2012年2月12日日曜日

ジェントルでいられる仕組み

こんにちは

ファシリティマネジメント大会で、防災研究家の山村武彦氏の講演が面白かった。
3.11大震災のあと、略奪など非道な行いが起こらず、日本人が非常に紳士的であったことが諸外国からも賞賛されました。
他国で大規模な震災に見舞われたとき、そのあとに略奪などが行われるのが当たり前。
それに比べて日本人はそういう行いはしない。
日本人はなんて素晴らしいのだろう、と。

でもそれには理由があったんです。
それは被災地で、被災後早い時期に店舗が店を開けたこと。
コンビニなども地震で陳列棚はめちゃくちゃになりましたが、ともかく一応片付けて店を開いた。
これによって被災者への初期の物資の供給ができたんですね。
支援物質が届くまでの「つなぎ」ができたのです。

そして被災者がそれを購入出来るだけの現金を持っていたこと。
お金があってものを売ってくれる店がある。
これが冷静な行動を生み出したのだそうです。

たとえば店が開かなかったらどうだったでしょうか。
物があるのに店が開かなければ、物を求めている人は強引にそれを得ようとするでしょう。
諸外国で略奪が横行したのは、お店の側が持っている物資を守るために店を固く閉じてしまったからだ、とも言えるのです。
そこにあるのに得ることができなければ、非合法な手段に訴えてしまう人も出てくるのが当たり前でしょう。

たとえば現金を持っていなかったらどうでしょうか。
店は開き、物はそこにある。
お金はないが物は必要だ。
そんな時は、とても冷静な行動はできなくなってしまうでしょう。
お店の側も、お金のない人ばかりだとしたら、ますます店を固く閉じてしまうに違いありません。

だから被災したとき、近隣の金融機関は預金通帳などが地震や津波で紛失していたとしても、一定額の現金を融資する必要があるのです。
現金があれば物が買える。
必要な物が得られるなら、人間はあえて非合法な非道なことはしなくてすむのです。

3.11の時、被災地で日本人が冷静な行動ができたのは、そういう前提条件も整っていたからなのだそうです。
そして、災害があったあとはなるべく早く店を開ける、という暗黙の了解があったんです。
支援物質が届くまで、数日はかかるものです。
それまでの間、必要な物資を供給することができた。
それが冷静な行動を生み出すのです。

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