響きます。

しかしこれは騒音や振動の発生源にもなっているのです。
高速運転する新幹線では、レールに継ぎ目があると騒音、振動、安定性に支障が出ます。
そこでロングレールを採用しているのです。
だから新幹線は、ポイント切り替え場所を通過するとき以外は、ガタンゴトンという音はしません。

ところで最近、都心部の電車はガタンゴトンという音がしなくなって、とても静かでなめらかな乗り心地になったのに気づいていますか?
それは「ロングレール」という、新幹線と同じ<継ぎ目のない(少ない)>レールが採用されるようになったからです。
ロングレールは、25mのレールを溶接でつなぎ合わせて長~いレールにしたものです。
継ぎ目がないのでガタンゴトンという音を発せず、市街地の騒音対策にもなっています。

でも、ちょっと待ってください。
レールのつなぎ目にすき間があるのは、夏気温が暑いときにレールが熱膨張するための空間が必要だからのはず。
25mのレールは、夏冬の温度差で約10mmも伸び縮みします。
すき間がないと、熱膨張によってレールが伸びてぐにゃりと曲がってしまうはずです。
溶接しちゃって長くするのはいいのですが、熱膨張をどうやって吸収するのでしょうか。

実は、溶接の終わったロングレールは、火縄を配列し点火して<焼く>のです。
程良い温度になったときに、枕木にボルトでしっかりと固定します。
つまり、熱膨張して伸びた状態で固定するわけです。

枕木に固定された後、レールは冷めていきます。
温度の下がったレールは縮もうとしますが、枕木にしっかり固定されているため縮めません。
常温では、レールには常に縮もうとするストレスがかかっていることになります。
だから夏になって気温が上がってもそのストレスが解放されるだけで、レールは長くならないというわけです。

また、最近の枕木は、木ではなくプレキャストコンクリートという固くて重い材質でできています。
だから、ちょっとやそっとの力では動きません。
こうした技術も見逃せませんね。

先日の東北新幹線のレールの場合、焼いた温度よりもレール温度が高くなってしまい、危険度がたかまったということなんでしょうね。
東海道新幹線や山陽新幹線では問題にならなかったのは、こちらはもともと高い温度で焼いて設置してあるからなのでしょう。


前々から新幹線に乗るたびに<ロングレールはどうやって作るのか?工場で作ったとしたら運んでこれないなあ?>と疑問に思っていました。
また、熱膨張の問題をどう解決しているのかも疑問でした。
西鉄電車のホームページを見たら疑問が解けたので、コラムにしてみました。
http://www.nishitetsu.co.jp/train/koumu/rong_reil.htm

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