2012年8月13日月曜日

先生はエライ

こんにちは

伊藤真さんの講演を聴いて、こんなことを考えてみました。
憲法を学ぶと「先生は偉い」という命題が証明できます。
え?いったいどういうこと?

憲法を法律の親玉だと思っている人はいませんか?
実は憲法は、法律とはまったく違うものなのです。
法律は、その決まりによって国民の行動を制限しますよね。
交通違反を捕まえたり、税金を徴収したり。
つまりそれって、権力行使に他なりません。

では、法律を作るのは誰?
もちろん国会議員です。
つまり法律を作るって言うことは、国民に対して権力を行使する、ということなんです。
だから、国会議員は権力者です。

国会議員によって作られた法律を実行するのは誰?
たとえば道路交通法に従って、違反者を逮捕するのは警察官。
警察官は違反者を逮捕するだけの権力を与えられているわけです。
警察官は公務員です。
だから、公務員は権力者です。
そう言えば、国会議員も特別職公務員ですね。

警察官によって逮捕された人を裁くのは誰?
それは裁判官。
法を犯した人を裁判によって刑罰を決める。
罰金を命じたり、懲役を命じたり、死刑にしちゃったり。
つまり裁判官にはそれだけの権力が与えられているのです。
裁判官はその意味で権力者。
裁判官だって公務員でした。

まとめて言うと、司法、立法、行政の三権は「権力」であり、その権力はすべて公務員にそれぞれの職責に応じて与えられているんです。
ではその権力の源泉は何でしょうか?

公務員の権力は、主権者である国民が与えているのです。
それは憲法に書かれている通り。
つまり、国民はよりよい社会を作るために、あえて公務員に権力を付託しているのです。
自らの自由を制限するかもしれないのに、それでもあえてそうしている。
それが近代国家の原理なんですね。

だからといって,公務員に無制限に権力を与えているわけではありません。
それでは公務員がやりたい放題やり始めちゃったら,社会は成り立ちません。
それを縛るのが「憲法」。
憲法は公務員、すなわち権力者を制限するものなのです。
だから、法律とは働きがまったく逆なんです。

最近はそうでもないのかもしれませんが、総理大臣とか裁判長とか,偉い人だって思いますよね。
それは総理大臣も裁判長も公務員であり、国民が権力を与えているんですから、偉くて当たり前なんですよ。
だから、総理大臣も国民が与えた権力を上手に行使して、社会を良くしていかなくちゃいけない。
だって憲法にこう書いてありますから。

 第13条 
 すべての国民は、個人として尊重される。
 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
 公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政によって、最大の尊重を必要とする。

総理大臣たる者、いくら偉そうにしたっていんだけど、ぼくらの生命、自由及び幸福追求の権利は守らないといけないんです。
逆に言えば、ぼくらの生命、自由及び幸福追求の権利を守るためなら、どんどんと権力をふるって欲しいのですよ。

さてさて、ようやく本題。
公立校の先生も公務員ですよね。
これまでの議論どおり、学校の先生も「権力者」なんです。
だから、「先生は偉い」んですよ、構造的に。
「たかが先公(死語?)のくせに、エラソウにすんじゃねえよ!」なんてすごんでもダメですよ。
憲法で偉いことに決めちゃったんですから。
あえて言いますが、先生は偉いんです、偉いことにしとかなくちゃいけないんです。
先生ご本人だって、エラソウにしなくちゃいけないんです、無理にでも。
だってそれは、国民がそれだけの権力を付託しているんですから。

その代わり、先生にはぼくらの「生命、自由及び幸福追求の権利」を守ってもらわなくちゃ。
たとえば「いじめ」なんてのがクラスで発生したとする。
そのとき、もちろんいじめる奴が悪いですよ。
でもそれより、先生がちゃんと権力行使しないのが悪い。
だって、いじめられている生徒の「生命、自由及び幸福追求の権利」が犯されようとしているんです。
こんなときこそ、凜として強権を発動してもらいたい。
それが憲法が定めた公務員の義務なんですから。

昔のお父さん、お母さんは、よくこんなことを言って子どもを躾けたようです。
「おい、そんなことをするとおまわりさんに逮捕されるぞ」
だから子どもにとって、おまわりさんはコワイ存在でいてくれた方がいいんです。
同じく、こんなことも言っていたようです。
「そんなだらしないことをするなら、先生に言いつけるぞ!」
昔は子どもにとって、先生もコワイ存在だったんですね。
いや、コワイ存在ってことにしといたんです。
その方が教育上有利だから。

まあ最近はそんなわけにはいかないのかもしれませんが、でも先生って言うのは一定の権力を国民から負託された存在であることは忘れないでもらいたい。
フレンドリーな先生もいいんですが、いざというときはおっかない、そういう存在であってほしいなーって思うんですよ。

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