2012年9月21日金曜日

2012年9月15日土曜日

出会いは相補的

こんばんは

明日は三重県桑名市でサイエンスカフェです。
お近くの方はぜひどうぞ!
桑名市はスパコン「京」のCPUを作った富士通セミコンダクタ社のあるところだね。

明日のサイエンスカフェでも、素晴らしい子どもたちと出会えるでしょうか。
素晴らしい子どもと出会えるかどうかは、ぼく自身にもかかっています。
出会いは相補的だからね。
森博嗣さんもこんなことを言っています。
だから、出会いというのは、怖いものでもあるんです。

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子どもというのは、少し言葉を交わすだけで、あるいは大人たちの話を聞いているだけで、大人の実力を正確に見抜くものである。
馬鹿にしてはいけない。
「ああ、この人はこれができないのだな」とわかると、もうその大人からは学べない。
少なくともその分野では「先生」ではないことになる。
子どもはそれくらい知識に飢えているのだ。
自分が欲しいものを持っている大人をいつも捜している。
これは、どんな子どもにも共通する(動物全般にいえる)性質であり、「幼さ」という能力である。
 (森博嗣『創るセンス 工作の思考』集英社新書¥700-)

2012年9月1日土曜日

アトピーはアレルギーではないかもしれない

こんにちは

ぼくの持病はアトピー性皮膚炎です。
赤ちゃんの頃から湿疹が出続けています。
大人になった今も、疲れたり、ストレッサブルな状況になると悪化します。
かさかさの乾燥肌は、夏井先生の教えに従って、白色ワセリンで被覆することによって改善できました。
でもそれは体表面保護だけのこと。
身体の中から湧き出してくるかゆみには対抗できずにいました。

だいたいこれまで年2回くらい、悪化していました。
悪化するたびに、かかりつけのお医者さんにステロイド内服薬を処方してもらっていました。
それで何とか炎症を抑えていたんです。
去年から神戸に単身赴任するようになって、悪化度が増しました。
かゆみもひどくなり、期間も長引きます。
うーむ、何とかならないものだろうか。

今年6月末頃にも、すごく悪化しました。
この時もかかりつけのお医者さんに行きました。
が、ステロイド内服薬は副作用が大きいから、今回は抗ヒスタミン剤と抗アレルギー剤を処方してみましょう、とお医者さんから言われました。
それに従って、抗ヒスタミン剤と抗アレルギー剤を4種類も飲み続けました。
まるでよくならないんです。

どうしてこれらの薬がちっとも効かないのか考えました。
ぼくの得た仮説は「ぼくのアトピーは、アレルギーではないのではないか。だから、抗アレルギー剤が効かないし、アレルギー反応としてのヒスタミンも出ていないから、抗ヒスタミン剤も効かないのだ」でした。

では何がぼくのアトピーの原因なのでしょうか。
溝口徹『がんになったら肉を食べなさい』という本を読みました。
溝口医師は、分子整合医学で診療しているお医者さんです。
要するに、栄養学ですね。
溝口先生は、うつ病など精神病の多くも、ある栄養素が不足するから起こるのだ、と述べています。
で、この本の中で「高濃度ビタミンC治療」について述べられていました。
そこにちょこっと、「ビタミンCを大量に摂ることでアトピーも治る」とあったのです。

おお、もしかしたらぼくのアトピーも、ある種の栄養失調なのかもしれない、と思いました。
単身赴任でそれが顕著になった。
だから悪化したのではないか。
インターネットで「アトピー ビタミンC」で検索してみました。
確かにビタミンCは皮膚炎に有効ですし、副腎皮質ホルモンの生成にも必要だってありました。

さっそく自分の身体で人体実験です。
ビタミンC薬を買ってきて、規定量(1g/日)の3~5倍服用しています。
ほぼ1週間たちますが、発疹が薄くなり、かゆみも弱くなりました。
ある程度は効果があるようです。

インターネット検索で、こんなページも見つけました。
http://atop00.blog134.fc2.com/blog-entry-3.html
チョコラBBというビタミンB製剤もいいようです。
今日からこれも追加です。

あと、3日前からαリノレン酸も毎日大さじ1杯食べるようにしています。
さてさて、ぼくの持病を退治することができるでしょうか。
楽しみ、楽しみ。

地震が起こると歴史も動く

こんにちは
8/22-23は電気設備学会全国大会に参加しました。名古屋大学です。もちろんぼくも発表しましたよ。
面白かったのは、名大減災連携研究センター教授福和伸夫さんの講演。
http://www.sharaku.nuac.nagoya-u.ac.jp/
福田さんは政府中央防災会議の委員でもある。
8/29に政府が公表した南海トラフ巨大地震の話をからめた講演でした
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/taisaku_nankaitrough/index.html
何より面白かったのは、日本の歴史は地震災害と連動している、ということ。

