2011年1月12日水曜日

子どもは好き嫌いがあって当たり前

こんにちは

我が子たちは好き嫌いが激しいです。
昨日も宅配ピザをとったのですが、上に乗っている具はまるで食べない。
「野菜と肉は取ってくれ」と言うんです。
ピザペーストだけの状態にして、ピザ台をもそもそ食べてるんです。
今のところ肉も野菜も好きじゃないようです。ちょっとは食べますが。
ごはん、うどんなどの麺類など穀類ばかり食べています。
それでも元気なので、気にしないでします。
身長、体重も順調に増えていますしね。
そのうちだんだん何でも食べられるようになるだろうと思っているから。

例外もたまにいますけど、子どもってたいがい野菜や漬け物がきらいですよね。
ぼくも小学校4年生くらいになるまで、給食に出る生の半割キュウリが嫌いで嫌いで仕方ありませんでした。
あの青臭い苦味が、大嫌いでした。
幸いにして担任の先生は、好き嫌いを許容してくれましたので、学校嫌いにならずにすみました。
食べられるようになったのは、小4になって活動量が増えたため腹が減りまくるようになって、腹を満たすためなら嫌いなものでも食うぞ、みたいになったおかげです。
自分がそういう経験をしていたから、ぼくも教師だった時も生徒の好き嫌いは許すようにしていました。
いずれ食べられるようになるだろうって。

漬け物の旨さがわかったのも、たぶん成人してからだったと記憶しています。
大学生になったばかりの頃、先輩の家で「にしんの切り込み」という北海道独自の漬け物を出してもらいました。
初めてそのとき口にしたのですが、食べられませんでした。
それまで野菜だけの漬け物しか食べたことがありませんでしたので、にしんという動物質の入った漬け物の独特の匂いと強い酸味にはびっくりした記憶があります。
それも大学生のうちに食べられるようになり、今ではその旨さもわかるようになりました。
ちょっと臭いフナ寿司なんかも、こりゃーたまらん、って感じで好きになりましたよ。

でもなぜ子どもは、野菜や漬け物がきらいなんでしょうか。
人間が感じる基本的な味は、次の5種類だと言われています。

 甘味、旨味、塩味、酸味、苦味

小笠原政次『あと100年生きる本』講談社+α文庫\780-に、
それらの味覚と本能的な意味が書いてありました。
それによると、

 甘味(砂糖など);エネルギー源としての期待(糖類)
 旨味(鰹節など);体を構成するタンパク質の原料を期待(アミノ酸)
 塩味(食塩など);ミネラル、体液のイオンバランスを期待
 酸味(お酢など);腐敗物の予感
 苦味(薬など);毒物のシグナル

なのだそうです。
そしてこれらの味覚は、味を楽しむために進化してきたわけではなく、
本来は生き延びるために必要だったから進化してきたものなのです。

で、生まれたばかりの赤ちゃんには、酸味と苦味しか味覚が備わっていないそうです。
なぜなら、赤ちゃんが生き延びるためにその二つは重要なものだからです。
赤ちゃんの体は盛んに細胞分裂をし、成長しています。
細胞は、分裂するときが一番弱いのです。
遺伝子の複製がうまくいかないと、分裂するときに細胞は死んでしまいます。
だから細胞分裂をしているときに、毒物やバイ菌にさらされることは危険なことなのです。

酸味は、腐敗物の予感を赤ちゃんに知らせます。
腐敗しているということは、バイ菌がたくさんいることを意味します。
バイ菌に感染しないためには、酸味のある食べ物は食べてはいけないのです。
腐っているものは酸っぱいのです。
だから赤ちゃんは酸っぱいものが嫌いなんです。

苦味は、毒物である危険を赤ちゃんに知らせます。
毒を体に取り込んでしまうと、細胞分裂がうまくいかずに死んでしまうかもしれません。
毒のあるものは苦いのです。
野菜は苦いものが多い。
野菜だって他の生き物に食べられないように、苦いもの=毒を作って身を守っているんです。
だから赤ちゃんは苦いものが嫌いです。

というわけで、赤ちゃんは自分の体を守るために、先ず酸味と苦味がわかるようになって生まれてくるのです。
そこから徐々にその他の味覚が解発され、いろいろなものが食べられるようになり、いろんな美味さが分かってくるのです。
大人になれば、多少毒物やバイ菌にさらされても、それほど細胞分裂もしていないので、リスクは少なくなります。
リスクよりも、酸っぱいものや苦いものを食べることによって得られるメリットが大きければ、好んで食べるようにもなるわけです。

味覚だけじゃなく、赤ちゃんの腸の機能もまだ野菜を消化するには適していません。
生後1年未満の赤ちゃんに、離乳食として野菜のペーストなどを与えても、ほぼ未消化で排便されてしまうのです。
まだ体の準備ができていないんです。

子どもはその途中過程にいる存在です。
まだ、体の中に毒やバイ菌を入れることのリスクは大きい。
だから、苦味や酸味に対する嫌悪感も大きいのは、自然なことなのです。
なのにお節介なことに、肉も野菜もバランスよく食べなさい、1日30品目食べなさい、なんて言われる。
毎食毎食、肉も野菜もバランスのよい料理を作り、30品目以上入れなければならないメニューを考えるお母さんも大変でしょう。
嫌いなものがたくさん入った料理を食べさせられる子どもも大変です。
両方とも損ですよね。
まあ、人類史上、毎日毎日肉も野菜も食え、無理すれば30品目揃えられるなんてことは、ごく最近までなかったわけです。
ほんの30年前頃までは、ほとんどの日本人はごはん、みそ汁、佃煮などのおかず少々だけを食べてきた。
たまに肉を食べたり贅沢はしたかもしれませんがね。
それでもみんな健康だったんです。

子どもはみそ汁もあまり食べませんよね。
その原因は、みそ汁の具に野菜を入れすぎるから、だそうです(幕内秀夫『1食100円「病気にならない」食事』講談社+α新書)。
みそ汁にたくさん具を入れるようになったのも近年のことらしいです。
具だくさんのみそ汁は、「汁」ではなく具の味噌煮込みですよ。
具を減らして本来のみそ「汁」にすると、子どもはみそ汁を飲むようになるそうです。
我が家でも試してみたいと思います。

というわけで、子どもの野菜嫌い、漬け物嫌いも意味があるのですから、強制してまで食べさせないでほしいなって思います。
自然に食べられるようになるまで待つことも必要だと思うのです。

0 件のコメント: