2013年12月1日日曜日

100点主義を廃す

ダメな人ほど完璧主義だ.
ものの軽重がわからないから.どうでもいいことに時間と労力を使う.
その割に重要なところがおろそかになっている.

完璧主義の遠因に,小学校などで行われている「100点礼賛」があると思っている.
テストで100点を過大に評価する.
全員が100点取れるまでがんばろう!なーんてね.
ばっかじゃねえの!

みんなに100点取らせて自信を持たせるなんてね.
全員に100点取らせるために、すんごく易しいテストにしちゃったりさ。
アホだなあって思う。
大事なことは何かわかってんのかい?

100点主義の人のアタマの中では,数直線が100で止まっている.
それ以上の数字が存在しないのだ.
100点なんか人為でそこで切っただけの点数だ.
現実には100点以上だってある.
そう考えれば,100点もただの数字,数直線上の普通の1点に過ぎないことがわかるはずだ.

だからって、点数なんかどうでもいい、と言っているわけじゃないよ。
100点がダメとも言っていない。
誤解しないでね。
やっぱり、テストではいい点数を取る方がよいのだ。
よい点数を取るために,一生懸命勉強した方がいいのだ。

でもそれは、100点を取るためじゃない。
自分を鍛え、有能な人間になるためなんだ。
100点を取ることだけを目標とすると、本来目指すべき目的を見失ってしまうんだ。

受験で負けても人生で勝て、なんていう人もいるけど、それも間違っているぜ。
受験を馬鹿にしちゃいけないよ。
受験も自分を鍛え、有能な人間になるためのチャンスだ。
そこから逃げちゃいけないんだ。

受験勝ち組全員が素晴らしいわけではないのも確か.
だがしかし,有能な人たちは決して受験負け組から生まれてきたわけではない.
受験をしなかったかもしれない、大学に進学しなかったかもしれない、でも受験なんか屁とも思わない人物なわけだ.
必要なことはきっちりと勉強していたはずなんだ.
そこを間違えてはいけない。

受験に勝っても人生に負けている人はけっこういるが,受験に負けて人生にも負けている人も劣らずたくさんいる.
と言うより、受験負け組はほぼ人生でも負け組になってしまうのである。
そもそも、負け組なんて意識を持っている人間が、勝ち組になれるわけがない。

話を元に戻す。
100点がいいわけじゃない。
100点主義に陥ると、100点を取りたいがために、枝葉末節のどうでもいいくだらないことまで,長い時間と労力をかけて勉強しなければならなくなる。
テストのためだけの勉強に陥りがちなのだ。

そんなことをするよりは、重要点だけきっちり押さえておけば、80点でも90点でもいいのだ。
その方が効率的。
100点のためにくだらない細々したどうでもいいことまで勉強するくらいだったら、さっさと切り捨てて,先へ進む。
そういう戦略で生きていった方がいいと思う次第。

読み書き計算は、やりたいことに没頭するための「技術」である

11/2、我が子たちに算数検定を受検させ」ました。
とんたんは12級(小1の1学期修了レベル)、はっちゃんは9級(小3修了レベル)。
昨日、結果が届きました。

二人とも合格!
素晴らしい!
とんたんは20問全問正解、満点です。
はっちゃんは20問中19問正解です。

はっちゃんは、試験受験後すぐ「お父さん、この問題だけ分からなかった。教えて」と言ってきました。
直方体の辺の数を問う問題でした。
これは学校でもまだ習っていないし、過去8回の過去問にもなかった問題です。
まあできなくてあたりまえでしたね。

できる子は自分ができなかった問題をはっきり覚えているものです。
そしてそれを即勉強してしまう。
勉強で大事なことは、分からないこと,できないことを放置しないことです。
知識、技能の「穴」を作らないことです。
勉強ができる子はそれを確実にやっているのです。

もっとも、できなかった問題数が少ないからそれができるわけです。
できない問題だらけだったら、膨大な数の穴埋め作業は困難でしょう。
だから,試験前にしっかりと受検勉強をしておくことが大事。
基礎的なことを理解し、過去問を解き、合格点を取れるまで自分を高めてから受検する。 

そういう準備なしに試験を受けても、活用できませんからね。

次は1月末にある漢字検定。
とんたんは初受検で、10級(小1修了レベル)に挑戦。
はっちゃんは7級(小4修了レベル)に挑戦です。
毎日コツコツと少しずつでも勉強させています。

小5までは、算数検定と漢字検定を家での勉強の主軸にしていこうと思います。
小5までに小6までの読み書き計算は終わらせちゃうつもり。
なぜか。

読み書き計算は技術=道具です。
本質を学ぶには技術がないと困難。
だからそれを先に身につけてしまうのです。
もちろん,できる範囲で、急ぎすぎず。

技術が身についていれば、本質に集中できます。
字が読めない、言葉の意味が分からない、ちょちょいと計算できない状態では、気持ちが拡散してしまいます。
集中できれば楽しくなります。
深く広く学ぶ気持ちが生まれます。

読み書き計算の技術が身につけば、中学生,高校生の時代に好きなことに没頭できます。 

ぼくの職場の活躍している学者さんに話を聞くと、中学1年生で高校までの数学をやり終えちゃったとか、物理をやり終えちゃった、みたいなことを言っています。
もちろん勉強だけじゃなく、部活でもマニアックな趣味でもいいでしょう。
読み書き計算が身についていれば、授業や学校の勉強はほどほどにこなせるので、部活でも趣味でもたっぷり時間を使えてガンガンと打ち込めます。
中学、高校はそういう年代であってほしいのです。

2013年11月8日金曜日

試験で良い点を取る意義

スタッフたちへの冷凍保安責任者国家試験向けの勉強は今日でおしまい.
ひと通りみっちり教えたつもり.
日曜日がいよいよ本番だ.
最高峰の1種試験を3人,ミドルレベルの2種試験を2名が受験する.
全員受かるといいねー.

とにかく最後まで悪あがきしろって伝えた.
諦めない気持ちが大事.
こんなもんだろう,と思った時に人は堕落を始めるものだ.
試験官が「もうテキストをしまいなさい!」と怒るまで,ぎりぎりまで勉強しろって.

人の価値はテストの点数じゃないって,よく言われる.
学力はテストの点数じゃない,なんて「教育者」は言う.
大切なのは,生きる学力だって.
馬鹿言ってんじゃないよ.テストの点数こそが生きる力に直結してるんだ.

テストで点数を取るためには,問題の意図を理解しなくちゃならない.
出題者の欲している回答はなにか.
その推察なしに,自分勝手なことを書いても点数はもらえない.
つまり相手の意図を正確に捉える良い練習になるのだ.

ぼくはリーダーだから仕事上の指示,命令を発する.
ところがぼくの意図することと違うことをやっちゃうスタッフもいる.
ぼくの言い方が悪いのかと思って,噛み砕いてよく説明してみる.
それでもミスをするのだ.
これは明らかにこのスタッフの側の問題であるとわかる.

