2011年5月30日月曜日

芝の戦略

こんにちは

暖かくなって公園の芝生の上でのんびりひなたぼっこもいいですね。
我が職場の屋外の芝も元気に伸び始めました。
でも、困ったことに雑草も元気に伸びてるんですよ。

芝生は維持管理がけっこう大変です。
まめに芝刈りをしないと、すぐ雑草だらけになってしまいます。
どうしてなんでしょうか。

植物には盛んに細胞分裂をして成長している場所があります。
これを「成長点」と言います。
中学校や高校の理科の時間に、大根の根の先端を顕微鏡で観察したことがあるかもしれません。
一般的に、成長点は根の先端、葉の先端にあります。
成長点を人為的に切り取ってしまうと、その植物はそれ以上成長ができなくなって、やがて枯れてしまいます。
ところが、芝は刈っても刈っても伸びてきます。
それは、芝の成長点は葉の先端にはなく、葉の根元にあるからです。

芝はイネ科の植物で、牛や馬など草食動物が好んで食べる植物です。
自然の野原では、芝や他の雑草などいろいろな植物が生えています。
そこを草食動物が食べる。
食べるときは、当然ながら食べやすい葉の先端部を食べるわけです。
すると、成長点が葉の先端にある植物は成長点を食べられてしまうので、それ以上成長することができなくなって、やがて枯れてしまいます。
ところが、芝は成長点が根元にあるので、先端を食べられても枯れません。
すると、芝だけが生き残り、どんどん増えることができるのです。
芝の一人勝ちです。

芝は成長点を根元に持ってくるよう進化したのは、草食動物が草を食べる環境に適応したためです。
さきっぽを食べられても平気、他の植物との競合に勝つためにむしろ先っぽを食べられた方が有利ってことです。
その意味で、草食動物が芝を進化させたのかもしれませんね。

草食動物がいない場所に芝を植えた場合、どうなるでしょうか。
しばらくすると、元もとその土地にあった他の雑草などの種が発芽したり、風や鳥が運んできた種が発芽したりして、芝と雑草が競合するようになります。
そうなるともう芝生ではなく、ただの雑草だらけの野原になってしまします。
背丈の低い芝は、他の雑草に太陽の光が遮られ、成長できなくなってしまいます。
光を浴びてグングン背を伸ばす他の雑草に、土の中にある栄養分も取られてしまうのです。

そこで、芝刈りです。
芝刈りをすれば、当然ながら雑草の先端も刈り取ることになります。
成長点を刈り取られた雑草は、成長ができなくなって枯れていきます。
そして、根元に成長点がある芝だけが生き残るというわけです。
芝って奴はけっこうしたたかです。

人間も芝の生き方に学ぶのもいいかもしれません。
個性の芽をつみ取られてイヤな目に遭わないように、成長点をつみ取られにくい場所にもっていくんです。
そうすれば簡単には個性をつぶされません。
ぼくも芝のようにしたたかに生きていきたいって思いました。

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