たとえば、江戸時代末期には巨大地震が頻繁に起こりました。
1854に安政東海地震、南海地震が起きました。この連日の巨大地震で太平洋岸の諸藩、多くは江戸幕府親藩、譜代大名の藩は大きな被害をうけました。
ところが、薩摩、長州藩はほぼ無被害だったそうです。
これが江戸幕府衰退、1868大政奉還への下地になったのだそう。

太平洋末期にも1944に東南海地震、1945に三河地震が起こり、これにより軍需工場の多くが壊れ、それが敗戦へとつながったと言えるのだそうです。
原爆投下される頃には、日本にはもうほとんど兵器を作れるような状況ではなかったんだそうです。

ナポレオンと徴兵制

こんにちは

近代になって戦争が大規模かつ激しくなったのは、素人を兵士として狩り出すようになったからです。
世界史を勉強すると、近代以前の戦争は「30年戦争」やら「100年戦争」やら、やたら長期間続く戦争があったと、教科書に書いてあります。
長期間の戦争は意外とのんびりしたものだったのです。
のんびりやっているから長く続けられる、と言っていいでしょう。
なぜならこの頃の兵士は、ほとんどが「傭兵」だったからです。
つまり玄人ですね。
お金をもらって戦争をしている人たち。
こういう玄人兵士のモチベーションは、なるべく長く戦争が続き、かつ自分が死なないこと。
その方が自分の雇用が守られ、家族を養い続けられるからね。
だから、だらだらゆるゆると戦う。
勝たないように、負けないように、お互い死なないように。
だから、30年も100年も戦争が続けられたのです。

ところが近代になると、普通の国民が兵士になるようになりました。
つまりは「徴兵制」です。
素人の戦い方は無謀になりがちです。
なぜなら、早く戦争を終わらせたいからです。
普通の人、素人の兵士のモチベーションは、できれば勝って、すぐにでも家族の元へ帰りたい。
だから戦術もへったくれもなくなって、がむしゃらに戦ってしまうのです。
そういう戦い方だと、お互い戦死者も多くなってしまうのは必然です。


実は、徴兵制は民主主義国家、国民主権国家になってから始まりました。
世界最初の徴兵制は、フランスです。
フランス革命後、共和制国家になった後、徴兵制が始まりました。
革命によって国は「国民のもの」になりました。
ならば国を守るのも国民自身がしなければならない、と言う論理なのです。
民主主義と徴兵制は強く結びついているものなのです。


フランスと言えばナポレオン。
ナポレオンが大活躍できたのも、失脚したのも徴兵制が原因と言ってよいのです。
フランス革命後、共和制政府は衆愚政治に陥り、にっちもさっちもいかなくなってしまいます。
そこに顕れたのがカリスマ・ナポレオン。
ナポレオンは熱狂的にフランス国民に支持され「皇帝」となります。
皇帝と言っても古代の皇帝とは違います。
国民から支持され、選ばれた皇帝です。
その意味でナポレオンは、現代で言うところの「大統領」に近いものだと言えます。
なので、フランスはナポレオンにより帝制国家となったのですが、実体的には国民国家、国民主権の国でした。
だから徴兵制はナポレオンの時代になってもそのまま引き継がれたのです。

ナポレオンはじゃんじゃかとフランス国民から兵士を徴兵していきます。
そうやってナポレオンは、大規模な軍隊を持つことに成功したのです。
徴兵制の利点は、兵士に給料を払わなくてよいことです。
傭兵だと、強い兵士ほど高級を要求します。
それと比べると、徴兵制はお金がかからずに、大規模な軍隊を持てる仕組みだったのです。

その頃、フランスの周りの諸国は未だ王制国家でした。
なので軍隊は傭兵で構成されていました。
お金がかかるから大人数の軍隊は持てずにいました。
その上、プロの兵士たちは必死には戦いません。
のんびりゆるゆると戦うのが習性だからね。 そうすると、がむしゃらに戦う大人数の素人軍団が易々と少人数の玄人軍団に勝つのは当然です。
ナポレオン率いるフランス軍は、連戦連勝を続けていきます。

ところが、こんな戦争を続けていくうちにフランス軍には困った問題が顕在化してしまいました。
それは、「戦死者が多い」ということです。
技術も無しにがむしゃらに戦う兵士たちは、やはり戦死してしまう確率も高くなってしまうのです。
なんと、ナポレオン軍の戦死率は50%にも及んだそうです。
徴兵された兵士の半分は死んでしまう。

こうなると、国民は徴兵されるのを嫌がります。
それにも増して、そもそも兵士としてふさわしい若くて健康な男子が国民から消えてしまったのです。
するともう、徴兵制によって大規模な軍隊を維持できなくなってしまったのです。
もうフランス軍は戦争に勝てなくなってしまった。
それがナポレオンの失脚につながったのです。



今月号の『たのしい授業』8月号に徴兵制についての授業書が載っていました。
ちょうど池上英洋『血みどろの西洋史』KAWADE夢新書も読んだところだったので、こんな雑文を書いてみちゃいました。
歴史って面白いですよねー。