2010年9月23日木曜日

質問する方がエライ!

こんにちは

先週末は和光キャンパスに建設中の脳センターの工事立ち会いのため休日出勤しました。
ぼくは残業や休日出勤を極力しない方針ですが、絶対にしないというわけじゃなく必要ならきっちりやる。
キッチリやって、その分を振替休日にしたり、超勤手当をいただいたりします。
キッチリやってるんだから、堂々といただきます!
だから、普段残業しないのはいざというとき残業できる余裕を残している、というわけなんです。
1日8時間、週40時間ではどうしたってこなしきれない仕事量になることだって、たまにはあるわけです。
退勤時刻以後、休日じゃないとできない仕事だってあるわけです。
そういうときそいつをやっつけることができるかどうか。
やっつけるためには余力を残しておかなくちゃね。

で、先週末の作業は電話交換機の更新作業の立ち会いでした。
ぼくは監督の仕事ですので、実際の作業はメーカーの技術員さんたちがやります。
じゃぼくは何をしていたのか。ただ見ていただけなのか。
いやいやそうじゃありません。
監督員の仕事のひとつは、作業員の方たちに適度にリラックスしてもらい、適度に緊張して作業してもらうことなんです。

適度にリラックスしてもらうためには、ずーっと現場に立ち会っていたらダメです。
学校の授業中でも、子どもだって勉強している間ずーっと後ろに先生が立っていたら、逆に集中できなくなります。
逆にまったく見に行かなかったらだらけすぎますよ。
先生もたまに自分のそばに回ってくるから、適度に緊張感を保つことができる。
監督員も同じだと思います。

ぼくも1~2時間おきに現場に行き、様子を見に行きます。
そして進捗を確認すると共に、技術員さんたちと雑談。
馬鹿話もしたりして、ちょっと笑ったりね。
もちろん作業中に発生した小さな問題にも対処。
よく分からないケーブルが付いていたけどどうしましょうか、みたいな。
その場でそのケーブルの行き先をたどっていって、途中で切断されているのを見つけ、撤去してもらったり。

それとちょっと新しい交換機について質問したりもします。
資格マニアのぼくは、デジタルアナログ総合種工事担任者という電話設備に関する資格も持っていますので、交換機の原理くらいは知っています。
なので新しい交換機の仕組みなんかを、技術員さんにちょっと質問するんです。
作業の邪魔にならない程度にね。
そうすると技術員さんに、この人は全くの素人じゃないな、ということが伝わります。
下手なことはできないな、と思ってもらえる。
そこで適度な緊張感も生まれるわけです。
おまけにぼくの知識も増え、好奇心満たされますしね。
一挙両得!

特に日本人で顕著なんですが、質問されるより質問する方がエライと認識されるようなんです。
だから、自分を有利な立場に持っていくためには、質問する側に回るといい。
質問される方はビビリますからねー。
この心理は覚えておくと便利です。
もちろんぼくは誰かよりエライとも思っていませんし、エラクもなりたくありません。
でも世渡りの技術として、心理学を応用したりします。

世の中には自分の実力以上に自分をエラく見せたい輩もいるんですよ。
そのためにしなくてもよい、してはいけないイジワルをする。
そういう奴を黙らせるために、時にこの技法を使ったりします。
そういう奴にはちょっと質問してみるんです。
相手が答えに窮してもいいですし、答えられてもかまわないんです。
質問するだけで、自分の方がエライんだと相手に認識させることができる。
相手の方が先に質問してきたらどうするか。
答える代わりに逆質問してやればいいんです。
「じゃ逆におたずねしますが、○○についてはどうなんでしょうね?」みたいにね。
これで自分を有利な立場に持っていくことができるのです。

何で日本人は質問する方をエライと認識するのか。
たぶん学校教育の影響があると思うんですよね。
授業中、質問するのはほとんど先生ばかり。
先生から質問されて指名される。
答えられなくてバカにされたり、恥をかいたりする。
そういう経験が誰もに積み重なっているわけです。

よく講演会などで、講演後に司会者が「せっかくの機会ですので講師の方に質問がありましたらどうぞ」なんて言います。
でもたいていの場合質問する人はおらず、会場は沈黙に包まれます。
それは講師の人はそれだけでエライ人なので、そのエライ人に質問するのは失礼だ、という意識が働くからです。
エライ人に質問したら自分の方がエラくなってしまうので、それは困るわけです。

学会発表でも、エライ人の発表に対して質問する人はいません。
まだエラくない若手研究者に対してなら、結構質問が出ます。
で、その質問に指導教授が答えちゃったりするんです。
するとその答えに対して反論しにくくなります。
だって教授はエライですからねー。

野口芳宏さんの講演を聴きにいったときのこと。
講演はとても楽しく、役に立つお話で、時に笑いがあったりとてもよい雰囲気でした。
ところが講演後例によって司会者が「どなたか質問はありませんか」と言ったとたん、みんなだんまり。
だって野口先生は偉い方ですもん、質問なんかできませんよー。
その時、野口さんはこう言いました。

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講演後は質問じゃなくて感想を言ってもらうといいんです。
感想なら気楽に言うことができます。
できれば事前に、若い人とか遠方から見えた方に最後に感想を述べてもらうよう
お願いしておくといいですよ。
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さすが野口先生、人間の心理が分かっている。
自分に対する質問はしにくいということが分かっているんですね。
そして教育者です、若者やお金と時間を使って遠方から来た人に配慮がある。
予め感想を言うよう頼まれたら、真剣に講演を聴くことになります。
その分、学びは多くなるはずです。
もちろんみんなの前で話すわけですから、学びも倍増します。

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