2014年7月2日水曜日

スパコン「京」は実用機!

我がスパコン「京」がまたも世界一を取りました!
今度はグラフ500でのランキングです。
http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140624_1/

大規模グラフ解析の性能は、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータの解析において重要となるもので、今回のランキング結果は、「京」がビッグデータ解析に関する高い能力を有することを実証するものだそうです。
ますます「使える」スパコンであることが実証されましたね-。
しかもこれは「京」の8割程度を使っての性能です。
まだまだ伸びる可能性を持っています。

一般的なスパコンランキングであるTOP500では世界4位をキープ。
http://www.top500.org/lists/2014/06/
開発に1000億円、運用にも毎年何十億円もかかってるのに、4位かよーって言う人もいますが、違うんですよ。
スパコンは「使えてナンボ」のものだからね。
実際の科学技術計算で効率的に使えることと、長い時間使えることが大切。

TOP500はリンパックという問題で競われています。
リンパックは、密行列連立一次方程式を解く問題です。
密行列とは、行列の各要素に全部数字が入っているもの。
でも実際の科学技術計算で、密行列の問題はほとんどまったくないのです。

つまり、リンパック=TOP500は実用性よりハードウェアの性能を確認するためだけの指標と言ってもいい。
実用のための指標はTOP500ではないのです。
 これまでのスパコン性能指標ではハードウェアの性能が第一でした。
だからリンパックで競っていたわけです。
行列の各要素にゼロがたくさん含まれているものを粗行列と言います。
実際の科学技術計算では粗行列問題ばっかりなのです。
そこで、リンパックの生みの親ドンガラ博士は「HPCG」というベンチマークテストを考案しました。
これは粗行列の問題を解くスピードで競われます。

今年初めて「HPCG」のランキングが発表されました。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140626/567041/

ここでも「京」は2位、しかも1位に肉薄する性能を発揮できました。
1位はTOP500でも1位の中国の天河2号。
TOP500では天河2号は「京」の3倍以上の性能ですが、「HPCG」ではほぼ同等なんです。

グラフ500でも「HPCG」でも、ハードウェアの性能とともにソフトウェアの出来不出来が大きく効いています。
コンピュータは,ハード+ソフトで動いています。
ハードウェアが<固すぎる>とソフトウェアでの性能向上がしにくい。
その意味で「京」は 柔軟なマシンだと言えると思います。

以上のことから、「京」はまだ全然陳腐化していないと言えます。
まだ数年は世界のトップマシンとして活躍できる状況にあるでしょう。

「京」は壊れにくくめったに止まらないマシンでもあります。
壊れないから長時間使える、止まらないから安心して使えるのです。
その安定運用は神戸の設備スタッフが支えてくれています。
ありがたいことだと思っています。

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