2010年9月27日月曜日

短所を見るな、長所を伸ばせ

こんにちは

ぼくもちょびっと偉くなったんでしょうか(職位も変わらず、給料はまるで上がりませんが^^;)、役員会に臨席したり、役員へ説明したりする機会が増えてきました。
我が社の理事長は、ノーベル化学賞を受賞した野依さんです。
野依さんのような立派な方のお話を直接聞くことができるので、やっぱり役得だと思っています。
先日の会議で野依さんがおっしゃったことを紹介しますね。

あるプロジェクトで、たくさんの選択肢からどれかを選ばなければなりませんでした。
あらかじめ事務局でそれぞれの選択肢のメリットデメリットを検討し、点数化してその平均点で優劣を提示したときです。
野依さんはこうおっしゃいました。

 平均点だけで判断すると間違える
  同じ3でも、オール3で平均3なのか、
   または5と1とで平均3なのか
 オール3のものを5に持っていくのは大変難しい
  ところが5と1のものは5にすることが容易にできる
   1の部分が気にならない、体勢に影響しないようにすればいいからだ
 1の部分が無視できるなら、一気に点数は5になってしまう

なるほどー。
目からウロコが落ちました。
もちろん1という点数が付くようなひどいデメリットを簡単に直すことはできません。
でも、いくらひどいデメリットがあったとしても、それが全体に影響がないものなら、わざわざ点数に入れる必要はありません。
あるいは、ひどいデメリットが影響しないようなシステム、方法を考え出せれば、それを無視することができます。
すると5という点数の部分だけ、メリットだけが残っていくのです。

これは人の能力についても言えますね。
人は誰でもデコボコがあるのが普通です。
平均点だけで見ちゃうと、その人の能力を見誤ります。
平均点というのは、長所も短所も同時に見てしまうということですから。

短所があったとしても、その短所が表面に出てこないようにすれば、短所はあってもなくても同じになります。
表面には長所しか出てこないから、すごく有能に見えるはずです。
短所を矯正するのは非常に苦労します。嫌なことだからね。
ところが長所を伸ばすのは、元々好きなことだったりするので、楽しいことです。
東京大学のような一流大学に合格するためには、オール5じゃないとダメだと思っている人が多い。
でも違うんですよ。合計点が合格点を上回っていればいいんです。
こちらもノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんもこう言っています。

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こうなったら、何がなんでも名古屋大学理学部に現役で合格するしかないと、三年生になったぼくは、やっと受験勉強に本腰を入れ始めたのです。
残された準備期間は1年しかありません。
勉強時間を効率的に使おうと考え、入試で何点取ればいいかを試算してみました。
当時の名大の入試科目は数学(解析Ⅰ、解析Ⅱ、代数)、国語(現代文、古文、漢文)、英語、社会(日本史、世界史)、理科(化学、物理)の五教科で、一教科200点の千点満点です。
受験参考書を読むと理学部の合格ラインは450点と書いてあったので、作戦を練りました。
真っ先に捨てたのは苦手の英語です。
やるだけ時間の無駄だろうと、最悪零点を覚悟しました。
残りの800点中450点を取れればいいわけですが、国語は本好きだから、そこそこの点は取れると踏み、社会も丸暗記さえすればなんとかなると考えた。
あとは得意の数学と理科の二教科で実力が発揮できれば合格ラインは突破できるんじゃないかと、検討をつけたんです。
最大の得点源の数学と理科は、教科書や問題集を片っ端から解きまくりました。
勉強時間の大半は数学と理科に費やし、社会の暗記を始めたのは12月になってからでした。
大学に合格したあとで点数を聞きに行ったら、英語は200点満点中30数点、その他の科目は計画通りで、マアマア上出来というところでしたね。(『フラフラのすすめ』講談社¥1000-、49p)
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益川さんも嫌いな科目、短所である英語に労力をかけなかったんですね。
それよりも得意科目、長所である数学、理科に集中して時間と労力を注ぎ込んだ。
それで名大に合格し、学者としての基礎を作り、ノーベル賞までつながっていったんです。
同じ労力をかけるなら、効率的で楽しい方がいい。
ならば、平均点なんかで判断するのはやめればいいんです。
もちろん短所は自覚しておいて、それが表に出て痛手を負わないような注意は必要です。
その注意さえしていれば、わざわざ自分の短所を世間にさらすことはないってことです。

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