こういうスタッフに勉強を教えてみると,勉強もやっぱりできないのだ.
点数を取れない.
試験になかなか合格しない.
問題の意図をきちんと理解しないで,自分勝手な理解で答えてしまうからだ.
そういう悪い癖が付いている.
それが普段の仕事にも現れてしまっているのだ.

仕事はコミュニケーションだ.
コミュニケーションの基本は,自分の意見を述べることではない.
まず最初に相手の話しを正確に聞くことだ.
相手の言うことをきちんと理解しないのに,自分の言いたいことだけ言っても,ちっとも噛み合わず,いつまでたっても平行線のままだ.
相手の話を理解できないのに,自分の主張を述べられるはずがない.
コミュニケーションの本来の意味は「相互理解」だからだ.

だから試験,テストというのは,相手の言うことを正確に理解するための,必要十分な訓練になっているのだ.
試験で良い点数を取れない子どもは,社会に出ても上司や顧客の言うことをきちんと理解できず,あいまいなまま仕事をするので,失敗を重ねてしまうのだ.
意図がわからないから段取りも組めず,闇雲に仕事をしてしまう.
手戻りが多くなり,それが長時間労働を生む.

もちろん試験問題には「悪問」もある.
いくら考えても出題者の意図を汲み取ることができない問題.
こういう悪問に取り組んでおくことも有効な経験だ.
世の中には,悪問みたいな人間もいる.
テストで悪問と格闘した経験が,悪問みたいな人との対応に役に立つ.

ちなみにぼくは若いころ中学受験塾や予備校で講師をしていたことがある.
いろんな学校の入試問題を分析した.
ダメ学校ほど悪問が多いね.
入試問題を見ればその学校の教師の質がわかってしまう.
そういう学校へは行かないほうが良い.

仕事だけじゃない.
家族だって同じだろう.
相手の理解なしに良好なコミュニケーションなんか取れるわけがない.
長期間安定的に良い家族を作っていくために,コミュニケーションは欠かせない.
それも,相手の話を理解することが基本だ.

ところで,テスト勉強ばっかりやらせると,個性を潰すって言う人いる.
潰れたっていいんだよ,クダラン個性なんか.
それよりずっと大事なんだ,確固たる学力は.
世の中に役に立つ人間になるには,むしろクダラン個性は邪魔.
本物の個性は,テスト勉強をしたくらいで潰れるもんじゃない.
潰れたとしたら,そんなのは意味ある個性じゃなかったってだけだ.

だから試験,テストで良い点数を取ることはとても大切なことなんだ.
教師,親は子どもにテストで良い点数を取らせなければならない.
そう教えなければならないんだ.
試験,テストこそ,生きる力を鍛えていく強力なツール,メソッドなのだ.

2013年10月28日月曜日

エンジニアの育て方

冷凍保安責任者国家試験の試験日まで半月を切ったので,ほぼ毎日,放課後などにスタッフたちに勉強を教えている.
それを「暇だからできる」と評する奴がいる.

馬鹿者!おれは暇を意図的に作ってやっているのだ.

実力がないやつほど,本来の業務外のことや業務を超えることをやっている者を,暇だからできると誤認するようである.
なるほど確かに,そういう輩は忙しそうである.

やらねばならぬ義務的仕事さえも残業しなければ終わらず,アップアップしている.それでは余分なことなどできぬわけだ.
仕事の価値は,余分なことができるかどうか,で決まる.


なぜ余裕がないのか。
自己流で仕事を進めてしまうからだ。なのにちっとも改善しようとしないからだ。
それは不勉強だからだ。

さて、冷凍1種の試験、さすがに最上位資格だけあって難しい。
選択問題など、選択肢の文章一節ごとに正誤判定できなければ正答に辿りつけない。
「なんでこんなに複雑な文章を出題するんでしょうか」。
スタッフが音を上げる。
あたりまえだよ。この資格は大卒資格だよ。

このくらいの文章を精緻に読む読解力と論理力と知識がないと、それに値しないってことだ。
これに合格すれば大卒並みの学力があると国が保証してくれるんだ。がんばれ。

教育はエデュケーション.エデュケーションとは「引き出す」こと
何も入っていない初学者もから、引き出せるものはない.
だから最初は注入だ.
核となるものを押し込む.
無理矢理にでも押し込む. 
ぎゅ~ぎゅ~と押し込む.
すると,引き出せるものが徐々に増えてくる.
こうしてようやく教育が成立する.

「なんで勉強なんかしなくちゃいけないの?」.
それはね,理屈っぽくなるためだよ.
理屈は君を裏切らないよ.

 とことん理屈っぽくなって,あらゆることを理屈で考えられるようになる.
でもどうしても論理では割り切れないものが残るんだ,ほんのわずかね.
それが情緒.
しっかりと勉強して論理を使いこなせるようにならないと,情緒もわからないんだ.
だから,不勉強な人ほど感情的なままなんだよね.

感情的なくせに,自分を情緒的だと勘違いしている人がいる.
実力を磨くことを怠った人間は,くだらない人間になってしまう.
実力のない上司ほど、意地悪することを権力だと勘違いしている。
すぐ感情的になり、理にかなわないことをやり、周りにも強制する。
そして失敗する。
感情的な人は「困った人」なんだ。
そういうオヤジにはなりたくないだろう?
だから勉強して、論理を使いこなせ、情緒も分かる人にならねばならぬ。

学問とは,自分などとても及ばないくらい頭の良い先人が,自分ではとてもできないような努力を積み重ねて,ようやく得た知恵なのだ.
それはあとからこの世界に生きるぼくたちへのプレゼントでもある.
しっかり学ばないのはもったいないことなのだ.

技術系の仕事でも,トラブルの大部分(99%以上)は不勉強によって発生する.
知らなかったがゆえに即座に対応できなかったという理由で事故に至る.
だから学ばなければならないし,学べるだけの基礎を身につけなければいけない.
スタッフたちに,最低限マニュアルを読めるだけの基礎を身につけさせるのは,リーダーの努めだと思っている.

装置類,機械類のマニュアルはすごく分厚くて,ちょっと読む気になれない.
それどころか,必要な情報がどこに書いてあるかなかなか見つけられない.
読んでもちんぷんかんぷん. 
これじゃあ,マニュアルなんて読むようにならないよね.

ところが,基礎が身についてくると書いてあることが理解できるようになる.

必要な情報がどこにありそうか,勘が働くようになる. 
こうなってくると面白くなってきて,無味乾燥のように見えていたマニュアルも,楽しい読み物になる.
そのレベルまで引き上げてやって,ミドルクラスのエンジニアに育つ.


休み明け,勉強を教えているミドルクラスを目指すスタッフに「土日もちゃんと勉強したか」と聞くと,できなかったと言う.友だちと遊びに行ったという.
おい,ふざけんな!

遊びに行ったら勉強できないのか.
なにも1日10時間勉強しろと言っているわけじゃない.
30分か1時間でいいから復習しろと言っているのだ.
遊びに行ったとしても,そのくらいの時間をとることは可能だろう.
だから,勉強できなかった理由にはならない.
勉強できなかったではなく,しなかったと言うのが正しい.
日本語は正しく使え.

