2013年9月2日月曜日

思考のための暗算練習

休日は,子どもたちに算数をちょこっと教えています。
学校で習うより、ちょい先の問題ですね。
子どもって、ちょっとでも知っていると,まるで全部知っているような気になるものです。
だから、学校で習うとき「あ、これぼく知ってる。ぼくならできる」って思えちゃうんですよ。
勉強ができるできないは、自分はできるんだって錯覚するところから始まるんです。
勉強ができない子は、頭が悪いんじゃないんです。
自分にはできない、って最初から思っているだけ。
 
さて、計算も最初は筆算で確実に計算する方法を教えますが、ある程度慣れたら暗算でもやらせます。
なぜなら思考力を鍛えるために、暗算は有効だからです。
 
思考は、脳の前頭前野に存在するワーキングメモリによってなされます。
ワーキングメモリに情報をストアし、それを演算することによって、人は思考しているのです。
ワーキングメモリの数は人によって多少異なるります、普通の成人は7つ程度、子どもは5つ程度と言われていいます。
一つの問題について、同時になるべくたくさんのワーキングメモリを使うほうが、広く深く思考ができるのです。
 
筆算での計算では、ワンステップずつノートに計算途中の結果を書いていきます。
だから脳への負荷は軽く、初学者には向いている方法です。
でも、ワンステップずつしか脳に情報をストアしないので、ワーキングメモリの使用数も少ない。
脳に負荷がかからない。
 
暗算は違います。
桁の多い足し算なら、くりあがりした数を覚えておかなければなりません。
掛け算ならもっと覚えておくべき数が増える。
すなわち、ワーキングメモリの使用数が多いのです。
これが脳を鍛えます。
思考の基礎訓練になるわけです。
 
ただし、ワーキングメモリの数は大人で7つ、子どもで5つ程度しかないことに注意しなければいけません。
その数を超えるストアを要求する計算は、原理的に暗算ではできないのです。
原理的にできないことを訓練するのはムダ。
そこは、子どもの発達状態をよく観察しながら、少しずつ負荷を増やしていく。
そして、大人並みになったのなら、もうそれ以上は要求しない。
そういう見極めも必要なんです。

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