2011年1月30日日曜日

熱い蒸気で冷たい水を作る2

こんにちは

こうして発電機のエンジン排気から熱回収して蒸気を作ります。
この蒸気をそのまま使って空調機の加湿に使ったり、暖房時の温水を作ったりもしています。
がメインは、スパコンを冷やす冷水を作ること。
スパコンは1万kW以上もの電力を使います。
その電力は熱になって排出されます。
スパコンから排出される熱をきちんと取り除いてやらないと、スパコンの温度はどんどん上昇してしまい、計算エラーを起こしたり、壊れたり、火を噴いたりしちゃうのです。
スパコンには空調機から16℃の冷たい空気を押し流ますが、その空気はスパコンの熱を取り去り、30℃の暖かい空気になって排出されるのです。
そしてまた温まった30℃の空気を空調機で冷やし、16℃の冷風にするのです。
空調機で16℃の冷風を作るために、10℃の冷水が必要なのです。

では、どうやって熱い蒸気で冷たい水を作るか、説明いたしましょう。
冷たい水は「吸収式冷凍機」で作ります。
吸収式冷凍機の冷媒は「水」。
水を蒸発させ、その蒸発潜熱を奪うことによって冷やすのです。
水の蒸発潜熱は540kcal/kgもありますから、少ない水を蒸発させればたくさんの冷水を作れるのです。

まず「蒸発器」という容器に水を入れます。




でも常温(20℃)くらいでは水はあまり蒸発しません。
蒸発しなければ蒸発潜熱をたくさん奪うことができません。
そこで、蒸発器に真空ポンプを接続し、蒸発器内部の圧力を下げてやります。
どんどんと圧力を下げていくと、常温程度の温度でも沸騰し始めます。
沸騰とはたくさん蒸発している状態ですから、蒸発潜熱もたくさん奪い、水の温度は下がっていきます。
そこで蒸発器の内部に冷水パイプを通せば、パイプの中の水を冷やすことができます。




蒸発器の中で水が蒸発すれば、蒸発器の中は水蒸気で満たされ、圧力が上がってしまいます。
圧力が上がれば常温で沸騰しなくなり、それ以上温度が下がらなくなり、継続して冷水を作ることができなくなってしまいます。
蒸発器の中の圧力を低く保つために真空ポンプをガンガン運転しなければなりませんが、それだとたくさんのエネルギーを消費してしまいます。

そこで、発生した蒸気をパイプで「吸収器」へと導きます。
吸収器の中には「臭化リチウム溶液」が満たされています。これを吸収剤と言います。




臭化リチウム溶液は、水蒸気を溶け込ませ、吸収する性質があります。
蒸発器からやってきた水蒸気は、臭化リチウム溶液にどんどん溶け込んでいきます。
そのため蒸発器で発生した水蒸気は、どんどんとパイプを伝わって吸収器に引っぱられていきます。
こうなれば真空ポンプを停止しても大丈夫。
蒸発器の圧力は低いままに保たれ、沸騰も継続し、冷水も作られ続けます。

が、臭化リチウム溶液も無尽蔵に水蒸気を吸収しつづけることはできません。
やがては水蒸気によって薄まってしまい、水蒸気を吸収できなくなってしまうのです。
そこで、薄まった臭化リチウム溶液をパイプで「再生器」に導きます。






ここでようやくコジェネレーション設備で作った熱い蒸気が必要になります。
再生器の中の薄まった臭化リチウム溶液を、熱い蒸気で温めるのです。




臭化リチウム自体は温められても蒸発しにくい物質です。
よって、水だけが蒸発していき、臭化リチウム溶液は再び濃い溶液となります。
濃くなった臭化リチウム溶液は、再びパイプを通じて吸収器へと戻されます。




こうして吸収器では蒸発器からやってくる水蒸気を吸収し続けることができるわけです。
ここで使われたコジェネからの熱い蒸気は、温度が下がって再びコジェネへと戻されます。

再生器で蒸発した水は、またパイプで「凝縮器」へと導かれていきます。




ここには冷却水が流れており、やってきた蒸気は冷やされて水になります。
この水は再びパイプを通じて蒸発器へと戻されるのです。




以上で吸収式冷凍機の「サイクル」は完成です。
水が蒸発したり凝縮したりを繰り返し、冷水の製造が続けられるというわけなのです。
スバラシイでしょー。

え?凝縮器で使った冷却水はどこへ行くかって?
スパコンを冷やした熱は最終的に冷却水に渡され、冷却水は屋上に設置した冷却塔で蒸発して大気へと逃がされます。
そのためスパコン施設では大量の冷却水が必要となります。
スパコンがフル稼働するとき、毎日1000t以上の冷却水が冷却塔から蒸発していくのです。
スパコン施設の場合、この冷却水は淀川から引いてきた安価な工業用水を利用しているのです。

最終的に冷却水の温度は35℃になっています。
ここまで温度が低いと、この熱をさらに回収することは難しい。
でも、暖房のための予熱程度には使えそうです。
スパコンプロジェクトが上手く行けば、全国、全世界から研究者が集まってくるでしょう。
その人たちのためにさらに近隣の土地に研究棟を建設することになるかもしれません。
そのときには、冷却水から熱を回収して暖房に使って、さらに総合熱効率を上げたいなー、って夢見ています。
そのためには、スパコンプロジェクトを成功させなくちゃね!
ぼくもぼくのできること、得意とすることで貢献していきたいと思っています。

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