2010年8月16日月曜日

ヒートアイランドの本当の理由

こんにちは

今年の夏は暑いですねー。
でも異常気象なんかじゃありませんよ。
ましてや地球温暖化の影響でもありません。
正常な範囲だというのが、天気予報士の方や気象学者さんの見解です。
普通の人は覚えていてもせいぜい去年の夏のことだけ。
去年と比べて、異常だ、正常だと言っているのだそうです。

思い出してみると去年は「冷夏」でした。
8月になってもなかなか暑くならず、ビールの売り上げが落ちたなんて話もありましたね。
お米の作況指数も98と、例年より採れなかった。
確かに去年の夏と比べると暑すぎて異常気象のように思えてしまいます。
でも去年だって暑くならないで異常気象だって言っていたんです。
それも一昨年の夏と比べてでしょう。

異常気象、地球温暖化の影響でないとしても、都会の夏は暑いです。
舗装された地面からの照り返しが強く、ベビーカーに乗った赤ちゃんが熱中症になってしまう事故も。
ベビーカーを立って押すお母さんの場所の気温より、ベビーカーの位置(地上50cmくらい)の気温は5℃近くも高くなっているそうです。
ご注意下さいね。

さてさて、都会の暑さは「ヒートアイランド現象」と呼ばれています。
ヒートアイランド現象の原因は、舗装した地盤が多く水の蒸発がないので、土のようにそこに含まれた水分が蒸発することによって気化熱を奪って気温を下げるということがない、ということもあります。
ビルや家庭で使うエアコン室外機から大量の廃熱が出される、ということもあります。
でもそれよりも、都市部では「空気の対流が起こりにくい」というのが主原因なんです。

熱の伝わり方には三つあります。中学校の理科の時間に習ったと思います。
放射、伝導、対流ですね。
放射は、温度の高い物質は赤外線という光を放射しています。
この光のエネルギーによって熱を伝えます。
伝導は、隣り合った物質同士、温度の高い物質の方が熱振動が激しいので、その振動を温度の低い物質へと伝わります。
対流は、空気や水のような流体が重力のある場所で起こります。
温度の高くなった流体の一部が熱膨張によって密度が小さくなり、浮力が働いて上昇していきます。
上昇していく流体の部分は、熱を抱えたまま上昇していきますから、大量の熱を運んでいけるのです。
空気の場合、放射も伝導も対流も起こりますが、一番大量に短い時間に熱を伝えるのは対流によってなのです。

上昇した空気の代わりに、周りから温度の低い空気が吹き込んできます。
さわやかなそよ風ですね。
そよ風が温度の低い空気を運んでくると共に、身体から吹き出す汗を蒸発させる。
太陽がギラギラ照りつけていても、対流が起こればさわやかに過ごすことができるのです。
ですから対流が起こらないと熱がこもり、地表近くの気温を上げ、不快になってしまいます。

なぜ都会では対流が起こりにくいのでしょうか。
地表近くで温度が上がって膨張した空気は、上昇していきます。
上昇していくためには、その上部にあった空気を押しのけていかなくてはなりません。
押しのけるためには、周りの空気より密度が低い、すなわち温度が高くなければなりません。
そうじゃないと浮力が働きませんからね。
上昇していく空気の塊は、上昇するに従って断熱膨張していき、その温度が下がっていきます。
上昇していくごとに周りの空気との温度差があれば、上昇し続けていけます。
でも周りの空気と同じ温度と同じになってしまったら、そこで上昇は止まります。
周りの空気と同じ温度では浮力が働かず、上昇気流は生まれないのです。

実は都会の空、数km上空には、細かいチリが滞留しています。
都会の空がスカッと真っ青ではなく、白っぽく見えるのは、このチリのせいです。
このチリが太陽の光を受けて温められているのです。
上昇してきた空気の塊は、このチリのある場所まで来ると自分より周りの空気の温度の方が高くなってしまうので、そこで上昇は停止します。
さらに後から上昇してきた空気の塊も、それ以上上昇できなくなりますから、熱を持った空気の塊がどんどんとそこに溜まっていくのです。
どんどんと溜まり続けた空気はやがて地表面まで到達します。
するとそれ以上上昇気流は起こらず、地表面は太陽から照らされて温度が上がる一方になってしまうというわけです。

さらに東京など、臨海部に高層マンションがたくさん建てられています。
夏の日中は、陸地で上昇した空気の代わりに海の上にあった空気が流れ込んでくるものです。
いわゆる海風ですね。
でも、高層マンションがたくさんあると、そこで風の流れが遮られます。
上昇気流が起こるためには、上昇していく空気の代わりにそれを置き換える空気が流れ込んでこなくてはダメです。
海から流れ込んでくる空気を遮る建物があるために、余計に対流が起こらなくなってしまっているのです。


ヒートアイランド現象の主原因については、槌田敦さんの本に書いてあったと記憶しています。

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