この問題をやってみろ.
先週勉強した問題だ.
ほら,できないだろう.
忘れてしまったのだ.

それは君が馬鹿だからじゃない.
どんな人間でも,復習しなければどんどん忘れていくのだ.
利口な人間だって同じなのだ.
違うのはきちんと復讐するかどうかだ.
利口な人間はきちんと復習する。
ダメな人間は復習をしない。
ただそれだけの違いなのだ。
忘れてしまったら,せっかく時間と労力をかけて勉強したことが無になってしまうのだ.

そんな無駄はもったいないだろう?

それにオレの気持ちになってみろ.
君が勉強を教えてほしいと言うから,教えているのだ.
君のやる気に期待するから,オレの時間を割いて教えているのだ.
復習しないということは,オレの時間と労力と気持ちまで踏みにじることになっているのだ.

この世で一番失礼なことは,他人の信頼を裏切ることだ.
他人の善意を無にすることだ.
他人の仕事を無視することだ.
そういう奴は信用をなくす.
信用のないやつは誰からも助けてもらえないのだ.

信用を得るためには,だから,他人の信頼を裏切らないこと,他人の善意を受け止めること,他人の仕事に敬意を持つことだ.
君のこれまでの人生をよく省みてみたまえ.
信用を得ようと努力してきたかどうか.
きっとそういう意識もなかったんだと思う.
無意識に,他人の信頼を裏切り,善意を無にし,他人の仕事を無視してきたのだ.  
       
昼休み,スタッフたちに「得ビングハウスの忘却曲線」について話す.
復習すれば,知識の歩留まりがよくなる.
タイミングよく復習を重ねることによって,歩留まりはどんどんよくなり,8割くらいは覚えた知識を一生涯忘れることがなくなる.

一度理解しただけではだめだ。
身につくまでシツコク復習する。
といってもそれほど大変でもない。
3時間後、1日後、3日後、7日後と4回もやれば、OK。
復習時間もやるたびに短くなってくるから、手間も減っていく。
これで歩留まりを8割以上にできる。

何のために資格を取るのか.

実務で活かし,自分の価値を高めるためである.
覚えた知識を試験の時だけに使うのはもったいない.
務で使ってこそ役に立つのだ.
だから復習しなくちゃ損なんだよ.

  

英語学習の始めどき

小学校から教科化して英語を勉強させようという動きがあるけど、ばかげていると思う。
中途半端な時期にやってもなあ、と思うのだ。
この時期に始めても、発音はすでに手遅れ。
また、まだしっかりとした日本語が身についていないので、文法など理屈で使うようなことも不得手な時期。

小学校は、英語を教えるヒマがあったら、もっとちゃんと日本語を教えるべきだ。
英語の勉強は焦りすぎなくてよい。
中学からでも十分間に合う。

もちろん、ネイティブみたいにきれいな発音にはなれないよ。
でもそれが何だってんですか。
今や,英語を「使う」人はネイティブの人口より多い。
その人たちの発音は,まるでネイティブのようじゃない。
ローマ字カタカナ読みみたいな英語の方が主流なんですよ。
それでも通じる。

中学生の年代からでは(小学生の年代でも)、発音はネイティブみたいにぜったいなれませんが、記憶している単語が増えてくると,ヒアリングは大丈夫になる。
聞き取れない原因の大部分は,語彙不足なのだ。

コミュニケーションの基本は「通じる」ということ。
意思の疎通ができるということ。
言いたいことがある、ということ。
知りたいことがある、ということなのだ。
決してきれいな発音じゃないんだ。

通じるためには何が必要か。
語彙である。単語数である。
それとある程度正しい文法。
ならば、単語をバリバリ覚えられる単純記憶に優れた中学校からの年代、文法を理解できるだけの論理力の身についた中学校からの年代で、しっかりと勉強するのが合理的なのだ。

日本人が英語ができない理由は単純。
中学から始めたのでは遅すぎる、というわけじゃない。
不勉強なだけ。
しっかりやらないだけ。
きちんと教えないだけ。

ただし、中学から英語を始めるとしても、小学校卒業までにやっておくべきことはある。
アルファベットの読み書きである。
ヘボン式ローマ字の読み書きである。
これは国語の授業や家庭学習でしっかりやる。
4年生から始めて、5~6年までに徐々に完璧にしておく。

アルファベットの読みは「フォニックス」も活用したい。
小6の後半からは,筆記体も練習しておく。
このくらいの準備をしてから、中学へ進学する。
ならば中学から英語を始めてもまったく困らないはずだ。

  国際化というとすぐに英語教育という話になりがちですが、
  日本語ではっきり伝えられないことは英語でも伝えられるわけがありません。
                                      by大栗博司 

ぼくが帰省したときは、はっちゃんと1日1レベルずつ『論理エンジン・3年生用』をやっています。
1レベルやるのに20分間くらい。今日でレベル7まで進みました。
年内に3年生用は終わり、年明けから4年生用に入れそうです。
もちろん1月末に受検予定の漢字検定7級向けの勉強もしています。
これは平日も毎日。
アタマの良さとは国語力です。
小学生のうちに教育漢字の徹底習得と、論理的な国語力を身につけるのが最優先です。
『論理エンジン』は音読もできるので一石二鳥。題材の選択もとてもよい。

2013年10月20日日曜日

バカの一つ覚えの重要性

最近,JR北海道での事故で代表されるような,安全,保安を脅かすような技術的トラブルが多発している.
その原因は多岐にわたるだろうが,一番は保全技術の軽視であろうと思う.
保全作業というのは,一見いつも同じことをしている.変化がない.
言ってみれば,バカの一つ覚え,のような仕事なのである.

それを,創造的な仕事ではない,と考えてしまう人がいる.
創造性にばかり価値を置く人種である.
そんな仕事はだれでもできる,と短絡的に考える経営者がいる.
そんな仕事をわざわざ高い給料の社員にやらせることはないじゃないか,と.

定型的な保全作業なんだから,マニュアルを整備し,だれでもそれを見て作業できるようにすればいいじゃないか.
だから,作業員はアルバイトや短期雇用でいい.
社員は監督する人だけいればいい.
そうすれば人件費が減り,収益も上がる.
運賃の値上げもしなくてすみ,消費者だって喜ぶ.

そう言う人がいるけど,それは違う.

保全産業のマニュアルは量質とも高い.
それを読みこなすには一定の技量が必要だ.
ファーストフードの店員さんが参照するマニュアルとはまったく別物なのだ.

マニュアルは読みこなせるだけでは不十分だ.
トラブルがあった時に,瞬時に対応できるためには,マニュアルの内容を記憶しておかなくてはならない.
少なくとも,その対応法がマニュアルのどこに書いてあるかわかり,すぐにその部分を読んで行動に移せるようにしておかなくてはならない.


ファーストフード店のようなごく簡単なマニュアルでさえ,きちんと読んで,理解して行動できない人もいる.
店にダメ店員がいて,マニュアル外のことをしてお客さんが怒ったとしても,店長が謝ればそれですむ.
だが保全業務の場合,取り返しの付かない事故につながってしまう.

