2011年5月7日土曜日

マニアに育て!


こんにちは

サイエンスカフェをやるとき、何冊か本を持っていきます。
以前、理科教育仲間と共著で出版した子ども向けの本

 『たのしい理科こばなし』星輪会
 『役立つ理科こばなし』〃

です。
参加者全員にプレゼントはできませんが、それに全員もらえるものって価値が下がるでしょ、希望者でじゃんけんしてプレゼントするんです。
その時、『たのしい理科こばなし』は小学3,4年生を対象にした本ですから、小学1,2年生、あるいは幼児にプレゼント。
『役立つ』の方は、小学高学年から中学生を対象にしていますから、小学3,4,5年生にプレゼントするのです。
なぜなら、理科マニアになってほしいから。

サイエンスカフェのお話の中で、科学者(研究者・技術者)になるにはどうすればいいか、ということもお話しします。
もちろん、しっかり勉強し、努力しないとだめだと言います。
でも、努力の仕方を間違えないように、って言うんです。
嫌いな科目はどうする?って聞いて、テキトーでいいよ、なんて言っちゃうんです。
それだけで子どもはニコニコ、お父さん、お母さんは笑います。苦笑いかも??
で、好きな科目はどうする?って聞いて、こう言うんです。

 好きな科目は100点じゃつまらないよ。
 200点、300点、400点とれるくらいやる。
 学校で習うのを待っていてはだめ。
 上の学年の本、大人の本でもどんどん読んじゃう。
 科学館や博物館にも自分で行く。
 そうして先生を超えちゃえ!

だからプレゼントする本も、その子の学年より上のレベルの本をあげるんです。
ちょっと背伸びをする。
そうして、理科マニアになってほしいからね。
プレゼントした本には、ぼくのサインを書いてあげて、「科学者になろう!」って書き添えます。
サイエンスカフェでのぼくの話で、科学者は楽しいってことが伝わっていますから、もらった本は必ず読むはずなんです。

大阪のサイエンスカフェに来てくれて、みごと本をGetした小学1年生。
SPring8一般公開にも家族で来てくれました。
その子のお母さんから、「いただいた本、毎晩寝る前に読んでるんですよ」と言っていただきました。
嬉しいですねー。
マニアに育ってくれるといいですねー。

マニアになると何がいいのか。
それは、高い場所に行けるからです。
高い場所に行けば、遠くを見ることができるからです。
作家で工学博士の森博嗣さんは著書の中でこう言っています。

 遠くが見えるようになって初めて、
  遠くがあることを知る。
 そして、もっと遠くがあることが予想できるのだ。
    (『喜嶋先生の静かな世界』講談社\1600-、74p)

そして、好きなことをとことんやる中で、嫌いなこともなくなってくるんですよ。
それは広義の意味での「専門性」が身に付くからです。
森さんはこう書いています。

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とても不思議なことに、高く登るほど、他の峰が見えるようになるのだ。
これは、高い位置に立った人にしか分からないことだろう。
ああ、あの人は、あの山を登っているのか、その向こうにも山があるのだな、というように、広く見通しが利くようになる。
この見通しこそが、人間にとって重要なことではないだろうか。
他人を認め、お互いに尊重し合う、そういった気持ちがきっと芽生える。
だから、何か一つの専門分野を極めつつある人は、自分とは違う分野についても、かなり的確な質問ができるし、有益なアドバイスもできる。(同書290p)
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我が子たちにもマニアに育ってもらいたいですし、ぼく自身もマニア道を歩み続けたいと思っています。

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