2014年11月9日日曜日

家庭学習は親の義務

七五三。
勉強に着いていかれる子の割合は、小学校で7割、中学校で5割、高校で3割ということだ。
渡部由輝氏によるとまたこれは、学校で学ぶ時間と、自学する時間の割合でもあるそうだ。
すなわち、小学校では学校で7割、家庭で3割勉強すれば、きちんと身につく。
中学に入ったら、学校で5割、自分でも5割学べ。
高校では、学校の授業はペースメーカーみたいなもので、7割は自学しないと身につかない。
 
応用力とは何か。
未知の問題を、既知の知識と身についた技術を用いて解決することである。
つまり、応用力のみを単独に鍛えることはできない。
ひたすら必要な知識を頭に叩き込み、必要な技術を鍛錬した者だけが、応用力を発揮することができる。
ザルで水はすくえない。
 
学力が劣る学生は、頭が悪いのではない。
基礎的事項に穴、抜けが多すぎるのだ。
学年が進むに連れ、知識単独で解答できるような問題は少なくなり、知識と知識を複合的に組み合わせた学習が多くなる。
穴、抜けがあると壊滅的になってしまうというわけである。
頭の善し悪しより、基礎的事項をいかに穴、抜けなく勉強したかどうかに、学力は大きく左右される。
 
基礎学力は『道具』である。
いい道具がないと、よいものは作れない。
だから基礎学力の修得は何よりも優先させなければならない。
 
基礎学力は小学校で習う。
小学校は英語でprimary school、elementary schoolという。
日本語の小学校は、そもそも<小学区=地域にある国民全員が通える学校>という意味で、何を学ぶかという視点がない。
英語のprimary school、elementary schoolは、「primary= (順位・重要性などが)首位の,第一位の,主な,主要な」という意味であり、「elementary=((限定))初歩の,初等の,入門の;基本(原理)の」という意味で、小学校で学ぶ内容について表している。
 
すなわち、小学校で習う基礎事項、特に読み書き計算は、ほぼ100%身に付ける必要がある。
穴、抜けがないように。
主要なまず第一に身につけるべき基本だからだ。
そうしないと、中高と進んで行くにつれ、学校の勉強に着いていけなくなってしまう。
なぜなら、中学、高校と進むに連れ、単独の知識だけでこなせる学習は減っていく。
応用的学習の割合が増えていく。
複合的に知識と知識を組み合わせなくては解答できなくなっていくのだ。
 
たとえば、小学校で80%の習得率だったとしよう。
8割もできていれば十分じゃないか、と思うかもしれない。
8割りできていれば、小学校の通信簿では5段階評価で4はつくだろう。
だがそこで安心してはいけないのだ。
 
知識は複合的になっていく。
中学校では、二つ以上の知識と知識を組み合わせる必要がでてくるとしよう。
二つの知識のうち、両方は当然、一方だけしか身についていないと十分理解はできない。
すると小学校の基礎レベルが80%の子は、中学になるとその自乗0.8*0.8=0.64=64%の理解度に下がってしまう。
6割程度の理解度では、通信簿の評価は3しか取れないはずだ。
 
高校になれば、3つ以上の知識の組み合わせが問われる。
すなわち0.8の3乗、0.8*0.8*0.8=0.512=51%の理解度に下がってしまうのだ。
高校の知的教科の半分しか理解できないのである。
この程度でもなんとか高校を卒業することはできるだろう。
 
同じ計算を、小学校で6割の習得率として計算してみる。
6割ならまあまあ授業についていっている、と思うかもしれない。
それは間違いである。
中学で、0.6*0.6=0.36である。
ほとんど授業はちんぷんかんぷんである。
高校で、0.6*0.6*0.6=0.216。
きっと授業に出るのが辛いはずである。
2割しか理解できない勉強は、自分とは無関係な、無用なものと思えるだろう。
そういう生徒は退学してしまう可能性が高いだろう。
 
友人の高校教師植井さんは、「授業を受けるときの辛さ、困難さは、理解度の逆数に比例する」と言っている。
理解度が0.8であれば、辛さは1.25。
我慢できる、もう少しがんばろう、と思えるレベルである。
理解度が0.5であれば、辛さは2。
我慢も限界であろうし、がんばる気力は起きないだろう。
理解度が0.2であれば、辛さは5である。
これでは、我慢しろという方が無理である。
がんばって追いつくことより、あきらめてしまう方を選択する方がラクである。
 
算数,数学と英語は「積み上げ科目」と言われる.
穴,抜けがあるとだんだん分からなくなる.
ほとんどすべてを抜けなく学習することも大事だが,きちんと身につくまで習熟し,記憶しておくことも重要である.
すなわち,算数,数学や英語が得意になる子は,シツコイ,記憶力がよい,という特性を持つようになるのである.
ものごとに対して粘り強く、容易にあきらめないで、コツコツと努力を続ける。
そういう人間に育っていれば、社会に出ても活躍することができるだろう。
 
基礎学力をしっかりと身につけるためには、家庭学習が欠かせない。
陰山英男氏は「学力は家庭で身につく」とさえ言っている。
学力は「頻度」で身につく。
同じことを何度も繰り返しやる機会を意図的につくる必要があるのだ。
学校の授業だけではそれを達成することは難しい。
だから学校は宿題を出すのだ。
宿題を出さぬ教師、宿題をきちんとやらせぬ親は言語道断なのである。
 
だから、義務教育中の家庭学習は親の義務、なのだと思う。
 

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