マニュアルを読みこなし,それをある程度記憶し,瞬時に対応できるようにする.
読むだけではダメで,実際に操作する機械や施設と関連させながら,具体的に内容を把握していく必要がある.
全くゼロからスタートするアルバイトや短期雇用の者に,それを期待できるだろうか.
アルバイトや短期雇用で勤務する者が,いつこの仕事を辞めるかわからない状況で,そんなめんどうなことをしたいと思うだろうか.

そして監督者の育成.
保全技術のマニュアルは,全て実際の機械や施設と強く関連している.あたりまえだけど.
だから,その機械,施設を実際に取り扱う経験がないと,マニュアルを具体的には理解できないのだ.

たとえば昨日まで経理の仕事をしていた社員が,保全作業の監督はできない.
マニュアルを読んでも字面しかわからないからだ.
監督者も具体的な保全作業を通してしか育たないのだ.

定型的な保全作業なんだから,マニュアルを整備し,だれでもそれを見て作業できるようにすればいいじゃないか.
だから,作業員はアルバイトや短期雇用でいい.
社員は監督する人だけいればいい.
その方針に変えても,最初のうちはうまくいく.
監督者がいるからだ.

その監督者は長い年月をかけて,マニュアルを読み込み,実際の機械,施設を操作し,保全してきたからだ.
だから未熟な作業員に対して適切な指導もできるし,その結果を評価し,ダメなら是正することもできる.

けれどもその監督もやがては年を取り,リタイアしていく.
その時,その代わりとなり,引き継ぐことのできる人材がいるか?
いないのである.
仕方なく,昨日まで経理をやっていたような人を配置してしまう.
こうして事故は起こるのである.

2013年10月14日月曜日

学校と塾とのバランスの取り方

子どもを勉強好きにし,得意にさせる方法は決まっています。
それは「先取り学習」をさせることです。
今学校で習っていることより、ちょっとでも先まで勉強すること。
でも先までやるのは,読み書き計算だけでいいんですよ。
あまりあれもこれもやると、親も子も大変ですし、逆効果になる場合もあります。
読み書き計算なら親でも教えられますよね。
読み書き計算は、学校の進度より先へ,先へと勉強しちゃう。
漢字検定や算数検定を利用するのもいいですね。
先取り学習をする場合でも、つるかめ算など,親には教えがたいものは学校に任せてよいのです。
読み書き計算を先まで勉強すると、学校でちょいと難しい内容を習っても平気。
授業時間内でほぼ完全に理解できてしまうようになります。
理解できれば嬉しくなり、楽しいから授業に積極的に参加するようになる。
つまり、学校での勉強が楽しいものになるんです。
人間は7~8割方理解できることに興味を持つようにできています。
よく分からないことを聞かされるのも嫌だし、分かりきったことを聞かされるのも嫌なのです。
読み書き計算のチカラがあれば、理解の基礎となる技能がすでにあります。
しっかりした基礎、土台の上になら、複雑なものだってしっかり建てることができるわけです。
その意味で、早い時期からの進学塾通いは反って損になる場合もあるんですよ。
細々したことまであまりにも先に勉強してしまう。
だから学校の授業は全部知っているものばかり。
それで学校の授業がつまらなくなってしまう。
学校の勉強を馬鹿にするような子どもも、早くから塾通いをしている子どもにけっこういるんですよ。
そうなると、学校へ通う時間が無駄になってしまいます。
学校の授業が面白くなくなってしまいます。
1日6時間(主要教科は4時間)を無駄にする恐れも高くなっちゃうんです。
これは反って子どもの知能を阻害します。
進学塾に通わせて,お金と時間と労力を使って、子どもをバカに育ててしまうことになりかねません。
進学塾も、しっかりとした基礎学力が身についた子なら通う意義があります。
塾の先生の話も学校では聞けない知的満足感を与えてくれます。
いろんなところから通ってくる聡明な子どもたちとの交流も刺激的です。
でもそれが、学校の授業をないがしろにしてしまうようなことにしてはいけないと思います。
進学塾は志望校が決まって、基礎基本もしっかり身につく5年生あるいは6年生になってからでも遅くないと、我が家では考えているのです。

2013年10月6日日曜日

子どもの仕事は勉強と遊び

我が家は今のところ、月2回ほどのボーイスカウト活動以外、スイミングなど習いごとはさせていません。
当然,塾も通わせていません。
毎日家で、宿題も含めて学年×20分間、つまり小3のはっちゃんは60分間、小1のとんたんは20分間、勉強させているだけ。
我が家では、「勉強は子どもの仕事の一つだよ」と教えています。
家事と同じように、毎日やらなくちゃいけないこと。
たくさんはやらなくていいけど、さぼっちゃいけないこと。
 
子どもを勉強嫌いにしないコツは、かならず始める前に「目標」を決めることです。
何時までやるのか、何をどこまでやるのか、最初に明示する。
つまり、ゴールを示すのです。
 
今日は○○時から△△時まで勉強するよ。
この本の何ページから何ページの計算問題と、漢字2文字の練習だよ。
そんな風に。
 
低学年のうちは,時間で区切るのがいいです。
短時間でよいので集中する。
集中すれば早く終わるようになる。
時間に余裕ができる。
そうなったら徐々に量を増やす。
集中できる時間も延ばす。
 
集中できるようになると、たった20分間でもずいぶん量をこなせるようになるんです。
しかも間違いなく。
勉強は長時間だらだらやっても意味がない、ってことも伝えられます。
子どもが幼少のうちは、だらだら勉強しないようにちゃんと見てあげるのも親の役目ですね。
見てあげられるように、ダイニングのテーブルで勉強させる。
家事の合間にでも見てあげられる場所で勉強させるのがいいです。
 
そしてゴールに到達したら,それ以上は求めない。
すぱっと止める。
その方が集中力が身につくのです。
 
勉強が終わったとき、いちいち褒めなくてもいいです。
だって、子どもの仕事なんですから。
義務なんですから。
やってあたりまえのことなんですから。
 
その代わり、学校のテストでいい点数を取ってきたときとか、検定試験に合格したときは褒める。
お祝いする。
そういうメリハリは必要でしょう。
 
集中力が身につくと、何事も早く終われるようになります。
つまり、時間に余裕ができます。
そしてあえて子どもに退屈な時間を与えるんです。
すると子どもは自ら工夫して楽しいことを始めます。
 
我が家はお稽古事も塾通いもさせる気はない。
それは、子どもにはボーッとする時間が必要だと思っているから。
本当に楽しい遊びは、他から与えられたものではない。
自ら生み出したものこそ楽しいんですよ。
子どもには「遊び」も必要です。
「遊び」も子どもの仕事の大切な一つなんですから。
 
毎日子どもに勉強させることは、親の時間と心にも余裕をつくります。
学年×20分の勉強をさせていれば、子どもが気ままに遊んでいても、親の心は平穏でいられます。
ぼくから言わせてもらえば、本来親がやるべきことをやっていないために、不安感が高くなってしまっているので、子どもがだらだらしているのが嫌で、お稽古事や塾通いで子どものスケジュールをびっしりにしてしまうのです。
で、その送り迎えで親の時間的余裕も奪う。
 
ただし、我が家も塾は小5後半か小6になったら通わせようかと思います。
体力があって基礎学力が十分身についていれば、塾は知的に楽しい場所です。
学校では得られない、学校では教えてくれない,楽しい勉強ができると思うから。
塾のトップクラスの先生は素晴らしく、そこに集う子どもたちもめちゃ優秀。
ぼくも若い頃進学塾講師を仕事にしていましたが、その頃のことを思い出してもトップクラスの子どもたちとの授業は楽しかった。
そういう体験をするために、塾に行くのも悪くないと思っています。
 

2013年10月5日土曜日

子育ての段階

我が家では,子育てをだいたい以下のように段階的に考えています。
 
3歳までは「心育て」.
この世に生まれてきたよかった,と思わせるように溺愛する.
 
