2011年5月8日日曜日

ペアシステムのススメ


こんにちは

おかげさまでこのGWは東京の家に帰り、家族とのんびり過ごしました。
千葉へ潮干狩りに行った他は、家の窓ふき、網戸洗いをしたり、庭の果樹のアブラムシ駆除をしました。
1日だけ和光本所へ出勤して5月半ばに行われる会計検査の準備をしました。
よかった、よかった。
ゆっくり休めたには訳があります。

神戸に異動して1ヶ月が経ちました。
この間、ぼくのやった主な仕事は、システム作りです。
仕事の定義付け、と言ってもいいかな。
幸い神戸のスタッフの皆さんは優秀だし、経験も豊富。
専門家集団といっていいと思います。
でもそれぞれの人がどの仕事を担当するのか、明確に決まっていませんでした。
その時々、場合場合で決めていたようで、一人のとても性格のよい人に、あははは、負担がかかっていたり。
一つの仕事を何人もが関わってやっていたり、逆に誰がやるかまったく決まっていない空白領域があったりしました。
それを整理したんです。
誰が何をやり、その責任者であるか明確にする。
1ヶ月様子を見たり、スタッフの人たちと話をする中で決めていきました。
もちろん、そのリストを作成し、全員に配布しましたよ。

神戸のスタッフたちは、任期制職員だったり、派遣や出向だったりして、身分が不安定な人が多いんです。
だから役割分担をするときも、できるだけ雇用を維持し、長く勤務できるような仕組みを埋め込もうと思いました。
逆に、今よりもいい条件の仕事が見つかったときに、あるいは年を取ってそろそろリタイアしたくなったときには、気兼ねなくすんなり辞めることもできるようにしたかったんですね。
もちろん、みんな(ぼくも含めて^^;)が遠慮なく年次有給休暇など休暇もしっかり取れるようにしたいわけです。

そこで採用したのが「ペアシステム」です。
ペアシステムは元もと、ロケット博士の糸川英夫さんが提唱したものです。
糸川さんが組織工学という学問分野を創造し、その中で提唱したもの。
和光にいた頃も、ペアシステムで仕事をしていました。
http://rikenyoshi.blogspot.com/2009/08/blog-post_3906.html
http://rikenyoshi.blogspot.com/2009/09/blog-post_13.html
この時は、上長と部下との関係でペアシステムを組んでいました。
作業は部下、判断と責任はぼく、という関係ですね。
けれども神戸では、スタッフ同士でペアシステムを作ることにしたんです。
ぼくが責任者であることには変わりないのですが、ぼくがいなくても仕事が回るように。
ぼくだって神戸に単身赴任するのは、スパコンが供用開始して安定稼働する2年間だけだと思っています。
いずれはいなくなる。
その時になっても、継続して安定的に業務が流れるようにしたいわけですね。
だからぼくはなるべく実務的な仕事はしなくていいシステムにしようと思いました。

主担当はその業務に最も精通している人に決めました。
あたりまえですね。
そして、副担当を決めたんです。
日常業務は主担当を責任者として、副担当と相談しながら行う。
そうしてその業務を二人でやってもらうことによって、スペアを作っておくのです。
あわせて、誰もが主担当であり副担当であるようにしました。
こうしておけば、主担当がお休みするときでも気楽に休みを取れます。
もし主担当の人が突然辞めることになっても大丈夫。
引き継ぎもすんなりいきます。

その際副担当は、その業務の隣接業務の専門家を充てました。
隣接業務の専門家であれば、その仕事に精通するのも比較的簡単です。
まったくゼロからの出発ではないので、短期間で隣接業務の専門家にだってなれるはずです。
施設管理の仕事には、電気主任技術者やボイラータービン主任技術者など法定資格も必要です。
もちろん専門家である主担当の方に、法定資格の選任をお願いしました。
そして副担当の人にその代務者をやっていただくことにしました。
電気主任技術者の免許は試験で取るほかに、実務経験を積むことでも認定されます。
その際、代務者であった経験が認定の時に有利に働きます。
電気主任技術者などの法定有資格者は希少であり、すぐ代わりの人材は見つかりません。
そういう場合でも、隣接領域の専門家が代務者として経験を積み、免許を認定してもらえば、法定資格者不在で施設を運用するなんて違法なことをしなくてすみます。

さらに、副担当として隣接業務にも精通してもらうことによって、スタッフたちの仕事の幅も広がります。
ぼくら技術者も一つの分野の専門家というだけでは、なかなか生き残っていけません。
同じ分野の専門家、若くて人件費の安い人がいれば、即交代させられてしまう時代です。
でも二つ以上の専門を持つ技術者は有利ですよ。
そんな人はめったにいないからです。
希少価値のある人材は、何かと優遇されるものです。
クビにはなりにくいですし、昇給、昇格もしやすい。
万が一、会社の都合で辞めることになっても、二つ以上の専門を持っていれば、転職のチャンスは2倍に広がります。

どうです?
ペアシステム、素晴らしいでしょう。
こうしてぼくもGWをのんびり過ごせたって訳ですー。


去年神戸スパコンキャンパスに植えたハーブの苗が、しっかり根付いていました。
ペアシステムもしっかりと根付いてほしいですねー。

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