10歳までは「アタマ育て」.
学力の基礎を身につけさせ,学び方と学ぶ習慣を身につけさせる.
 
15歳までは「精神育て」.
感情に走らず,かといって感情を失わず,合理的に論理的に,周りの人の幸せまで考えられるようにする.
 
24歳までは「自分育て」.
15歳まで身につけた基礎を使って,自分の心とアタマと精神を,自ら鍛えていく年代.
 
それぞれの年代に応じた体力作りも大切だね.
体力がないと気力もわきませんから.

2013年9月24日火曜日

意図的に知的訓練もしなければいけない

最近,ぼくのサイエンスカフェでは、授業のあとに感想を書いてもらうようにしています.
子どもたちの感想を見て痛感するのは,文章力の不足.
それは能力が低いのではなく,文章を書く機会が非常に少なく,書き慣れていないからだと思っています.
だから,書く機会をふやしたい.

ぼくもボーイスカウト活動に関わって4年になります.
ボーイスカウト活動でも,もっと書く機会を増やした方が,より子どもが育つのではないかと仮説しています.
活動したらそのことを書かせる.
年齢に応じて徐々に書く量を増やしていく.
文章を書くことにより,活動したことを強く記憶することができ,活動のポイントも徐々に理解できるようになっていくのではないでしょうか.

ボーイスカウト活動の発祥国イギリスでは,そもそもパブリックスクールなどの子どもを対象として始まったのだと思います.
ボーイスカウトを始めたロバート・ベーデン=パウエル卿は,パブリックスクールで勉強ばっかりして知的には訓練されているけど,肉体と精神がひ弱になっている子どもを見て,何とかしなくちゃと思って,スカウト活動を始めたんじゃないかって思います.
だから屋外活動をメインにして,肉体的訓練の割合を高く設計した.

パブリックスクールの生徒は、いずれ社会のリーダーになっていくべき子どもたちです。
退役軍人だったロバート・ベーデン=パウエル卿は、知識も大事だけどそれだけじゃリーダーにはなれんぞ、身体と心も鍛えよ、と思ってボーイスカウト活動を始めたのでしょう。
学校教育だけでは不足している、「穴」を埋めるシステムを作ったのでしょう。

日本の今の子どもは,知的にもひ弱で,訓練が不足しています.
社会のリーダーになる子どもを育てて行くには,スカウト活動においても知的訓練を取り入れていくべきだと思うのです.
なので,活動の後に書いて記録するなど、知的訓練活動ということもあってよいのではないかと思っているのです.
いや、積極的にやって行かなくちゃダメなんじゃないかって思うのです。
今の子どもたちの「穴」はそこにあると思うからです。

我が子の所属するカブ隊では、隊長が「論語」を教えてくれています。
とてもいいなあと思います。
ぼくも毎年科学教室で協力していますが、それに加えて「百人一首」を教える活動を冬の雨の日メニューでやろうと思っています。
五色百人一首、歌って覚えよう百人一首を購入しました。
楽しみです!

http://www.amazon.co.jp/大石天狗堂-小倉百人一首-きまり字五色二十人一首-読札・取札セット/dp/B00B6XFXBG/ref=sr_1_cc_2?s=aps&ie=UTF8&qid=1379977469&sr=1-2-catcorr&keywords=五色百人一首

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2013年9月23日月曜日

知識の穴を埋めよ!

以前、100点取るのはバカ、と書きました。
なぜなら、100点を取るためには細々した枝葉末節まで勉強しなくてはならず、コスパが悪い。
加えて、100点狙いばかりしていると幹と枝葉の区別ができなくなる。
だから、本質的な部分、重要な部分、幹の部分はきっちりと学び、短時間で少ない労力で、かつ確実に合格点をとる方が、賢いのだと思っています。
 
でも、合格点ならギリギリでよいとも思っていません。
たとえ今合格したとしても、後々の成長にとって必要なものを欠落させてはいけない。
だから、特に年少のうちは80点、90点くらいを目指した方がいいのです。
 
ぼくは理系出身なので、よく勝手に「法則」を見つけて楽しんでいます。
最近、こんな法則を見つけましたた。
 
  学校で習うことは、その3年後に効果が現れる
 
です。
たとえば、小3までの勉強に穴があると、中学の勉強が辛くなる。
小6までの勉強に穴があると、高校受験が困難になる。
中3までの勉強に穴があると、大学受験で差が出る。
高校での勉強に穴があると、就職の時、社会人になってから厳しい。
 
逆に言えば、小3までの勉強に穴がなければ、中学の勉強は楽にできる。
小6までの勉強に穴がなければ、高校受験が非常に楽。
中3までの勉強に穴が少なければ、大学受験も希望通りに行ける。
高校での勉強に穴がなければ、就職で困ることもないし、社会人になっても活躍できる。
 
とは言っても、小3の段階で小3までの学習内容、学習技能を完璧に習得するのは無理。
だからとりあえず、80点、90点を目指して、なるべく穴は小さくしておいて進級する。
そして、4年、5年、6年生の勉強をしていく中で、3年生までの勉強の穴をふさいでいくんです。
当該学年で完璧は無理でも、上学年で徐々に穴埋めしていくことは可能でしょう。
 
そういう努力を積み重ねていくと、社会に出ても困ることが少ないし、知識を使って困難も乗り越えていけるようになると思うんですよ。
ぼくの周りの活躍している人、一流の研究者やキャリア官僚の人たちを観察すると、ほんとに穴が少なく、そして常に穴を埋める努力を継続しているんです。
穴埋めを生涯続けられる人が、ずっと活躍できる人なんじゃないかなーと思えてきたんです。
 
ぼく自身穴だらけな人間でしたが、50歳を超えて、ようやくかなりの穴が埋まってきたように思います。
いろんなことが楽に短時間でできるようになりました。
見晴らしも広がりました。
 
でもこういう穴埋め作業を子どもの頃からやっている人には、やっぱり追いつけそうにありません。
我が子たちには、穴埋め作業のやり方を伝授していって、豊かな人生を作っていけるようになってほしいなーと思っています。

2013年9月20日金曜日

模擬試験活用法

今日は、模擬試験の使い方について御指南いたしましょう。
模擬試験が終わったら、結果だけ見てたりしませんか。
順位や偏差値、合否判定で一喜一憂したりしてませんか。
それも大事だけど、それだけじゃもったいないんです。
必ず復習しなくちゃね。

模試で間違えた問題をやり直す。
と言っても,闇雲にやってはいけません。
復習にも「技術」がいるんです。
カリスマ塾講師である金廣志氏は,こんな法則を見つけたそうです.
  偏差値=100-正答率
ある模擬試験の問題のうち,受験者の50%が正答できた問題を解けるなら,その子の学力偏差値は100-50=50ということ.
受験者の40%が正答できた問題も解けるなら,その子の学力偏差値は100-40=60ということ.
受験者の30%が正答できた問題まで解けるのなら,その子の学力偏差値は100-30=70ということです.
偏差値70と言えば,上位2.3%ですよ.
このくらいの偏差値があれば,たいていの学校に合格するでしょう.
ここからわかることは,トップクラスの成績をとるために,決して突飛な知能を持つ必要はないんです.
誰もが解ける基礎基本レベルの問題を,穴なくできればよいのです.
闇雲に勉強するのではなく、自分の穴を見つけ、そこをきちんと埋めていく。
そうすれば、少ない努力で、短い時間で、成績を上げていけるのです。
たとえば今、自分の偏差値が40だったとします。
ここから成績を上げていくわけですが、一気に60や70は狙わない。
狙っても無理。
とりあえず偏差値50を狙うとしましょう。
そのために模擬試験を活用するのです。

模擬試験で間違えた問題をやり直すわけですが、全部やり直す必要はありません。
模擬試験の結果にはたいてい、それぞれの問題の正答率が書いてあります。
それらのうち、正答率が50%以上の問題だけを勉強するんです。
もちろん自分が正解だった問題に、もう一度取り組む必要はありませんよ。

正答率50%未満の問題は、とりあえず放っておくんです。
だってそれはまだ自分には無理な問題なんですから。
基礎基本が身についていないから偏差値40なんです。
偏差値40しかないのに、正答率50%未満の、受験者の半分以下しか解けない問題がスラスラマスターできるわけがありません。
ちんぷんかんぷんに違いありません。
身の程を知れ!なんです。

まずは正答率50%以上の問題を復習するのです。
正答率50%の問題はごくごく基本的な問題ですから、それほど難なく勉強し終えることができるでしょう。
それだけでも、次の模試の時には,偏差値50には届かないかも知れませんが、確実に成績は伸びているはずです。
模試の成績が偏差値50に届いたら、次は正答率40%の問題に取り組む。
もちろんこれまで受験した模試の該当する問題も勉強するんですよ。
正答率50%まできちんと穴埋めができているので、すなわち基礎ができていているので、正答率40%の問題でも、それほど大きな負担なくやり抜けるでしょう。
時間もそれほど必要ないと思います。
正答率40%も問題をやり抜くうちに、自分の成績も向上して偏差値60に届くようになります。
そうしたら次は正答率30%の問題に取り組むのです。
もうこの頃にはかなりの実力がついているので、正答率30%クラスの問題でも、理解できるようになっているはずです。
トップクラスはもう目の前ですよ!
ぼくもは若い頃進学塾講師をしていましたが,生徒の中にとんでもなく算数ができる子がいました.
超難問を一瞬で解く.
模擬試験で言えば,正答率が1%にも満たないような難問が解けるのです.
講師であるぼくより明らかに頭がよい(笑)。
でもね、このような天才児の行く末を見ると,意外と後から伸びていないようなんです.
それは超難問は解けるが,ごくごく当たり前の問題でポロポロと失点する.
それが能力の伸びを阻害してしまうのです.
すなわち,天才であっても基礎的なところに穴があると、だんだんとダメになってしまうのです。
そもそも天才君たちは地道な努力をしません。嫌います。
何の努力もしなくても、算数の難問が解けてしまうから。
でも難問と言っても小学校レベルですよ。
中学、高校レベルの数学を習えば、誰でも解けるようになる問題なんです。
中学、高校、大学と、そして社会人になっても、継続してトップクラスでいるには、やはり基礎基本に穴がないこと、それとちょびっと努力する習慣が欠かせないのです。
天才児でなくても、当たり前のことをきちんと穴なく勉強すれば,だんだんと能力を高めることができる。
たとえ天才児であっても当たり前のことを疎かにしていると,自らの将来を狭めてしまうのだと思います.

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お子さんに勉強させるときに,皆さん,闇雲にやらせていませんか
うちの子は算数ができないんです,理科ができないんです.
では,理科の何ができないのか.
それがわからないままに勉強させていると思うんです.
もうそんなところはわかっているよ,っていうところを長時間勉強させてると思うんです.
正答率調査をすると,この子には一体何が欠けているのかがはっきりする.
そうすると,勉強量が圧倒的に少なくなる.
むやみな勉強をしなくていい.
ピンポイントで勉強すれば成績は上がるんだということです.

森上展安『10歳の選択』ダイヤモンド社¥2000- 金廣志氏論文より
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2013年9月15日日曜日

教育セキュリティ

幸いにして、はっちゃんもとんたんもいい学校、いいクラス、いい先生に恵まれています。
親として安心して通学させられるのは幸せなことです。
学校でしっかり勉強し、出された宿題はきちんとこなす。
学力的にも問題なしでしょう。
 
それでも我が家は、加えてプラスアルファの勉強をやらせます。
そんなにいっぱいではなく、ほんの少し。
学年×20分間-宿題時間です。
学校へ行く日、すなわち宿題の出る日は、10分かせいぜい20分です。
この時間を漢字検定対策の朝勉強に充てています。
 
休日は宿題がない(終わっている)ので、学年×20分間をまるまる好きな勉強、必要な勉強に充てられます。
上の学年の計算を教えたり、『論理エンジン』を一緒に解いたり、『坊ちゃん』『論語』『実語教』の音読を楽しんだりできます。
子どもも,ちゃんと宿題も終わり、一定時間集中して勉強し終わってしまえば、あとは好きな遊びを何の気がかりもなくすることができます。
精神衛生上、とてもよいことです。
 
学校の授業をしっかり受け、宿題をきちんとこなす。
あたりまえのことです。
あたりまえのことをやって、ようやく「人並み」なんです。
人としてのベースができるレベルでしょう。
 
人の価値は、ベースがきちんとできた上で、プラスアルファするものがあるかどうかで決まります。
それが個性になるわけです。
だから個性につながる勉強も、ちょこっとプラスアルファしていくんです。
 
それから、親は「教育セキュリティ」にも配慮していかなくてはならないと思っています。
教育セキュリティを脅かす最大の要因は「担任の先生」。
担任の先生の善し悪しで、教育効果は段違いになってしまいます。
学校任せのままでいると、子どもの教育は担任の先生次第になってしまうのです。
ダメダメ先生に当たってしまったら、目も当てられなくなっちゃいますよ。
 
担任の先生の当たり外れは,なかなかコントロールできるものではありません。
運不運なんです。
仕方ないことなんです。
でもそれに振り回されちゃいけない。
 
たとえ担任の先生がよい先生であっても、10歳(小4ないし小5)までは家で親が教える習慣があるべきだと思います。毎日でなくてもいいですが、週に1日2日でよいので、子どもの勉強につきあってやる。
学校でのノートやテストを見て、我が子の弱点を補強してやる。
何より,家で勉強する習慣を付けてやる。
だって、学力は家で形成されるんですから。
 
我が子の教育は最重要事項です。
ダメ教師に当たってしまったからって、我が子をみすみすダメ児童にしてはいけません。
担任の当たり外れに大きく影響されないように、うまく制御していくのも「親業」だと思います。

2013年9月14日土曜日

漢字検定、勉強法

はっちゃん、夏休み前に受検した漢字検定8級(小3修了レベル)に合格しました!
点数も150点満点中144点、書き取り問題3問だけの間違いですから素晴らしいですよねー。
それも約半年の勉強、朝の登校前15分間の勉強だけでです。
子どもはこのくらいのポテンシャルを持ってるんですよ。
どんな子でも「やり方」さえ分かれば、ちゃんと勉強するもんだと思います。
 
ちなみに漢字検定対策の勉強は,こんな風に続けてきました。
 
まず、対象学年の漢字(3年生なら200文字)をざっと勉強することが第一です。
それには『漢字練習ノート 小学3年生 (下村式 となえて書く 漢字ドリル 新版) 』偕成社¥525-が最適です。
毎朝2文字ずつ、この練習ノートに書き込んでいく。
すると200文字を100日、すなわち3ヶ月で完了です。
2文字やるだけなら、時間も10分から15分しかかかりません。
登校前に取り組むのにちょうどいい量です。
下村式漢字ノートで200文字を一通り終わらせたら、漢検対策に入ります。
 
毎朝3文字や4文字やれば、もっと早く終わらせられるかも知れません。
でもそれはやらない。
はじめて勉強することには、それなりの時間がかかるものだからです。
ここで端折っちゃうと、あとでよけいに時間がかかるのです。
最初はじっくりと練習した方がいいと思っています。
 
さて、次は『漢検 漢字学習ステップ』¥1050-に取り組みます。
8級から10級には「ワイド版」という大きい判型のものが出版されています。
小2くらいまでの子どもには、ワイド版の方がいいです。
直接書き込めますから。
逆に言うと,通常版は小3後半くらいからじゃないと枠が小さすぎて,文字が書きにくいです。
 
『漢検 漢字学習ステップ』は各ステップ3ページで25ステップで構成されています。
読み1ページ、筆順など1ページ、書きが1ページです。
各ステップの扉には、そのステップで練習する漢字8文字が書いてありますから、問題を解くときに分からなかったら、そこを見れば分かります。
これも各ステップ、朝の15分間でやれます。
漢字ステップも1ヶ月かからず完了です。
 
最後に『漢検過去問題集』¥945-です。
こちらはワイド版が出版されていません。
1年生では絶対通常版の判型では、直接書き込みながらの勉強は不可能です。
我が家では、10級受検の時、拡大コピーしてやらせていました。
これがけっこう手間でした。
過去問集もぜひワイド版の出版を希望します。
2年生後半くらいの子なら、通常版の大きさでも直接書き込んで勉強可能でしょう。
 
過去問集には12回分の過去問が収録されています。
1回分の分量は6ページです。
これを毎朝2ページずつやらせました。
2ページならやはり15分間でやりこなせます。
 
大問1題やるごとに、自分で答え合わせをさせます。
解答を見ながら、間違えていたところだけ、問題番号に丸印をつけていきます。
読みの問題で間違えたら、その場で3回声を出して読みます。
書きの問題で間違えたら、テキストの余白にその漢字を3回書きます。
 
全部で72ページですから、これも1ヶ月強でやり終えられます。
ここまででほぼ半年です。
受験日までの残りの期間、過去問集で間違えた問題を見直します。
そして試験当日を迎えるわけです。
 
各テキストごとに最初の2回程度、親がついて「やり方」を教えてやれば、小2以上の子なら子どもだけでもやれるようになります。
あとは習慣づけるだけです。
毎朝起きたら、顔洗い、朝食、歯磨き、着替えをさっさと済ませ、登校前に20分程度の余裕を持つようにすれば大丈夫。
「朝の勉強しなさい」と言ってやらせればいい。
 
すでにはっちゃんは、8級受検した翌日から4年生の漢字練習を始めています。
もちろん下村式練習ノートで。
7級の試験は来年1/31にあるので、そこを目指して勉強しています。
最近は勉強に慣れてきて、漢字2文字を10分くらいで練習し終えてしまいます。
ちょっと余裕ができたので、朝学習に『10才までに覚えておきたいちょっと難しい1000のことば ジュニア版』
アーバン出版局¥1554-を追加しました。
この本も毎日4ページずつやるわけですが、そんなに難しい本でもないので5分もあれば4ページできちゃいます。
 
こんな調子で、1年間に2学年分ずつ勉強していって、5年生に進級するときまでに小学校の漢字全部を勉強し終えるようにしたいです。
なぜなら、子どもは10歳を過ぎる頃から急速に知能が発達します。
理屈が考えられるようになるのです。
そのとき、漢字の読み書きに不自由がなければ、思考の訓練に全力を注げます。
人間は一度にあれもこれもやることはできません。
一つのことに集中した方がいいし、そういう条件を整えておいた方がいい。
だから、基礎的な読み書きは10歳前後までに完了させておくのです。
 
漢字力は語彙力でもあります。
漢字は他の漢字と組み合わせてたくさんの言葉を作り出します。
漢字1文字覚えると、それに付随する言葉を10個ぐらい覚えられるのです。
すなわち語彙が増える。
語彙が増えれば、いろいろな本を読んで理解することができるし、自分の考えを的確に書いたり話したりできるようになります。
6年生くらいで、新書レベルの本が読めるようになるといいですねー。

2013年9月9日月曜日

旅の終わり

また若者(という年齢でもないような気がする)が「自分探し」に旅立っていった。
でもね、旅先に自分なんていないんだよ。

自分が自分でいられると感じるのは、自分の居場所が見つかった時
その居場所は自分で決めた場所じゃないんだ。
周りの人が「君はここにいていいよ」と言ってくれる場所。

ヒトの「自分」って実は周りの人、他人が決めてくれるもんなんだよ。

子どもの頃は父母や家族だね。
生まれたばかりの君を無条件で認めてくれた。
だから居場所があったんだ。

でも成長するに連れ、お父さんもお母さんもあれこれ言うようになったでしょ。
早く起きなさい、挨拶しなさい、お手伝いしなさい、学校に行きなさい、勉強しなさいって。
それはもう君が無条件では認められない年令になったってこと。
条件づきで認めるってこと。
条件をクリアするのならここにいていいよって。   

なぜお父さんもお母さんもだんだん口うるさくなるのか。
条件を厳しくしていくのか。
子どもはやがて大人になるから。
大人になって社会に出ていかなくちゃならないから。
そのときにも自分の居場所を見つけなくちゃならないから。
そのときに周りの人に認めてもらわなくちゃならないから。 

早く起きられなくて遅刻する奴、挨拶もろくにできない奴、ちっとも学ぼうとしない奴、気配りができない奴。
こんな人間を認めてくれる場所があるだろうか。

君がここに居づらくなったのは理解できる。
だって誰も君を認めてくれないんだもんね。
君を認めてくれる場所を探しに行ったほうがいい。  

旅に出るのもいい。
お金さえ持っていれば、旅先の人たちは程々に歓迎してくれるだろう。
短期間なら人は案外親切だしね。 

でも旅はいつかは終わりにしなくちゃならない。
そのときに、君が周りの人に認めてもらえる人間になっているかどうかだ。
誰かの役に立つ人間になっているかどうかだ。
人間の社会は「条件付き」だからね。 

じゃ、よい人生を! 

2013年9月2日月曜日

思考のための暗算練習

休日は,子どもたちに算数をちょこっと教えています。
学校で習うより、ちょい先の問題ですね。
子どもって、ちょっとでも知っていると,まるで全部知っているような気になるものです。
だから、学校で習うとき「あ、これぼく知ってる。ぼくならできる」って思えちゃうんですよ。
勉強ができるできないは、自分はできるんだって錯覚するところから始まるんです。
勉強ができない子は、頭が悪いんじゃないんです。
自分にはできない、って最初から思っているだけ。
 
さて、計算も最初は筆算で確実に計算する方法を教えますが、ある程度慣れたら暗算でもやらせます。
なぜなら思考力を鍛えるために、暗算は有効だからです。
 
思考は、脳の前頭前野に存在するワーキングメモリによってなされます。
ワーキングメモリに情報をストアし、それを演算することによって、人は思考しているのです。
ワーキングメモリの数は人によって多少異なるります、普通の成人は7つ程度、子どもは5つ程度と言われていいます。
一つの問題について、同時になるべくたくさんのワーキングメモリを使うほうが、広く深く思考ができるのです。
 
筆算での計算では、ワンステップずつノートに計算途中の結果を書いていきます。
だから脳への負荷は軽く、初学者には向いている方法です。
でも、ワンステップずつしか脳に情報をストアしないので、ワーキングメモリの使用数も少ない。
脳に負荷がかからない。
 
暗算は違います。
桁の多い足し算なら、くりあがりした数を覚えておかなければなりません。
掛け算ならもっと覚えておくべき数が増える。
すなわち、ワーキングメモリの使用数が多いのです。
これが脳を鍛えます。
思考の基礎訓練になるわけです。
 
ただし、ワーキングメモリの数は大人で7つ、子どもで5つ程度しかないことに注意しなければいけません。
その数を超えるストアを要求する計算は、原理的に暗算ではできないのです。
原理的にできないことを訓練するのはムダ。
そこは、子どもの発達状態をよく観察しながら、少しずつ負荷を増やしていく。
そして、大人並みになったのなら、もうそれ以上は要求しない。
そういう見極めも必要なんです。

2013年8月29日木曜日

暗記力を鍛えよ!

どんな仕事でも、記憶力が一番重要です。
覚えることのできない人は、社会に出て活躍することはできません。
仕事は覚えるもの。
覚えて活用するもの。
覚えたことをきっちりとこなす。

それだけじゃなく、改善したり、新しいことを生み出すためには、記憶力が欠かせません。
前のことを覚えていなければ、どこがどう悪かったのかがわかりません。
どこをどう改善すればいいのか、覚えていない限り比較ができないからです。
新しいことを生み出すときも、全くゼロから始めることなんかありません。
これまでのものに付け加えたり、一部を付け替えたり、再構築するわけです。
だからこれまでのものがどうであったかをしっかりと記憶していないとダメなんです。

だから記憶力。
子供の頃から記憶力を鍛錬しておく。
それが社会に出てから、いい仕事をする必要条件になるのだと思います。

今はネットでなんでも調べられる。
だから勉強なんかしなくてもいい。
必要なときにネットで調べればいいんだから。

こう言う人がしばしばいます。
でも間違いですよ。
そしてこう言う人に限って、しばしば知性がありません。
ネットで調べられないからです。

今やほとんどすべてのコンピュータはネットに接続されています。
じゃあ、パソコンは全部のデータをネットから取り出しているのか。
いえいえ違います。
基本的なデータは自前で持っているのです。

コンピュータの性能を左右するのはCPUの性能だ、と誤解している人が多い。
もちろんCPUも大事ですが、メモリも同じくらい重要なんです。
コンピュータというのは、CPUだけでは動作しないのです。
常にメモリとのやりとりをしているのです。

コンピュータだって、頻繁に使うデータをネットから引き出しているのではありません。
だって、ネットの伝送量(bps)はとても小さい。
つまり、時間がかかるんですよ。
時々使うデータならそれでもいいでしょうが、頻繁に使うデータをいちいちネットから引き出していたんじゃ、全く性能が出ないのです。

コンピュータの性能は、メモリが大きいほど、メモリとの伝送量が大きいほど向上します。
スーパーコンピュータ「京」があらゆる科学技術計算で高性能を発揮できるのは、このメモリの量と伝送量が大きく設計してあるからです。
(その代わり、消費電力も大きくなってしまいます)。

だから、頻繁に使うデータほど身近に、かつ大きな伝送量を確保できる場所に置く。
CPUの中にはキャッシュというメモリが組み込まれています。
頻繁に使うデータはキャッシュに置いておきます。
CPUの取り付けられているマザーボードにはRAMと呼ばれるメモリが取り付けられています。
しばしば必要となるデータはRAMに置きます。
そしてマザーボードが収納される筐体内にはハードディスクが取り付けられています。
あんがいよく使われるデータはハードディスクに置いておくのです。
そしてそれ以外にごくまれに必要となるデータはネットから引き出す。
 そういう仕組なんです。

人間の脳も同じだと思います。
頻繁に使う情報、たとえば漢字の読み書き、簡単な計算などは、脳に常駐させておくほうがいい。
いや、常駐させておかないと全く思考することができなくなります。
ここに勉強する意義があるのです。

小学生ならキャッシュに置くべき情報を勉強すべき.
読み書き計算ですね.
これをネットに置いておいたんじゃ,まるで役に立ちません.
読み書き計算は教科書にすべて載っています.
ネットなんか見る必要はありません。
ネットは情報量が多すぎて何が基礎基本なのか、子どもには判断できません。
だから教科書をしっかりと、確実に、何度も何度も繰り返し勉強する。
頻繁に必要となる事項を、教科書から自分の頭にアップロードさせ,常駐させなければいけないんです.

中 学生ならローカルメモリに置くべき情報を勉強すべき.
学問の基礎ですね.
これをいちいちネットで調べているんじゃ,「活用」できませんよ.
自分の脳に入れておくほうが断然効率がいいんです。
学問の基礎は教科書にす べて載っています.
教科書から自分の頭にアップロードし,必要になったらすぐにキャッシュに読み込まねばならないんです.

子どものうちは、ネットなんかで調べる必要はない。
教科書をしっかり勉強しろ。
ぼくはそう考えているのです。